【採用担当者向け ITエンジニア採用ノウハウ】志向性編
「志向性」とは、個人個人が大切にしているスタンスや考え方等の価値観のこと。
候補者の中には、志向性がしっかり固まっていて自分でもよく理解している人、複数希望があるもののどれが本当の志向性かわからない人、本音と建前で別れている人など、志向性の捉え方、向き合い方は人それぞれです。
しっかり把握している人であればあるほど、自分に合った企業を見つけることができます。
企業も志向性を把握する必要があります。
自社の開発部門やIT技術部門がどちらの志向性を持ち合わせているかを把握しないと、どの候補者を採用するべきかという軸がブレてしまいます。
どちらも、仕事をする上でこれだけは譲れない!というポイントがあるはず。
それを見つけ企業・候補者間で擦り合わせることにより、お互い納得のいく採用結果を導き出す事ができるでしょう。
今回はその志向性をどのように見抜くか、実例とポイントをご紹介します。
(1)そもそもなぜ志向性を見抜く必要があるのか?
志向性を見抜く一番の理由は「ミスマッチの防止」です。
企業が大切にしていることや置いている価値観と、候補者が重要視していることや譲れない労働条件などにギャップがあると、お互い心地よく働くことができません。
また採用の段階で志向性が擦りあっていないと、「あれ、この候補者とは何かが合わないかも?」という疑問が晴れないまま選考を進めてしまうことになります。
特にずれてしまいがちなのは給与。
エンジニアは求人倍率が高く、デジタル社会における重要な技術職でもあることから、他の職種よりも高めの給与を出す企業が増えています。
マイナビ転職が2022年4月に発表した「正社員の平均初年度年収推移レポート」によると、全職種の中でITエンジニアの平均初年度年収が2番目に多いことがわかりました。
しかも未経験・経験者どちらも、コンサルタントや金融、不動産専門職に次ぐ高さで、500万円以上です。
つまり、企業が他の職種より高い金額でエンジニアを募集していることを表しているのです。
もし応募したエンジニアの志向性として「給与」が最重要項目であれば、いくらその企業が自分の得意とするプログラミング言語が使えたり、自分がやりたいプロジェクトに携われたり、自分の理想とするキャリアパスを描けそうだったりと様々な魅力があったとしても、収入面で納得がいかないと選考を断る可能性が高くなります。
もちろん候補者の中には、給与面より働き方や開発環境、成長性を優先している人もいます。
(2)ITエンジニア採用における企業の志向性
JELLYFISHの過去の取引実績から分析すると、ITエンジニアが多く在籍するIT企業では、大きく分けて3つの志向性に分かれています。
①プロダクト志向
自社開発を行う企業が求める人物像に多い
候補者には入社後、自社プロダクトをいかに成長させるかを一緒に考えてほしいと考えている
自社が関わる市場や競合他社と比較したときの自社の立ち位置といったビジネス視点的観点から、自社プロダクトのニーズや改善点などのアイデアを出す傾向にある
②ユーザー志向
toC系のプロダクト開発に多い
ユーザーの使いやすさや有意義さなど、ユーザ視点でのプロダクト開発ができる人を求めている
③技術志向
技術力の高さを重視
その技術さえ使えればどんなプロダクトも作ってみたいという技術オタクのような人を求めている
自社内で定期的に技術向上の研修や勉強会などを積極的に開いている
例えばプロダクト志向が強いからと言って、ユーザー志向や技術志向が全くない、というケースはありません。どの企業も3点全て持ち合わせています。
しかしどれに重きを置いているかによってプロダクト志向、ユーザー志向、技術志向と分けることができるのです。
(3)候補者の志向性を見抜くための具体的な質問内容例と回答の傾向
では企業の志向性がわかったところで、候補者の志向性はどう見抜くことができるでしょうか?
具体的な質問と回答の傾向から、候補者の志向性の探り方・考察の仕方をご紹介します。
<質問>
履歴書や職務経歴書をベースに、”Why” と “How” を用いたオープンクエスチョン(YesかNoでは答えられない、その人から具体的な答えを引き出す際の質問の仕方)で聞くと、候補者は自分の言葉で話すことができ志向性を引き出すことができます。
候補者をプロダクト・ユーザー・技術・その他の志向性に分類した際、下記のような回答があればその志向性が強いと言えます。
■プロダクト志向
自分で作ったもので御社の利益向上に貢献したいと考えています。
こういうプロダクトを作りたいと考えています。
このプロダクトには〇〇の機能を持たせると改善されると思いますので、XXという技術を使えば・・・
■ユーザー志向
ユーザーが毎日使うもの、手にするものを使いたいです。
みんなが毎日開きたくなるモノを作りたいです。
誰かの人生にインパクトを残せるものを開発したいと考えています。
ユーザビリティやアクセシビリティを考えたときに、この技術やフレームワークを使えば・・・
■技術志向
得意な言語は〇〇です。その理由は・・・
この技術は〇〇という点でプロダクトのXXという特性に合っていると思います。
現職で○○を使ってXXを開発し、○○に興味を持ちました。御社ではその技術力を向上させたいと考えています。
■その他
安定志向…前職がプロジェクトごとにメンバーや役職、働き方が変わるため、そのような変動があまりない環境で働きたい。
給与志向…自分のスキルセットと給与面が合わない、前職で〇〇万円だったため、これより下回る場合はどのような好条件・好待遇だったとしても前向きに考えるのは難しい。
(4)まとめ
志向性は企業や候補者の中でも、はっきりわかっている人もいれば、自分でも明確に決まっていない人、複数混在していてどれが本当の志向性なのか不明瞭な人など様々です。
企業は自社にどのような傾向の社員が多く、過去の採用でもどのような候補者を求めてきたのか、などという実績やノウハウから、傾向が強い項目から志向性を定めることができます。
また候補者には「なぜ」や「どのように」を深掘りしていくと、その志向性が見えてきます。
その志向性を一致させることでその候補者が自社とマッチする人かどうか見極めることができ、もし選考の中でマッチしないと判断した場合でも、「なぜマッチしなかったか」という理由に納得感を持たせることもできます。
一緒に働く仲間と目線と方向性を合わせながら働くために、是非選考の中で確認する機会を設けてみてはいかがでしょうか?
もし志向性に関する採用事例がありましたら、ぜひぜひコメントで教えていただけると嬉しいです!
引き続き、エンジニア採用関連のネタの投稿を続けていきますので、よろしくお願いします!