天から役割なしに降ろされたものは一つもない
ゴールデンカムイ実写版見てきました。アイヌ語では、カントオロワ ヤクサクノ アランケプ シネップ カ イサム。この言葉はアイヌのことわざですが、アシリパがアチャ(父親)から聞いたと杉元に言うシーンがあります。アシリパも杉元もそれぞれに役割があるという会話です。
誰でももともと誰かの役に立っていて、出来ないことは誰かがやってくれる。お互い補いあって生きていけるし、落ちこぼれなんてもともといない。本来の生き方をしていけば、お互い助け合い、補い合って笑顔でいられる世界ができる。それがアイヌの考え方です。
戦わないことを誇りにする民族
アシリパと杉元が協力する際に1つの約束をします。決して人殺しをしないこと。熊と戦い、狩りをして多くの獲物を殺しますが、それはカムイからの贈りものであり、感謝していただき天に返していきます。人間同士、戦わないで生きて行くことに命をかけ、誇りにしていました。
カムイはあらゆるところにおり、いつも自分たちを見守っている存在です。人間に強い影響があり、重要な働きをしています。動植物や火、風、山、水や川などどんなものでもカムイであり、自分の命もカムイであり、大切にしなければいけない存在と考えます。自分も相手も尊重する、そんな社会がアイヌの共同体です。
本当の自分を確認する
アニメのゴールデンカムイも見ていましたが、基本的にはストーリーはそのままでした。映画用に膨らませ見ごたえがあるシーンも多く、何も知らない方でも十分楽しめるものでした。北海道の冬のロケが多く、リアルな自然や風景が素晴らしく撮られていました。実写版の感動は、アニメとはまた別のものです。
冬の北海道の自然はそれ自体が素晴らしく、自然の中の自分を感じられます。自然(カムイ)との関係の中で、本来の自分を感じていく。北海道の自然には神秘なる力があるような気がします。長く生きてこられた、アイヌの祈りがあるのかもしれません。北海道に来てそれを感じていただきたいし、なかなか来られないときはゴールデンカムイを見ながら、少しでもそれを感じていただければ幸いです。