つみきとパフォーマンスのコラボレーション企画 「風見鶏」櫻井麻樹さんにインタビュー!「その2」
つみきとパフォーマンスのコラボレーション企画「風見鶏」演出の櫻井さんをお招きしてのインタビュー「その2」です。
インタビューその1はこちら↓ https://note.com/je_tokyo/n/n44c7fe424126
櫻井さん:
僕自身、映画や舞台に出て食べていく事がゴールだと思っていたのが、人と一緒に生きていく、芸術と暮らしを結ぶということが楽しいな、と心境が変わりました。
俳優の人は人前に立って演技をすること以外にも仕事はできるし、地域の人達と協働できる社会ってあるんじゃないかな、ということを思っています。
惡澤:
面白いですね。特にアートはそうだと思うんですが、数十年くらい前にコンテンポラリーダンスや身体表現が台頭してきた頃は、「何だこれは?」という感想を持たれることが多かったと思うんです。そこから、「身体表現はこう見るんだ」というのがわかるようになって、数十年くらいかけて歩み寄りがあり、今のコンテンポラリーダンスの流行につながっているのかなと思います。櫻井さんはそこからもう一歩踏み出して、パフォーマーや芸術に関わる人たちが、どのように社会に出るか、というところを探している訳ですね。私にとっても興味深いところです。
ところで「風見鶏」はディバイジングの手法やつみき、キャストなどを組み合わせた公演ですよね。どのような観点からそのような要素を取り入れようと思ったのでしょう?
櫻井さん:
言葉にするのが難しいところではあるんですが、僕の中での色々なものがごちゃっと混ざった、という形です。 ジャンルがいろいろあっていい、やることもいろいろあったらいい、と思った時に、僕が知り合ったダンサーの方達、俳優の方達、俳優をしつつも身体表現もやっている方、色々な価値観を持った人達が今回参加してます。
さらに脚本もなく、その人たちの中から生まれてくるもので構成をする。つみきが形を変えて、見る人によってイメージが変わる。
このような作り方でクリエーションをしています。
惡澤:
この作品については、櫻井さんの経験の追体験みたいな部分もあるのでしょうか?
風見鶏のクリエーションでは「もし人生でこちらの道に行ったらどうなる?」という問いかけがよく出てきます。櫻井さんはこちらに行ったかもしれない。でもこのパフォーマーはこちらに行くかな、同じ方向に行くかな、というのを櫻井さん自身、見たいのかなぁと思ったりもしたのですが・・・
櫻井さん:
何でしょうね・・・それよりは、「ここ」にたどり着いてしまっている、過去のいいこと悪いことも経てしまった、蓄えてきた積み重ねという流れをパフォーマーに持ってきてもらって、じゃあそれらをどうしていくか?というのを皆さん自身が共感したり、共感できない、と思ったり、未来でひょっとしたらこういうことが起こるかも、と思ってもらったり・・・というところを狙っています。
それが追体験と言ったら追体験かもしれません。
惡澤:
人生こそが物語、というニュアンスでしょうか。
櫻井さん:
そうですね。生きているだけで語ってる。ならばその生き様を舞台に乗せてください、ということなのかもしれないですけれども。
惡澤:
チラシにも「過去と向き合い、今を踏まえ、未来への想いを描く」とありましたが、何となくパフォーマーの皆さんのことが深くわかる作品になるのかな、と思いました。人間は過去を語りたがらないけれども、それが表現としてできたら、ある人には共感を生むし、あるいはアンチテーゼも生まれる、ということなのかなと。
櫻井:
パフォーマーの人生経験を生かして何かを作っていく、という作品は多いですよね。「本物の人生」と「それを生かした違うもの」について、僕にとっての境界線を確かめるのが今回なのかな、と思ったりもしています。
人生が勝手に見えてくる。人生を遮断しないで、その人生のまま舞台に乗ってくれればいいなぁとも思っています。
惡澤:
構成の話になりますが。「風見鶏」の稽古をを見ていると朝、昼、晩のシーンが出てきますよね。朝昼晩というのは人生というよりも「暮らし」の描写になるのでしょうか?
櫻井さん:
人生と暮らしというのもそうなんですが、境界線の曖昧さって何事にもあると思うんです。1日1日が積み重なるのが人生。そんな人達が集まって街になって、暮らしになる。
どっちが先か、何が先かということだと思います。
惡澤:
またそれが自由な表現になる訳ですね。
櫻井さん:
インプロだけでやるというわけではないので、いつかはどちらかに決めないといけない部分もあるんですけどね。
惡澤:
それを決めてしまわないようにしている、ということでしょうか?
櫻井さん:
勝手に決まっていくようなものだといいな、と思っています。
集まってきたこの人たちだからこのカラーになる、一人違えば全然違うでしょうし。
僕の意図でこれをこうして、というと「僕」が入るんですよね。 それも全部含めてできたものを見て欲しいですね。極論ですが、勝手に作品ができるのが一番いいよね、という思いもあります。
惡澤:
「風見鶏」の見所は何でしょう。
櫻井さん;
一番いいのはつみきから楽しんでもらうことです。お客様が自分で積み上げたものに対して、愛着とか思いを残して、そこから二部のパフォーマンスでパフォーマーとつながる、というのが一つの醍醐味である気がします。
惡澤:
荻野さんも、私は「何かやってくれそうだな」という気がしています。
櫻井さん:
そこに関してはもうわからないですね(笑)。でも、荻野さんのインタビューを見て、僕がつみきとパフォーマンスをどう組み合わせたらいいのかな、という悩みは荻野さんも感じていた。スマートに生きていけばお互いに楽になる部分もあると思うんですよ。でもそうはできない。じゃあつみき遊びで何をやっていくのか、僕もパフォーマーと何をしていくか。そこがチャレンジングです。あとはやりたかった企画をやる覚悟や、今ぶつかったものがどう未来に繋がっていくかが面白いんだと思います。
キャストとの関わり方もそうです。バラバラにやってきた人たちが、この公演で何をピックアップしてどこに向かっていくのか。つみきも崩れることも面白さがある、と荻野さんが言っていますよね。立派に作ったものが残るのか、形だけ見れば綺麗だけれども、綺麗だけがつみきとしての良さか?それが究極かというと、そうではないと思うんですよね。崩れたのが美しい姿になっていることもあるでしょうし。
崩れて美しくもない、それも人生かなって(笑)
惡澤:
最後に、お客様にメッセージをお願いします。
櫻井さん:
大人のひとにこそ、つみき遊びに来て欲しい、という思いと・・・子供にパフォーマンスも見てもらいたい。やっぱりパフォーマンスも見てもらわないとわからない。つみきもやってもらわないとわからない。自分の「なんだ?」という感情を体験して欲しいです。
すごい、世界が変わった、ということはないかもしれない、すぐに気づかないかもしれないそれが10年後か、30分後かに、小さな気づきとなる可能性があるんです。
「風見鶏」に来てくださるお客様は、何かに引っかかって来てくれるんだと思います。その「何か」を楽しんで欲しい。作られたものの融合、その場を楽しみに来て欲しいです。
集まった人たちの中にこそ、見えてくるものがあると思います。
惡澤:
本日はありがとうございました!
*
つみきとパフォーマンスのコラボレーション企画「風見鶏」
果たせなかった想い、伝えられなかった想い、あの時こうしていたらという後悔や、過去の歴史の出来事から想像で作り出した架空のif。
元々は「風に向かって雄々しく立つ」という意味を持っていたけれど、昨今では、くるくると方向や立場を変える人の例えや日和見主義者などの意味を含む「風見鶏」をイメージし、過去と向き合い、今をふまえつつ、未来への想いを描くパフォーマンス作品。
「ディバイジング」による創作です。
*パフォーマンスの各回に先んじて「つみき遊びイベント」を実施します。皆様と共に組み立てた「つみき」をセットの一部として、公演中に用います。
つみき指導:「木楽舎つみ木研究所」荻野雅之(おぎのまさゆき)
【公演詳細】
場所
パルテノン多摩市民ギャラリー
〒206-0033 東京都多摩市落合2丁目35番地
日程
2022年10月14日(金)~16日(日)
全席自由
*つみき遊びイベントとパフォーマンスの間の休憩では、舞台転換のため、すべてのお客様に客席外に一度ご退出いただきます。
つみき遊びからパフォーマンスまで、連続でのご観覧をされるお客様は、休憩後優先的にお席にご案内するお時間を設けます。
***
10月14日(金)
夜
つみき遊びイベント: 18時~19時30分
パフォーマンス: 20時~21時
10月15日(土)
昼
つみき遊びイベント: 11時~12時30分
パフォーマンス: 13時~14時
夜
つみき遊びイベント: 17時~18時30分
パフォーマンス: 19時~20時
10月16日(日)
昼
つみき遊びイベント: 11時~12時30分
パフォーマンス: 13時~14時
夜
つみき遊びイベント: 16時~17時30分
パフォーマンス: 18時~19時
チケット料金
*学生は中学生、高校生、大学生、大学院生、専門学校生等を指します。
公演&つみきチケット
大人 ¥4500/ 学生 ¥3500/ 小学生 ¥2000
つみき単発チケット
大人 ¥2000/ 学生 ¥1500/ 小学生 ¥1000
公演単発チケット
大人 ¥3500/ 学生 ¥2500/ 小学生 ¥1500
*当日券は各値段から+¥500分のお値段で販売いたします。
*0歳〜2歳までのお子様について、保護者の方の膝上鑑賞は無料です。お座席が必要なお子様は小学生以下の料金でご案内いたします。
出演者名義チケット
http://confetti-web.com/tsumiki-cast/
一般チケット
http://confetti-web.com/tsumiki/
演出 櫻井麻樹
出演
木原萌花
大迫健司
土屋詩織
樋笠理子
松永佳子
演奏 Hitomi*
つみき指導 荻野雅之
衣装 kuuki
舞台美術 森聖一郎
舞台監督 野口清和
照明 岡村尚隆 (リザ・プロジェクト)
宣伝美術 Minako Akutsu
制作 惡澤仁美
主催 一般社団法人ジャパンエンターテイメント東京
企画 千夜二夜
文化庁「ARTS for the future! 2」補助対象事業
*受付開始は開演の45分前、開場は開演の30分前です。
*開演時間を過ぎてのご来場は、ご希望の座席へのご案内ができかねますのでご注意ください。
*新型コロナウイルス感染症対策のため、マスク着用、手指消毒、検温にご協力をお願いします。