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TikTokマーケ全般を知る"中の人"に聞く|若者文化から全世代メディアへ TikTokから見るエンタメの活用術[前編]

音楽+ショートムービーというフォーマットで若者を虜にしたTikTok。2019年に入りユーザー層が大幅に拡大。アイドル、芸人、俳優が参入するなど、新時代的盛り上がりを見せている。この急速な流れに、エンタメ人はどう向き合えば良いのか。TikTokの白地祐輝氏に「前・後編」で話を聞く。

──まずはTikTokの現状について教えてください。

2018年頃はダンス動画が人気だったこともあり、若い女性のユーザーが多かったように思います。ところが2019年に入って、いろんなグルメの動画が出始めたり、ワンフレーズ英会話や中国語を教えてくれるHowToコンテンツがでてきたり、川で料理する人(バーソロミュー・ブック)が出てきたりと利用者の年齢層が広がったという印象です。


現在、1日平均の試聴動画数は1ユーザーあたり160~180本。一つの動画が数十秒なので時間にすると約42分と計算しています。「TikTokユーザー白書(2019.8)」のデータによれば、他SNSと比較すると音声ONで見ている方は139.5%、最後まで見る方も125.8%と、接し方が他SNSより深く、エンゲージは高いと分析しています。

いいね率、コメント率、シェア率などの数字は出していないのですが、一般の方の動画でも多い場合は100万再生いくこともあります。タレントやインフルエンサーではない方でも高いエンゲージメント率を誇る理由は「おすすめ」の機能です。様々な動画が流れてくる中には、ユーザーの知らない人、ファンではなかった人、フォローしていない人の動画がある。他のプラットフォームと比べてもコメントしやすい「ハードルの低さ」につながっていると考えています。

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──そのシステムについて実例を交えて教えていただけますか?

我々はTikTokをレコメンデーションのプラットフォームだと考えています。これは長崎県にお住まいのあるバイオパークの飼育員さんから聞いた話ですが、動物の動画を上げていたところ、とくにFacebookのようにつながっているわけではないのに、第三者が共感のコメントをつけてくれるというのです。


たとえば自分の犬が亡くなったという動画では、励ましの言葉や、その悲しみを乗り越えた話などのコメントがつき、自然と動物好きの人たちのコメントのコミュニティができたのだとか。これは他のSNSや動画プラットフォームではなかなか起こらないことで、より濃いエンゲージが期待できる。友達でなくても共通のトピックでコミュニティができるのは我々も面白く思っています。

おすすめで流れる動画に関して、我々が操作していることはなく、あくまで機械学習から選出されたもの。「これはあなたに合うトピックですね」とおすすめを出し、動物好きには動物だけではなく、ペットと一緒に行った先の素晴らしい景色の旅動画、赤ちゃんだったペットが大人に成長していく感動ストーリーなど、独自にマッチする内容をお届けしています。そこがTikTokの強みであり、その絶妙さからコメントなどエンゲージメントにつながる参加しやすい現象が起こっていると考えます。

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──現在、エンタメ業界とはどのような関わりを見せているのでしょう?

エンタメ界からの参入は2018年からありました。きゃりーぱみゅぱみゅさんやPerfumeさんなどが動画をアップされていたのですが、増えてきたのは今年2019年の春頃。藤田ニコルさんや、ヒカキンさんが動画をアップされていましたね。最近だとさんのアカウントは面白く、TikTokの機能をうまく使ってメンバーが20年前の自分と今の自分を比べてみたり、ユーザーを巻き込んだりする形のものが話題ですね。

ほかミュージシャンでは三代目J SOUL BROTHERSさんや日向坂46さんもバズっています。俳優では山崎育三郎さんやディーン・フジオカさん。芸人ではチョコレートプラネットさんやCOWCOWさん、ビックスモールンさん。YouTuberではスカイピースさんや、フィッシャーズさんのほか、最近だと中田敦彦さんも参戦されていて、1問1答のスタイルはいかにもTikTokらしいコンテンツです。


これまではテレビドラマが動画プラットフォームで番宣されたり、スピンオフを流したりという例はいろいろあったかと思いますが、TikTokでは今まであった番宣という形にとらわれず、新しいファンとのコミュニケーションツールとして使っていただくことが増えていると感じます。

他SNSと比べ、より深いエンゲージが期待できるTikTok。同プラットフォームをエンタメ界はどう利用すれば良いのか。後編はTikTokが提唱するエンタメ、スポーツ、広告界での具体的利用法、またTikTokとエンタメ界が創っていく未来について紹介する。


■PROFILE■
TikTok マーケティングチーム
白地 祐輝(しらじ ゆうき)

小中はインドネシア共和国のジャカルタ日本人学校に在学。日本の高校を卒業後、アメリカの大学へ。新卒で楽天に入り、経営企画室で担当役員のサポートや出店店舗のコンサルティング・営業を務める。その後、Google JapanのYouTubeチームへ。YouTubeの収益化プログラムが始まったタイミングでYouTuberのサポートを担当する。Facebook Japanのオフィスにジョインし、ECクライアント向けの営業を経験し、TikTokへ。現在に至る。


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<発行日:2019/12/09>
*本記事は、FIREBUGが発行するメールメディア「JEN」で配信された記事を転載したものです。

Writer:衣輪晋一
Photographer:橋口慶


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