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ウーユリーフの処方箋(6章前半)

誰が敵で、誰が味方なのか…誰を、何を信じたらいい?
いや、そもそもーー俺は、何だ。

自分のココロと向き合う、そのゲームの名は、
『ウーユリーフの処方箋』

6章 感想

「さあ、マツリ。」

キリオが、歯車をここに乗せろとばかりに手のひらを出す。

「みんなで仲良く分けっこできたらよかったのにね」

(キリオ…その切ない笑顔反則や…😭)

「お前は…他の世界には出られないだろ」

(マツリくんなかなかひどいこと言うな…)

「いいや、出れる。君達とは違う世界かもしれないけれど、ここではないどこかには行けるはずなんだ。だって、そういう“設定”だから」 

(そうだよね。例えそこもゲームの中だとしても、ここにいたくはないよね。だってここには誰もいないし、ここに残ればヒロインに喰われるだけだ。私はキリオをここに残しては行きたくないよ…😢)

「みんな出ていった…出世したり、諦めて他の世界へ行ったり…それなのに、俺だけずっとここにいる」

「なんの話だ…?キリオ、お前は何者なんだ?」

(いや、これ完璧キリオ=トモキじゃーーん。え、やっぱラスレジェが現実でしたってオチ??いやだ、それだけはやめてーー😫)

マツリが歯車を渡さないとみて、キリオはスピアガンを構え直した。その時。

ガシャンッ

何かが割れる音がして、辺りには炎の海が広がった。

「こっち」

ミトが、マツリの腕を引いて走り出した。

(いやミトくんこそ何者なの??笑 ただのNPCじゃないよね…?)

マツリは何が起きたのか、どうしたらいいのか混乱して何もわからない。
それに対しミトは、少しの迷いもなく進んでいく。着いたのは、ウーユリーフのもとだ。

「ミト、わけがわからない…!」

「ノゾミが死んで、キリオが歯車を狙ってる。」

「歯車、そうだ…どうしよう、一つしか…」

「キミが使って。大丈夫、キミは主人公だから。」

マツリの肩を強く掴み、ミトが優しく微笑む。マツリが困惑していると、キリオがヒロインを引き連れて追ってきた。

「仲良く心中ってワケじゃないよね、マッツン。早くしないと、二人ともヒロインに喰わせるよ!」

「マツリくん、早く腕輪を完成させて。僕のことはいいから。」

後ろは絶壁。マツリがもう一度ミトを見ると、ゆっくりと頷かれる。迫ってくるヒロインの足音。

「…わかった。」

ミトが嬉しそうに笑う。しかしマツリは、反対にミトの肩を掴んで力強く言った。

「必ず迎えに来る!呪いを解明して、助けに来る。だからーーその、一緒に、オフ会しよう。」

ミトは一瞬驚いて、すぐに柔らかく微笑んだ。そして、

「うん。待ってる。」

ザブーン

ミトは、マツリを川につき落とした。

真っ暗な視界の中で、ウーユリーフの声が聞こえる。

「誰も信じられませんか?大丈夫、これは処方箋。みんな、あなたの味方です。」

待ってくれ!
声にならず、マツリの手は空を切る。

…空気?

「ぷはっ!はぁ…はぁ…っ」

必死の思いで陸に上がる。いやに静かで、独りだと実感する。みんな、居なくなった。カナタにノゾミ、キリオも、ミトも…独り。

やばい。

「大丈夫、俺は美形で頭が良くてなんでもできる男だ…っ」

しかしいくら自分自身に暗示をかけようとしても、全身の血が冷え視界が暗くなっていく。聞こえるのは、いつかの母の悲鳴。

「あんたまで私を捨てるの!?あんたは!一人じゃ!何もできないのよ!!」

普段は優しい母。だけど、ヒステリックになったときの悲鳴が、俺は大嫌いだった。

「いやぁあああぁああアッ」

やめてくれ。違う、違うんだ!俺はなんでもできて…
ああ、だめだ。落ちていくーーー

「オーーイ!マツリくーーん」

ハッと意識が引き戻される。マツリの視界が捉えたのは、確かに。

「ミーハー…」
「列車がクルヨ!イッショにラストレジェンドを観に行こう!ほら、急いでイソイデ!」

ミーハーがマツリの膝をグイグイと押す。ここは、駅のホームだったのか…。マツリは、ミーハーに押されるまま列車に乗り込んだ。

(ここ、マツリくんと一緒に私も全身の血が引く感じがしてた。だからミーハーがめちゃくちゃ天使に見えたよ…。そして、ミニゲームをちゃんとやってた人はここで密かに感動ポイントが!笑)

列車に乗ると、ミーハーがラストレジェンドの話をしてくれる。どうやら、マツリ達がゴタゴタしている間に円果は負けてしまったらしい。

「それは残念だったな」
「ンーン!それがね!ドラマがあったンダヨ!」

円果は負けた。しかし、対戦相手の和歌が決勝を辞退し、円果を決勝に進めてくれとプロデューサーに直談判したらしい。
つまり、これから観に行く決勝戦は円果と友喜の対決というわけだ。

そんな雑談をしていると、ミーハーがマツリのポケットに入っている木箱を指さす。しかし、すぐに興味をなくし、列車内の探索に行ってしまった。

マツリは一人箱を開けると、中にはスマホが入っていた。なんとはなしに起動してみると、あるゲームが始まる。そう、

ウーユリーフの処方箋だ。

(ここめっちゃビックリしました…だって急にしっかり別ゲームが始まるんだもん笑 めちゃくちゃこってるな〜。しかも、足があって走っているキリオが映った!もうそれだけで感動🥺笑)

ゲームを進めていくと、そこにはヒロインの苦悩が描かれていた。いきなり知らない世界に迷い込み、そして自分の意思とは関係なく動く自分の口。勝手に始まる新生活、勝手に進む恋。

「わたしの好きに生きさせて!わたしに好きな人を選ばせてよ!!」

しかしそのヒロインの叫びは言葉になることはなく、設定の通りに彼女は生かされるのだった。

そこで電源が切れ、マツリは呆然とする。そうか、これが、彼女が二人を殺した理由だったんだ…。

するとちょうど、ミーハーが帰ってきた。マツリは、今のゲームで気になった点をミーハーに尋ねる。

「お前、ヒロインのゲロだったのか」

そう、ゲーム内でミーハーは、ヒロインのゲロとして描かれていたのだ。するとミーハーもすんなり認める。

(ミーハー=ヒロインの自我みたいな感じなのかな?ミーハーが体内から出て行ってしまったからヒロインは設定通りに操られた?ミーハーを飲み込んだら自我を取り戻してもとの自分に戻る…とか?)

「ネェ、マツリくんは、ズットココにいてくれるワケじゃないの?いつか、帰ってしまうの?」
「…ああ、そうだ。俺は、帰りたい。」
「ソッカ。…寂しいケド、それがマツリくんの夢なら、応援するネ!」

ミーハーがマツリの膝に抱きついて、しかしすぐに離れた。

「ボク、好きな人のアシを引っ張りたくはないんだあ」

(ここのミーハーが最高に泣ける😭そっか、ミーハーがいつも足にしがみついてたのはその暗喩だったんだね…そしてミーハーがファンの鑑すぎて見習おうと思った笑 最初はウザキャラだったのに、いつの間にこんなに愛しくなって…)

「現実世界に帰っても、お前を絶対に忘れない」

マツリとミーハーは固く約束した。

そのとき、ドオンッと爆音がし、列車が止まった。故障だろうか?

扉を開くと、何故かそこは乙女ゲーム部署だった。

「!?」

どうなって…いや、ゲームの世界だからおかしくもないのか?
マツリが立ち尽くしていると、会議が始まる。今回のコンペでは、新人ロボの案が採用されたのだ。他のロボ達も褒められる中、ベテランのイコモツだけはなにも講評がもらえない。

イコモツ「あ、あの、ロボP、オレは…」

ロボP「…そろそろ、潮時なんじゃない?」

イコモツが、一人会議室に取り残される。

取り残されるーー

「マツリくん!ココに電話がアッタヨ!」

ミーハーの声に、意識が引き戻される。すると、もう会議室はなくなっていた。あれは、夢…? 

マツリは電話にかけられた謎をとき、運転手に連絡を取る。すると、何者かが列車を引っ張ったために故障しかけたそうだ。すぐに運転が再開した。ところで、

その“何者か”って…

「ぐァっ…」

強い衝撃が走ったと同時に、“何者か”にマツリが壁に押し付けられる。そう、何者かーー

ヒロインが、列車に突っ込んできてマツリを捕まえたのだ。

少し見ないうちに巨大化した彼女の腹には、ミトの顔が埋まっているのが見えた。

「ミト…っ」

しかし、他人の心配をしている場合ではない。ヒロインが好感度選択肢を操作し、マツリの好感度が上がってしまった。

このままではヤバい。俺も喰われる…っ。

マツリの頭を死がよぎったとき、ミーハーのデカイ声が聞こえた。

「マツリくんにナニスルのサ!!どうして、マツリくんをイジメるの!?」

ミーハー…?

朦朧とする意識のなかで、ヒロインをポカポカと叩くミーハーの姿が見える。

「ボクは、マツリくんが大好きだ!ダカラ、絶対にマツリくんを傷つけたりしないンダ!」

「ミーハー…ッケホ、」

急に苦しさがなくなり、ドサッと床に落ちる。マツリを掴んでいたヒロインの腕が、ミーハーをつまんだ。

「ヤメロー!離せ!!」

「ミーハー!」

「マツリくん!!」

マツリが手を伸ばす。ミーハー…!

ブチッ

無機質に音が響き、ミーハーは動かなくなった。

そのままヒロインはミーハーを飲み込む。

「嘘だろ…ロボットなのに…ミーハー…」

愕然としていると、ヒロインが苦しみだした。なんだ…?
そのとき、車内アナウンスがかかる。

「当列車はまもなく、決勝戦会場に激突到着致します。脱出方法がわからない方は運転手までお尋ね下さい。」

「はあ!?」

なんだ、激突到着って、脱出って!?
わからないことだらけで混乱する。しかし、まずは自分の命を優先せねば。マツリはのたうち回るヒロインを無視し、運転手のもとへ走った。

マツリが迷わず脱出ボタンを押すと、ギュンっと上空に投げ出され、パッとパラシュートが開く。落下速度が緩やかになってようやく、マツリは外の景色を見た。操縦せずともパラシュートはある一点に向かっていく。

「あれが、決勝戦の場だ」

.

.

しんどい。

いやもうしんどいでしかない。みんなでわちゃわちゃご飯を食べてた平和な日々はどこに行ったの…😭

記事では飛ばしちゃいましたが、ゲーム内で始まったウーユリーフの処方箋もふつうにゲームとして完成されててすごい!

それに、運転手のセリフもけっこう感慨深かったなあ。

そんなわけで、特に6章は実際にプレイして見ることをおすすめします!
話数が多いのでどうしても長くしまって、だいぶ省いてるので…。というより、話数の多さより私がキリオ推しだからなんですけども笑

というか、ふつうにミトくん食べられちゃったけど彼は結局なんだったの??その謎は最後に明かされるのかな。

このままいくとラストレジェンドが本当の世界でしたオチになりそうでとても怖い。どうしよう、会場入った瞬間に腕が軽くなった気がする。見ると、機械だったはずの腕は、人の腕に変わり、服も現実的なものに戻っている。というか、俺はこんなに肌が白かっただろうか?

ふ、と窓ガラスに映った自分を見て、俺は愕然とする。そこに映ったのは門マツリではなく、律円果の姿だった。

みたいな展開だったらどうしよーーーそれはやだ😭😭

私は、マツリくんはゲームのキャラじゃないことに意味がある…と思いつつ、また進めて行きたいと思います!

(ウーユリーフの処方箋 6章前半)

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