Z世代の心を掴むには?最新の”推し活”と若者に刺さるコンテンツの特徴を「Z総研」アナリストが語る
TikTokを中心に新たなトレンドを作り出し、今後の消費動向の鍵を握る世代として注目を集める「Z世代」。
Z世代の特徴や若者に刺さるコンテンツを提供するために必要なことを、Z世代のプロモーションやインフルエンサーのキャスティングを行う株式会社N.D.Promotionの取締役であり、「Z世代総合研究所(Z総研)」のアナリストとして若者の今を分析する道満綾香さんに伺いました。
──なぜ今、Z世代が注目を集めているのでしょうか?
*写真はN.D.Promotionが運営するメディア「Nom de plume」のZ世代のライターの方々
Z世代という言葉自体は数年前から使われていましたが、脚光を浴びるようになったのは昨年4月くらいからです。コロナ禍の自粛期間中にTikTokの利用が一気に増えて、中高生を中心としたZ世代の発信が注目を集めたことがきっかけのひとつで、若者の文化や消費動向を追う上でも無視できない存在になっています。
私がアナリストを務めるZ総研は、国内初となるZ世代を研究対象としたシンクタンク組織として調査・分析を行い、さまざまなデータを提供していますが、Z世代の認知拡大とともにメディアや企業からの依頼も日々増えている状況です。
調査・分析した結果を発信する際には、表層だけでなく、トレンドの裏側にある背景やストーリーをしっかりと伝えることを意識しています。なぜ流行っているのか、どんな理由でウケているのか、言語化することは難しい部分もありますが、深くまで紐解いていくことで、世代のギャップを超えて共感できる部分を伝えることができると考えています。
──Z世代のコンテンツ消費の特徴を教えてください。
多趣味で興味の対象が幅広く、好きな漫画やアニメ、推しのアイドルやYouTuberのグッズなどを買うことに楽しさを感じる傾向があります。エンタメに対してのリテラシーも高く、「違法アップロードされたものは利用しない」「ファンとしてグッズやCDにしっかりお金を使う」という意識が世代全体に浸透しているのも大きな特徴です。
Z世代の半数以上がTikTokを長時間使用していて、特にオタ活など、趣味系の情報収集にTikTokを利用しているという調査結果が出ています。
引用元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000035.000020799.html
推しバッグや推しグラス、推し傘などのグッズを作る動画はTikTokで撮影し、完成したグッズの画像はInstagramにアップするというようにツールの使い分けをしていて、オタ活のグッズ交換をする際もTikTokなら動画で詳細を知ることができるので安心というユーザーが多いようです。
*写真は上から『呪術廻戦』のキャラクターの推しグラス、推し傘
──若者に刺さるコンテンツを提供するために必要なこととは何でしょうか?
いつの時代もトレンドを予測することは簡単ではありません。特に今は1〜2週間の早いスパンでトレンドが移り変わるため、先を見越した仕掛けがいっそう難しくなっています。その中で重要なことは2つ。ひとつは、今をしっかり見て、理解し、流れを読むこと。流行の背景に何があるのか、ユーザーのマインドも踏まえて考えることで、自ずとトレンドの流れが見えてきます。まずは話題のTikTokをこまめにチェックするところから始めるといいでしょう。
<道満さんが注目しているTikTokerはこちら>
景井ひな :TikTokのフォロワーは600万人を超えていて、女性TikToker日本一!海外で流行っているコンテンツをよく取り入れており、弊社のトレンドランキングでも上位に常にランクインしています。
わたげ:レストランや大学などさまざまな場所で「バレずにTikTokを撮れるか」というチャレンジ動画を投稿しています。彼女のマネをする一般ユーザーやTikTokerも増えてきており、「#バレずに撮れるか選手権」というタグでみんな投稿しています。
しなこ:原宿系YouTuberで、カラフルなASMR動画で小中高生を中心に人気を集めています。TikTokでは定番のダンス動画から、垢抜けやダイエットについての赤裸々な告白など、ファンに寄り添ったコンテンツ発信が印象的です。
もうひとつは、「若い子はこうだろう」という安易な推測に頼らないこと。ミスマッチを減らしていくためにも、Z世代のリアルな意見を取り入れることは重要です。
味の素さんがZ世代向けの事業を創出する専任組織を新設して注目を集めたように、若手社員が中心となって、スタートアップや大学と連携して商品開発をするといった取り組みが今後増えていくのではないかと思います。Z総研としても調査・分析に加えて、今後はさまざまなソリューションを提案していきたいと考えています。
本記事のTIPS
・Z世代はエンタメに対してしっかりお金を使う世代
・Z世代が毎日長時間利用するTikTokはトレンドの宝庫
・「若い子はこうだろう」は通用しない!リアルな声を取り入れるための施策に力を入れる企業も増えてきている
■PROFILE■
道満綾香(どうまん あやか)
兵庫県出身。大学在学時に女子大生のマーケティングを目的としたTeamKJを設立し、プロデューサーを務める。大学卒業後はリクルートグループに入社。その後、スタートアップ数社でZ世代を対象としたPRやプロモーションに従事する。現在は、Z世代のプロモーションやインフルエンサーのキャスティングを行うN.D.Promotion取締役を務め、Z世代の研究メディア「Z総研」ではトレンド分析担当として、Z世代の「今」を取材している。
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Writer:龍輪剛