チコちゃんを生んだ小松純也|生の感覚を生かす発想力
『人生最高レストラン』など数々の人気番組を手がけた小松純也。近年では『チコちゃんに叱られる!』企画者として知られるが、その発想の源として大切にしていることはどんなことなのか。小松氏の頭の中をのぞき、発想力について掘り下げる!
──小松さんの経験則から、面白い企画を生むためには何が必要だと考えているのでしょうか?
わかっているのは、企画というのは劇的に生まれてくるものではないということ。特に、情報を追いかけるばかりでモノを考えにくくなっている昨今は、たいがい人と喋っている時に考えがまとまって面白いアイデアが浮かんだりする。その際に何が企画のフックになるかというと、日ごろの生活の中で実感する"生の感覚"なんです。『チコちゃんに叱られる!』(NHK総合)も、大人に囲まれた子どもが生意気なことを言うのってカワイイな、と思えた感覚を大事にして、イメージをふくらませていったんですよ。
──企画のヒントは日常の中にこそ転がっている、ということ?
テレビ番組を作る時って、どう見る人たちの「視聴体験」をデザインするかが大事だと思います。テレビを使って、見ている人がどんな状況に身を置くか、もしくはどういう体験をするのかイメージした方がいい、と最近は確信できるようになりました。『トリビアの泉』(フジテレビ系)には、ムダ知識に「へぇ~」と感心する出演者に茶の間が付き合う、という体験の共有があった。『人生最高レストラン』(TBS系)での料理の見せ方はインスタの“映え”に近いんですけど、そういった他人事が自分事になっていく「視聴体験」を意識すべきだと思います。
──以上を踏まえたうえで、小松さんは番組づくりにおいて大切なことは何だと考えていますか?
よく「身を削って汗をかいて作る番組」が尊ばれますけど、僕の考え方は逆なんです。番組は楽に作らなくてはいけない。なぜなら、スタッフが消耗しながら番組の質を保とうと作り続けた結果、それがトラブルの原因になってしまうからです。それなら、同じ汗でも頭の中で脳みそに汗をかかせて、疲弊しない番組フォーマットを作る方がいい。作る側が幸せになれるような制作体制にシフトしていく流れになっていってほしいですね。
■PROFILE■
株式会社スチールヘッド・代表
小松 純也(こまつ じゅんや)
1967年兵庫県生まれ。フジテレビを経て、2019年4月に株式会社スチールヘッドを設立。『人生最高レストラン』(TBS系)や『チコちゃんに叱られる!』(NHK総合)、『ドキュメンタル』(Amazonプライム・ビデオ)などを手掛ける。
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<発行日:2019/07/23>
*本記事は、FIREBUGが発行するメールメディア「JEN」で配信された記事を転載したものです。
Writer:平田真人
Photographer:森カズシゲ
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