2018年以降のビールの定義

2018年にビールの定義ってかなり変わっていたんですね。
これは、ビールに対する税率とともに定義も変わっています。


1.段階的税率

2021年10月、2023年10月に変更され、ビールは350ml換算で77円から70円、70円から63.35円になりました。
2026年10月には、63.35円から54.25円に統一されます。https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/d07_0.pdf

ビール系飲料の税率の変化

これはすごいことですね。
発泡酒もビールも税率が同じになります。発泡酒は少し高くなり、ビールは安くなります。新ジャンルも高くなります。

2.ビールの定義

酒税法3条3号から、発泡性酒類はビール、発泡酒、これら以外の酒類で発泡性を有するもの(アルコール分が11度未満のものに限る。略)をいいます。
また、酒税法2条1項から、酒類は、アルコール分1度以上の飲料(薄めてアルコール分1度以上の飲料とすることができるもの(略)又は溶解してアルコール分1度以上の飲料とすることができる粉末状のものを含む。)とあるため、アルコール分が1度以上のものをいいます。
そのため、0.9度は酒類には該当しないことになりますね。

お待ちかねのビールの定義は、酒税法3条12号から、以下に規定されるものになります。

酒税法3条12号

ビール 次に掲げる酒類でアルコール分が20度未満のものをいう。
イ 麦芽、ホップ及び水を原料として発酵させたもの
ロ 麦芽、ホップ、水及び麦その他の政令で定める物品を原料として発酵させたもの(その原料中麦芽の重量がホップ及び水以外の原料の重量の合計の100分の50以上のものであり、かつ、その原料中政令で定める物品の重量の合計が麦芽の重量の100分の5を超えないものに限る。)
ハ イ又はロに掲げる酒類にホップ又は政令で定める物品を加えて発酵させたもの(その原料中麦芽の重量がホップ及び水以外の原料の重量の合計の100分の50以上のものであり、かつ、その原料中政令で定める物品の重量の合計が麦芽の重量の100分の5を超えないものに限る。)

酒税法3条12号

酒税法3条12号ロに規定されている「その他の政令で定める物品」は、酒税法施行令6条にあります。

(ビールの原料)
酒税法施行令6条

法第3条第12号ロに規定する麦その他の政令で定める物品は、次の各号に掲げる物品とする。
一 麦、米、とうもろこし、こうりやん、ばれいしよ、でん粉、糖類又は財務省令で定める苦味料若しくは着色料
二 果実(果実を乾燥させ、若しくは煮つめたもの又は濃縮させた果汁を含む。)又はコリアンダーその他の財務省令で定める香味料
2 法第3条第12号ロに規定するビールの原料中政令で定める物品及び同号ハに規定する政令で定める物品は、前項第二号に掲げる物品とする。

酒税法施行令6条

酒税法施行令6条1項1号に規定されている「財務省令で定める苦味料若しくは着色料」は、酒税法施行規則4条にあります。

(ビールの原料)
酒税法施行規則4条

令第6条第1項第一号に規定する財務省令で定める着色料は、カラメルとする。
2 令第6条第1項第二号に規定する財務省令で定める香味料は、コリアンダー又はその種のほか、ビールに香り又は味を付けるため使用する次の各号に掲げる物品とする。
一 こしよう、シナモン、クローブ、さんしようその他の香辛料又はその原料
二 カモミール、セージ、バジル、レモングラスその他のハーブ
三 かんしよ、かぼちやその他の野菜(野菜を乾燥させ、又は煮つめたものを含む。)
四 そば又はごま
五 蜂蜜その他の含糖質物、食塩又はみそ
六 花又は茶、コーヒー、ココア若しくはこれらの調製品
七 かき、こんぶ、わかめ又はかつお節

酒税法施行規則4条

より詳しく知りたい場合は、以下の国税庁、2019年3月、2019年9月改訂「平成29年度税制改正によるビールの定義の改正に関するQ&A」に詳細が載っていますので、参考にしてください。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0018004-031_01.pdf

3.まとめ

これらの定義をまとめると

  • アルコール分1度以上20度未満のもの

    • 麦芽、ホップ、水のみ(麦芽比率100%)

    • 麦芽、ホップ、水に①一定の副原料を原料として発酵させたもので、麦芽比率50%以上、かつ、②副原料が麦芽の5%未満

    • 上記2つに麦芽の5%以下のホップ等の②副原料を加えて発酵させたもので、麦芽比率50%以上、かつ、②副原料が麦芽の5%未満

2種類の副原料が出てきますが、
50%未満とされる①副原料は麦、米、とうもろこし、こうりやん、ばれいしよ、でん粉、糖類又は一定の苦味料若しくは着色料
であり、
5%未満とされる②副原料は果実又はコリアンダー等の香辛料
という違いがあります。

すなわち、麦芽比率50%以上というのは、麦芽以外の①副原料の比率が50%未満であり、麦芽以外には、麦、米、とうもろこし等が認められているだけです。他方、②の副原料としての果実又はコリアンダー等の香辛料は麦芽の5%未満にしなければなりません。

なお、酒税法施行令6条第1項第1号にある「財務省令で定める着色料」はカラメルであるのに、「財務省令で定める苦味料」はなぜか規定されていませんでした。

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