ミニチェア(詩)
ミニチェア 丸田洋渡
ミニチュアの椅子 ミニチェア
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椅子と椅子が結婚したとして ミニチェアが期待されるなら 家具屋から逃げるしかない
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家具屋姫 まぼろしの家具を要求
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人の式典が再び開かれるまで 椅子はすしずめ
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アマチュアの椅子 アマチェア
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ありとあらゆる可能性からひとつに選ばれた わけではなく、初めからそうなる予定で、椅子になった木
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ミニチェアを作るのに必要 ミニ木
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主にアスファルトとコンクリートによって彩られた世界 その中の家の中のガラスの中の夜の中の ミニチェア
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話術のうえに建つジオラマ
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グッドよりクールの方が嬉しかった当時 ミニであることよりもその造形を褒められて嬉しかった
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雪浸しの下駄 花札みたいな雪崩が遠くで起きる 流れて、壊滅はひとしきり 椅子はさらにひとまわり小さくなった
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工場制椅子工業 マニュファクチェア
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戦争と椅子のサイズについては波乱があり、たっぷり相関があった
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ミニチェアに関する暗号を盗み出すためのスパイもまた、小さくあるべきだという議論がなされた
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ミニチェアのために泣いてくれる人間がいたことなんて、一度だってある?
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尊厳 と落書きされたミニチェア 太文字で
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死ぬまで殺せ という命令が下りた
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思い出すまで思い出せ という命令が下りた
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ミニチェアに腰掛けたミニベアー
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椅子にあるまじき願望
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チェスの椅子版 チェア
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椅子は涙を流さなかった ミニチェアが生まれたときも ミニチェアが叫んだときも
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人がミニチェアに求めたものと、椅子がミニチェアに求めたものは、大きくかけ離れていた
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椅子に残された時間
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うつくしい鉋
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ミニチェアが今考えている
チェアの次なるとどめの一手
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