芸歴29年コンビの新たなる挑戦|よゐこはなぜYouTubeを始めたのか?[前編]
現在29万人超えの登録者、再生回数100万回超えも連発。毎週木曜日に生配信を続ける「よゐこチャンネル」。テレビ業界を走り続けてきたよゐこにとって、YouTubeで番組を持つということはどのような意味があるのか。YouTuber・よゐこに「前・後編」で直撃した!
──そもそもYouTubeを始めようと思ったきっかけは?
濱口:何個かあるんですけど、一番大きいのは野球のシーズンオフにコンビでやっていたラジオ番組『オールナイトニッポンプレミアム』(ニッポン放送)が終わったことですね。よゐこだけで話すラジオは10年以上ぶりくらいやったんですけど、その時その時に面白いことを2人で語り合っているこの期間は、コンビとしての“健康状態”が非常に良かった。でも次にはつながらなかったんですよね。
有野:楽屋でも普通にしゃべるようにりましたね。今日も「トイレが開かへん」って僕が困ってたら、「それ強く押さんと開かへんで」って遠くから教えてくれて。コンビの健康状態が悪かったら何も言わずに「しめしめ」と思てるんちゃいますか(笑)。
濱口:そうやね(笑)。あとは、本番以外ではしゃべらないとか。
有野:お互い気になっていることはあるけど、「聞きたいことがあっても、これは本番で聞こう」みたいな。話題を残してるのは仕事として“健全”なのかもしれないですけど。
濱口:『めちゃ2イケてるッ!』(フジテレビ系)も終わってしまってるし、次の場所を早く見つけたかったというか。危機感みたいなものもあったんです。
有野:僕は(ラジオの生放送があった)木曜日が休みになって一家団欒の時間が増えるかなって思ってたけど(笑)。
濱口:有野は翌日に『ゲームセンターCX』(フジテレビONE)もあるしね(笑)。それでマネージャーに相談していたら「ラジオはまた秋に呼んでもらえるかもしれないから」と。でも「それを待つの長くない!?」ってなって。僕らとしてはよゐこ2人で話ができる場所があれば、どこでも良かったんです。そこでいろんなところにお話をしたら、すごいスピードで動いてくれて5月末にYouTubeの「よゐこチャンネル」が始まりました。
──YouTubeで番組を持ってみていかがですか?
濱口:ありがたいですよね。でも最初は果たして成功するのか、どうなるんだろう、とそんな心配も多かった。
有野:僕としてはちょうどいい場所かなと。二人で話すからって、トークライヴで毎回(新宿)角座でやるわけにもいかないし、人を集めるのも大変だし。集まるかもわからないし。
濱口:角座で119人の前で毎月1回でもいいと思ってた。ほかの配信でもよゐこの番組やってたんだけど、全然やってもらえなくなって。「やらしてくれよ!」って何回もオファーしてるのに全然やってくれへん。「なんやねん」って! あんなに楽しかったのに。楽しくなかったのかみんなは(笑)!
有野:運営は楽しいだけではやらしてくれへんからな。次につながるやり方じゃなかった。
濱口:そうなんだよね。認めてもらえなかったのはあるかもしれない。
有野:そうなると自分たちで運営したほうが早いかなというか。今では反響もあって、イベントの時にお客さんがチャンネルのTシャツを着ていることもありまして。「おったー! 信者おったー!」って(笑)。
濱口:俺らにすごいアピールしてくれたよな。ほんまうれしいんでCM中に「ありがとねー!」ってお礼するんですが、共演者に説明するのがなんか恥ずかしかったなぁ(笑)。
──テレビで活躍している芸能人としてYouTubeに出ることに抵抗は? 視聴率低下の一因として敵視はありませんでしたか?
有野:敵視はないですね。「なんでこの人は人気なんやろ、登録者数多いんやろ」と思いながら見たりはしたけど。ただ、テンポが良いから子どもは見やすいだろうなと思ってました。でも、テンポが良いからってことだけでもないんやろうし。
濱口:僕も敵視はないかな。むしろすごいなって。ライブでたまにVTR作るんですけど、10分のVTR作るのに1カ月近くかかるし、それも自分でやらずに頼んで編集してもらっても「あーでもないこーでもない」といろいろ悩んで。編集って大変なんです。それを自分でつまんでやって本当にすごいですよ。
有野:毎回毎回、企画も挙げてね。
濱口:ただ正直、1人でも確立して仕事はできていたので、今さら2人でイチから何かをすることに「恥ずかしい」というような気持ちはありました。「ベテランコンビが仲がいいのは恥ずかしい」という偏見があったんやと思います。今は違うけど、さまぁ~ずさんは同じ車で来て同じ車で帰ってはったんですよ。息苦しくないかなと思いもするけど、その仲の良さが売りにもなりますよね。僕らも仲はいいけど「恥ずかしい」という思いがあったんですね。でもある時、博多華丸・大吉さんと話す機会があって…。
有野:『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)で「同期会」みたいな企画があった。
濱口:そう。そこで「華丸さんと大吉さんって仲いいっすね!」と言ったら、2人から同時に「この年になって仲悪いのカッコ悪くないですか?」って言われて。僕もう衝撃を受けて。「もういい年なんだから、こんだけやってきて、今さらお互いが認め合えないのって恥ずかしくない? もういいじゃないんですか。もともと仲良いで始めたんだから」って。無理に俺はこの世界、じゃあ俺はこっちの世界、って別々にすることはない。「仲良いのを恥ずかしいって言ってること自体が恥ずかしい」と言われて、もう目からウロコでしたね。もともと僕はよゐこ2人のラジオが大好きでしたし。仲は悪くないし。よゐこチャンネルではその大好きなことが普通にできているから、場所がYouTubeになっても違和感はないんです。
有野:でも、「よゐこチャンネルを見た地上波のスタッフに「仲いいですねぇ」って言われるのは恥ずかしいです。
コンビの“健康状態”を回復させてくれたラジオが終了したことをきっかけにYouTubeを始めたよゐこ。近年、テレビで活躍している芸能人がYouTubeに参入する例が相次いでいるが、そのことで今後、テレビやエンタメを取り巻く環境はどのように変化していくのだろうか。次回[後編]では、芸能人がつくるYouTubeとその未来について語ってもらう。
■PROFILE■
濱口 優(はまぐち まさる)
1972年、大阪府出身。お笑いコンビ「よゐこ」のツッコミ担当。『いきなり!黄金伝説。』(テレビ朝日系)や、『めちゃ2イケてるッ!』(フジテレビ系)などで人気になり、『よゐこの無人島0円生活』(テレビ朝日系)でも野性味あふれるゆるいキャラクターがうけている。昨年、タレントの南明奈と結婚。今年9月には東京ディズニーシー・ホテルミラコスタで披露宴を行った。
有野 晋哉(ありの しんや)
1972年、大阪府出身。お笑いコンビ「よゐこ」のボケ担当。相方の濱口とともに人気番組に出演するほか、趣味のゲームを生かした仕事でも活躍中。『ゲームセンターCX』(フジテレビONE)は2003年から放送開始され、17年目に突入した。ほか、アニメ、マンガ、アイドルなどにも広く精通し、その知見をメディアで紹介している。YouTubeでは、「Nintendo 公式チャンネル」にも出演中。
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<発行日:2019/11/25>
*本記事は、FIREBUGが発行するメールメディア「JEN」で配信された記事を転載したものです。
Writer:衣輪晋一
Photographer:橋口慶