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消えない魔法を探している

春になったら学校も仕事も休んで桜を見に行こう、明るい空に百均で買った子供向けのしゃぼんだまセットでかなしいこと全部を吐き出すの 夏になったら海に行こう、消えない傷跡の所為で海に入れないけれど一緒なら長袖でいたって大丈夫だよ 秋になったら月を一緒に見に行こう、死にたい夜に月を見ながら他愛もないことを話してもいいと思うの 冬になったらもう一度海に行こう、冷たい風に泣きそうになって「死ぬのは別の日にしよう」って一緒に笑ってよ それまでは死なないでよ

わたしのしあわせはあなたが生きていることだけれど、(しんでしまったひとは二度と息を吹き返さないことを知っている、彼は二度と笑わないし二度と言葉を発さない、わかっていることだ、いずれ受け入れなければならないことだとわかっていることだ)けれど、わたしの不幸はあなたが不幸であることだから、あなた自身が息をしていることその事実が不幸なら終わらせてしまっても構わないと思う、しあわせの一歩手前で一生足踏みをしているような日々でいいから、不幸にはなりたくない、けれどしあわせとはなんだろう
消えない魔法を探している、きこえなくならない声を探している、わたしと地獄に堕ちてくれる人を探している、いなくならない人を探している、あの人がいればわたしは生きていけたのに、あの人がいなくなって、死にたい理由があの人がいないから、に変わってしまった

(いきてるだけでえらいって、それってだれがきめたんですか、かってなこといわないでよ)って常々おもっているのに、ほんとうのこと言いたいのに言葉がぜんぶ安くなっていく、わたし、ほんとうは、

憂鬱と重力と悲しみの所為で一日中ベッドに張り付いている生活をこのまま続けるよりも、市販薬に狂わされながらまだ息ができていたときの方がまだマシな気がする、ほんとうは人間になれないくせに

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