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「しいたけハウスがステージに変わる展」 TOMONORI MURAOKA さんにインタビュー!「その1」

*インタビュー 2022年7月初頭

Japan Entertainment TOKYOが運営する舞台芸術団体「まちとひととをつなぐ芸術プロジェクト Circle」。2021年に行った公演の展覧会を、2022年7月、東京にて開催します。
今回はCircleメンバーの 身体パフォーマー、空間演出家のTOMONORI MURAOKA さんにインタビューを行いました。(聞き手: Circle制作部)
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「山に、生きる。」初演時の様子

制作部:
「しいたけハウスがステージに変わる展」は、2021年9月の「山に、生きる。」という、地方のしいたけ栽培ハウスにステージを建て行った舞台作品の、展覧会です。「山に、生きる。」の公演から現在に至るまで半年以上経っていますが、改めて初演から今に至るまで、心境の流れをお聞かせください。
MURAOKA:
「山に、生きる。」当時はとにかく、コロナ禍だったし、僕にとっても初めてのことだったでしょう。どうかな、という感じだったんだけれども、やってみてどうだったかといわれたら、楽しかった。大変だけれども、楽しい。

制作部:
「大変だけど楽しい」というのは、どういう楽しさでしたか?
MURAOKA:
まず、やったことがない、新しいことにチャレンジする楽しさ。あとは自分の作品が作れるという楽しさ。そこですね。
制作部:
大変だったことは?
MURAOKA:
一番は天候。去年はとにかく雨の日が多かったので、ステージ施工について予想していたスケジュールよりは変わってしまったんだけれども、できてよかった。天候に関するスケジュールは大変でしたね。
制作部:
本番自体も1日伸びていましたからね。
MURAOKA:
そう、台風でね。やっぱり屋外のステージだから。・・・野外というところで言うと、電源をどうしよう、とか虫が来る、とかそう行ったところは大変な要素の一つですね。
制作部:
でも、やってよかったですね。個人的には電源がないとか虫がいるとか、それそのものも大変だったんですが、制作部は別事業などの諸事情で、去年の8月の末になるまで東京から出られなくて・・・MURAOKAさんが何かやってるのはわかるけど、一体今何が起こってるんだ?どうやって何をしてるんだ?・・・という状況だったんです。でもできることは東京にいてもあるわけで、電源がない、とMURAOKAさんから話があったらワイヤレススピーカー買わなきゃ、とか虫がいるなら注意喚起をして、スプレーを受付に準備して、みたいな対策を考えて進めていきました。制作って準備をする仕事なんですよ。よくPDCAって企業では言いますけど、そのP、準備の段階を重視するんですよね。「何かが起こりそうならこれを準備する」ということがすごくたくさんできたのが、大変、ではありましたが・・・でも、大変だったけどそれがすごくチャレンジングで楽しかったな、というのはありました。大変で楽しい、みたいな感じで、やりがいがあったな、って思いました。
MURAOKA:
そうですね、「やりがい」ですね。確かに。
制作部:
MURAOKAさんは自分の作品が初めて作れる、というところで・・・初めてでもなかったんだと思うんですが。自主公演などもされてますよね。
MURAOKA:
いえ、ここまでの大きいものを作ったのは初めてですよね!まずそもそもステージを作るということが大きいし、映像作品のことも同時進行で進めていたので、映像では成り立つけどライブパフォーマンスでは成り立たないシーンをどうやってやろうかな、とか。単純にライブパフォーマンスで楽しんでもらうためにはどうすればいいか、とか。そういうところはやっぱり大きかったし、「やりがい」でしたね。

ステージ施工の様子

制作部:
映像版の「山に、生きる。」とライブ版の「山に、生きる。」って、先日もTwitterに書きましたけど、同じストーリーが展開されているけど、アプローチの仕方、見せ方、まとめ方が全然違うと思います。あれはどういう形で作っていったんでしょうか?
MURAOKA:
もともと映像版の方は、最初から頭にあったんですよ。途中でカモシカとダンスをして山が映るシーンがあるんですけど、最終的には僕はあのシーンを見せたかった。というのもあの山も、ただの家の前の山なんですよね。そのなんでもない山が、ああやって見ると「綺麗だな」っていう・・・あの映像のシーンの山の景色というのは、ライブを見に来た人というのはわからない。僕がライブでカモシカと踊っているときに、センターで長く止まるシーンがあるんですよね。僕は空を見ているんだけれども、そのライブの僕の目に映っているのは、あの映像の山、という。
そういう作り方をしていました。自分自身もリアルに「感動している」という・・・ライブのお客さんからは、僕とカモシカと、後ろの山と吹き抜けている空しか見えないけど・・・でもそういう感覚で僕は作ってました。

制作部:
その作り方が新しくていいな、と思っています。一方が一方の答え合わせ、みたいな。作品を見ているとどうしてもお客さんとしての「主観」って入ってしまうと思うんですけど、でも作者が本当に言いたかったことは何か、というのを多角的に見るというか、アートのこういう楽しみ方があったんだ、ということに触れられて、私自身興味深かったです。

ちなみに、作品の中に白い服の登場人物が出て来ますが、以前のインタビュー(https://motion-gallery.net/projects/oganowip/updates/37654)
でMURAOKAさんであって MURAOKAさんではない、という話が出てきました。でも、「人間でもない」という理解で良いのでしょうか?人物が空を見上げつつも、見ているのが見下ろしている山である、というのはすごく興味深いです。同時に見ている、ということですよね。神秘的な存在になっているということでしょうか。
MURAOKA:
あれはですね、やっぱり僕なんですよね。自分でやっている。ただ、カモシカと踊っているシーンについては、現実じゃないから・・・自分は自分なんですけど。夢を見ているときみたいな。
制作部:
なんとなく映像でも白昼夢みたいな形でしたね。
MURAOKA:
そうそう。

制作部:
では、今に至るまでの心境はいかがでしょう?
MURAOKA:
楽しいですよ、もちろん。楽しいけど嬉しいかな。自分の作品がまたこういった形で皆に見ていただけるチャンスがある。
制作部:
また今回、小鹿野町とは離れて東京ですからね。
MURAOKA:
そう。
制作部:
また違った角度でいろんな人に見ていただけますね。今回は東京ということで、都会の人に見ていただけますね。会場のココキタに行った時にすごくMURAOKAさんのテンションが上がっていたのが見えて、「嬉しそうだな・・・」というのは思いました。

会場 ココキタ

MURAOKA:
あれは嬉しかったです。会場でも展覧会のアイディアを色々考えることができて・・・でも、きっと前の僕だったら「もっとこうしたいのに!」と言っていたと思うんです。けど、最近は自分のそういう感情に縛られなくなった。今は、「どうやったら全力で楽しめるんだろう?」と、自分の力しだいでその場その場をやっていく、というのが楽しい。・・・正直本当は、もっととんでもないことをやりたいけど(笑)
制作部:
アーティストとして、また違った観点を得た感じがしましたね。
MURAOKA:
自分としてはこだわりを捨てた感じです。こだわるところはこだわるんだけど、それでもあんまり固執しないです。今までは、すごい人たちと自分を比べてしまうところもあったけど、今は「そうじゃないな」という。

(インタビューその2へつづく)
https://note.com/je_tokyo/n/n85cdf38f010c

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まちとひととをつなぐ芸術プロジェクト Circle

「しいたけハウスがステージに変わる展」
展覧会詳細:

前売りチケット(先着30名缶バッジつき):
http://quartet-online.net/ticket/shcs

日時:
7/18(月・祝) 18:00~20:30
7/20 (水) 9:30~20:30
*7/19(火)は休館日のため、展示をお休みします。

展示会場:
東京都北区「ココキタ」
王子駅よりバス
「豊島六丁目」「豊島五丁目団地」下車 徒歩3分
kitabunka.or.jp/cocokita/


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