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過去のぼくもやっぱり馬鹿だからさ

灰になる方法を探している、骨と脳を市販薬の過剰摂取で溶かしていく、薬をシートから出すのはまだ慣れなくてだけど慣れるものでもないのかもしれませんね、初めて飲んだチューハイはなんの味もしなくて、初めて参加した親族の葬式はただ眠いだけで、骨になった笑顔の素敵なあなたを見て思うことなんて、なんだこれが人生の正体か、とか、そういうことだけだった、結局さ、ぼくらが人生で起こす行動すべてなんの意味もないのかもしれないね、それってひどいよ、とか言って泣き喚けばいい、の、かな、なんて、おもうわけです 毎日毎日毎日、まいにち、まいにち、クリスマスシーズンのイルミネーションを見て、こんなにむなしくてかなしい気持ちで歩いているのはわたしだけなんじゃないかって、こわくなるみたいな感情の中を生きていること、あなたは分かってくれるかな、ずっと人生が終わらないかなって祈っていること分かってくれるかな、分かんないか、そっかそっか、ごめんね? とか乾いた笑いのなかで謝ったらぼくのことで傷付いてくれるのでしょうか 愛されたい、許せやしない、前を向けない、生活の余裕もない、優しくする気力もない、でも優しくされたい、守られたい、優しくされたい、誕生日ケーキを手掴みで食べましょう、ふゆみたいに冷たい春みたいにやさしい映画を見よう、ポップコーンは一番高いやつを買おう、つまらない想い出は全部まとめてゴミ箱に捨ててしまおう、愛されたいなんて飽きずに願う自分を殴り付けよう、新しく買ったギターは今年一度もケースから出されていないけれどそんなの忘れよう あの日の情熱はないけれど、過去のぼくもやっぱり馬鹿だからさ、正しい傷付き方も知らないくらい馬鹿だからさ、こんなわたしでもゆるしてくれるよね、ね、きっと ビールに口をつけて煙草を吸って、昨日の服のまま夜風に当たろう 灰になる方法を探している

「月を見つけて。わたしを見つけるみたいに。」

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