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生成AI研究用会社PCに触発された自作PC素人が、ゼロから組み上げるまでの日記。

データサイエンティストの中上が自作PCを組み上げるまでの日記を書きました。生成AI研究のために社内に設置したPC。これに触発された中上は、自作PCの組み上げを決心します。さて、完成までの道筋は!?

中上 亮
東京大学大学院 経済学研究科卒業後、株式会社ファーストリテイリングに入社。 ファーストリテイリングではECビジネス予算予実管理のチームに所属し、データに基づいた予算策定、EC各種プロジェクトの貢献利益の事前シュミレーション及び事後効果検証などを経験。 現在JDSCではデータサイエンティスト業務として、EC小売業顧客における各種施策に対する顧客特徴量に基づいたHeterogeneous Treatment Effectの推定、製造業顧客とともに異常検知アルゴリズムの策定を経験。これら業務と並行しながら、事業開発メンバーと共に提案活動にも従事している。

自作PC作成背景

AIベンチャーとしての誇りを持っている弊社JDSCは、最近の流行りとしてのLLMにキャッチアップ & リードしようぜ!って観点から、社員が気兼ねなくLLM向け学習環境をスクラップ & ビルド & Learn or Dieしたり、ラズパイとの組合せサービスをクイックに試す環境を社員に提供するべきじゃね?とVPoDS(DSリーダー)が中心となって、ぽんっ!とデスクトップPCを買った感じです。

スペックとしては、

  • CPU: Intel Core i9-13900K

  • CPUクーラー: FractalDesignの250mm classの何か

  • マザボ: ASUS PRIME Z790-A WIFI

  • DRAM: 128GB(32GB x 4) DDR5-4800の何か

  • GPU: GeForce RTX 4090のどれか

  • SSD
    ・M.2 Gen 4 2TB (Read 7300MB/s, Write 6900MB/s, NVMe)
    ・M.2 Gen 4 2TB (Read 6600MB/s, Write 5000MB/s, NVMe)

  • PC case: Corsair 4000D Airflow White

  • Power supply: 80PLUS GOLDの1200W(Thermaltake)

  • OS: Ubuntu 22.04とWinのmultiboot

これを就業時間後のオフィス飲み会(水曜日)で見た時、「かっけー!僕も欲しいな」と思ったのがきっかけです。本当は今年中にはでるらしい新しいThreadripper欲しかったけどまあ値段高すぎてどーせ買えないし、今の気持ち大事にしたいなと。

要望言語化(水曜日、木曜日)

「かっけー!僕も欲しいな」っていう気持ちは大事ですけど、「同じの注文して家に届きましたじゃ仕事道具に対する愛着やこだわりが少ない奴だな、じゃあどする」って感じでまず以下のことを考えました:
・そもそもPCでぼくなにやりたいっけ?
・制約と誓約があれば新しいPC愛せるはず

(1) そもそもPCでぼくなにやりたいっけ?

  • 普段家での学習用PCとしてUbuntu使ってるからそいつをReplaceしてくれるようなものがよい
    ・普段のPCのスペックはIntel i7-9700, DDR-4 32GB(16GB x2 ) 2666GHz, RTX 2070 superみたいな感じ
    ・普段の統計処理計算でCPUがフルに稼働して1〜2分1〜2分する時がたまにあるからそれなくしたい
    ・GPUで爆速になったMCMCやってみたい
    ・普段使っている(ローカルで構築した)text-to-speechもうちょい速くなってほしい
    ・まあLLMは家ではやらんな(GPUのメモリはそんなにいらないな)

  • できたらJedi SurvivorやElden Ringやりたいな
    ・UbuntuでSteamやってたけど, CUDAまわりをちょい更新したらなぜかできなくなった
    ・Steamインストール関係でi386アーキを許容してたら、aptさんから小言をいわれるようになっていやだった
    ・ってなるとぼくもデュアルブートだな(ほぼ自作ありきになる)
     身近に出来た人がいるんだから僕にもできるはず!

(2) 制約と誓約があれば新しいPC愛せるはず

  • 会社のPCの半分未満の値段にしたい(そもそも会社のPCの値段が高くて)
    ・まあお財布と相談して30-35万レンジまでやなと

  • GPUは妥協してもいいけどCPUは絶対妥協しない
    ・今までの使い方でもシステムモニター上で8コア全部100%みたいのはよく見てた

  • 新しい規格があるならちゃんととりいれよう
    ・ものは試し、じゃないと面白くない

  • 思い立ったらすぐやろ、1週間以内に決断する

  • 自作・注文購入は値段で決める(予算到達してればデュアルブートしやすいので自作)

  • まあケースは白だな

  • 誓約は... 命を賭けるにしときます

情報収集(水曜日、木曜日、金曜日)

  • 雑誌を読む

  • PC Buildの海外YouTuberを見まくる

  • 価格ドットコムを見て値段感覚を身につける

  • 秋葉原の店を歩き回って身の回りでの値段感覚を身につける(徒歩5分位でいける)

  • (自作ありきだけど)仮説を立てたら、以下の2つを実行する
    ・パーツシミュレーターを使う(PCIeやDRAMの種類の対応はスペックだけでいいけど, 電源問題やUSBインターフェースはシミュレーター使うのが早い, パーツシミュレーターは普通に無料で使えるし)
    ・シミュレーターで確認でき次第、シミュレーターで確認できないポイントについてゲーマーの友達/有識者に尋問する

情報収集結果(金曜日)

  • Ryzen 9 7950Xが未開封品で税込み6万円台(たぶん6.8万円)で変える買えることが判明
    ・メモリはDDR5限定(まあそりゃそう)
    ・CPUが決まるとマザボもだいぶ種類が限られてくる

  • 会社PCのマザボ上でのMHz認識は4000 MHzだからそれより上 & 推奨環境にしよう

  • GPUの性能自体は3000 Seriesと4000 Series革新的ってほど変化があったわけではない、電気効率が4000 Seriesいいし、僕が見た範囲内での海外YouTuberRTX 4070はまあお買い得らしい
    ・スロットはPCIe 4.0

  • SSD M.2はGen 5が出てきたらしい
    ・PCIe 5.0が一つついているのがよい

  • 普通に会社と同じように2枚刺しすれば、細かいPartitioning設定とかいう修羅の道を経ることなくマルチブート設定可能 & ゲームもできるじゃ
    ・WinいれてからのUbuntuでやればbootloaderはgrubで立ち上がって、簡 単に起動OS選択できそう
    ・ゲームではGen 4とGen 5あんまり性能差感じない的なレビュー見たので2枚めはGen 4でいいやと判断

  • ゲーマーの友達から値段を気にするならCOOLER MASTER 360クラスの何か買っとけといわれた

  • 寿命の観点から電力消費量とPower Supplyのバランスを意識しとけと言われた
    ・シミュレーターでは最終的には857Wあれば良いって感じ(総電力消費の1.8倍が目安だった気がする)だったけど、まあ余裕を持って1000Wにしよう

意思決定

  • Ryzen 9 7950Xが性能的にも値段的にも良すぎる(相性問題はリスクとしてはある)
    ・6.8万円

  • マザボはMSI PRO 670-P WIFI
    ・Ryzen 9 7950Xと相性いいらしい
    ・SSD用のPCIeが5.0と4.0があるのが良い
    ・3万円で済む

  • DRAMはADATA PC5-38400 64GB(32GB x 2)
    ・DDR 5 4800MHz (マザボの推奨)
    ・AMD EXPO(Ryzen相性問題をできる限りクリアしとく)
    ・2.5万円くらい

  • GPUはRTX 4070の何かにしよう
    ・まあマザボがMSIだからMSIにしとこ
    ・電力消費量は一応気にしとこ
    ・まあ10万くらいなら良いやてきな感じ

  • Power Supply
    ・1000Wならなんでもいい
    ・強いて言うならケースは会社と同じCorsair Airflowがよいから絶対入りそうって観点からCorsairにしとこくらい

  • ケースはAirflow 5000D White
    ・マザボとの接続シミュレーションでわざわざUSB Gen2をGen1へ変換とかいらなかったから(4000Dだと変換必要だった)
    ・2.5万くらい

Power SupplyとCPUクーラーとSSDの値段抜きで24.8万円(=CPU + GPU + DRAM + Case)だったので目標の30-35万はまあ達成できるなと判断

いざ秋葉原(土曜日)

  • 未開封Ryzen 9 7950X即買い, 想定通り, 6.8万, 6.8万,

  • ADATA PC5-38400 64GB(32GB x 2)想定通り即買い, 2.5万, 9.3万,

  • MSI PRO 670-P WIFI即買い、ちょっと高かったけど3.5万くらい, 12.8万

  • GeForce RTX 4070 GAMING X TRIO 12G, 即買い9.5万くらい, 22.3万

  • Airflow 5000D White + 3つのファン付 2.8万, 25.1万

  • SSD M.2はGen 5 1TB, 2.8万とGen 4 1TB, 1.2万を購入、前者が高かったけど合計で,4万, 29.1万

  • Power SupplyはめんどうだったのでCORSAIR RM1000 ATX1000W 80+Gを2.4万で購入, 31.5万

  • CPUクーラーはCOOLER MASTER MasterLiquid PL360 Flux White Editionを2.9万, 34.4万

レシート見た感じ、費用計算忘れてたWindows 11 OS費用ここにいれたら35万オーバーしちゃってますね。。。税抜きなら下回っているのでまあ良しとします。

(僕は持ってたけど必要なもの)

  • OSやドライバーのデータを格納するためのUSBメモリー

  • 精密ドライバー

  • グリス

  • ヒートシンク(昔知人のジャンクを分解してもらったやつ)

  • DP, HDMIケーブル

  • 清掃用品(スプレーとか)

組み立て(日曜日)

  • CPUとCPU coolerとDRAMと配線をして起動テスト、立ち上がらない

  • CMOSクリアする、立ち上がらない

  • CMOS電池を変える→起動

  • GPUをブスって感じでぶっさす→起動

  • ヒートシンクをつけたSSDをぶっさす→起動

  • ケース配線を頑張る(一番つらかった)

  • Biosでちゃんと認識されているか確認

  • いちおうUbuntuで起動確認して入ることを確認

組み立てまではここで終了(本当はメモリを一個たぶん静電気で壊しているけどなかったことにする)。

OS設定(翌週の土日)

賢者たちのアドバイスをうけいれWin→Ubuntuの順番で設定することに決定

  • Winは問題なく入る

  • Ubuntu問題発生、フリーズしまくる

  • Bootのときにunknown chipset nouveau的な文字列が確認できたのでboot時にnouveauをrdblacklistに入れる形で起動したらちゃんと動くのでそのままインストール

  • 再起動のときもういっかいrdblacklistの指定をしたあと, めんどくさいので一旦aptでNVIDIAドライバーをインストールし、その後nouveauを消す(関連パッケージを調べるとkernel関係でもnouveau関連パッケージがあるけれどもそれは消さない, 消したら動かなくなったから)

  • 一旦、UbuntuでもWinでも問題がなくなったので簡易設定は終了して, SteamでOctopath Travelerが50%offになっていたのでそれで遊ぶ

総括

Keep

  • 書いてないけど、店員さんはちゃんといろいろ教えてくれる
    ・新人アルバイトですって感じの人には優しく接する

  • CPUを安く買えたのは良い, 会社PCにはCPUでは互角

  • DRAMはGBではまけてるけどMHzではマザボ認識上勝っている

  • SSDも容量では負けているけど、こっちはGen 5 あるもんという精神的優位

  • 値段は半額以下という精神的優位

  • 自分のPCに愛着が湧いた

  • 思いやりにあふれるUbuntuの余計なお世話であるnouveauを除去できたこと

Problem

  • GPUはそりゃ負けるけど、まあ致し方ない

  • キラキラLED別に僕の人生にはいらない

  • ファンがちょいうるさい

  • 知ってたけどケースでかい

  • ケースのビニール剥がす時人生最大の静電気を感じた(全く良くない出来事)
    ・静電気はメモリ壊したりしちゃうから気をつけよう

  • 今使っているデスクトップの処理問題
    ・まあ技術プレイグラウンドとして圧倒的破壊を気兼ねなくできる環境として暫く遊ぼうかな…

  • WinのOS費用を忘れていたので、誓約と制約で命を落とさなくてはならない可能性がある

Try

  • Amazon Primeセール使ったらもうちょい安くなったかも

  • 白に対して異様な執着が無意識レベルであるので(車も白)仕方ないけど、色こだわらなければたぶんもうちょっと安くなった

  • SSD M.2 Gen 5自体は別にこだわらなくても良かった説はある(安くなる)

  • bootloaderの設定を今は適当なので後日ちょい調整する

  • ビックカメラポイントとかポイ活すれば実質もっと安くなるかも
    ・僕はポイ活ができる人間ではないけど頑張る

Fun

  • WindowsとUbuntuを併用するようになってから私生活でもDockerのありがたみをなおさら実感した

  • DRAM規格でXMPとEXPOの2つがあることを初めて知った(いままでIntelさんしか使ったことなかったから)


今後やりたいこと

  • 友達がAndroidを最近新しいのに買えたので、古い方を奪い取ってWebcamとして使う
    ・スマホの方が画素数とか高いし, 有線で繋いでしまえばネットワーク問題とかあんまり気にすることなくPythonとかでカメラ・ビデオ機能にアクセスできそう

  • PowershellをLinuxコマンドライクにエイリアスやfunctionを駆使して変える

  • まあ最低限できれば良い

  • たぶんUbuntuは起動時にApache2とかデフォルトでonになっているのでport周りの整理をコツコツやっていく

  • Final Fantasy VII Remake, Jedi Survivor, Elden RIng, Octopath Travelerをクリアする

てな感じです。今回の僕のはマニュアルに従うだけでできちゃうあれですが、JDSCにはマニュアルがなくともとりあえずやってみよ!っていう挑戦者の精神(または黄金の精神)を持っている人がたくさんいて、しかも知識豊富な賢者達もいるので楽しい人には楽しいと思います。

最後に

このJDSC社員たちを見ていて……ひとつだけ言える事を見つけたよ
この社の社員は『黄金の精神』を持っているという事をのォ
かつて わしらも秋葉原に向かう時に見た………
「正義」の輝きの中にあるという『黄金の精神』を………
わしは社員たちの中に見たよ………それがある限り大丈夫じゃ………
彼らの示した その「精神」はJDSCを知らない他の人々の心の中にも教えなくとも 自然としみわたって行くものじゃ
そして次なる世代にもな………

もし興味があったら入ってください。


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