芸人が語るブラックマヨネーズの漫才
『見取り図じゃん』の「俺が伝えたい以前、以後M-1グランプリSP」での川瀬名人のブラックマヨネーズの漫才についての語りを記録しておきたい思ったのと、他にも芸人がブラックマヨネーズの漫才について語っているのを聞いてみたいと思ったので、自分の探せる範囲で探してみたので書き起こししていきます。
『見取り図じゃん』の該当回は見逃し配信の期間が終わっていますが、TELASAなら現在でも視聴可能です。
川瀬「僕はこれです。『ブラックマヨネーズさん以前、以後』
これが一番視聴者に伝わってないって、いうかお笑いファンに伝わってない。
ブラックマヨネーズさんって芸人からしたら、紀元前紀元以後ぐらいでなく、ほんまに人類が火を持った持ってないぐらいの」
盛山「それぐらいのターニングポイント!」
川瀬「これは、実は、先程、盛山さんが新山におっしゃった人間性が出ている乗っかってるみたいな、これを初めてM-1の漫才で披露したのがブラックマヨネーズさんなんですよ」
盛山「作り上げたキャラとかではなく」
川瀬「もちろんそのちゃんと見れば以前のチャンピオンもある程度落とし込んでいるんですけども、ほんまに視聴者にもわかりやすいぐらいの感じで漫才に落とし込んだのはこのブラックマヨネーズさん」
盛山「マジでおもろかったよなぁ」
川瀬「この吉田さんのネガティブな感じ、で小杉さんがそれにまっすぐ向き合っていく感じ」
盛山「うん」
川瀬「そもそもこの人間性を落とし込んだっていうのを、皆さん理解できます?」
リリー「なめすぎや!」
盛山「あのな新山とか川瀬ちょいちょいテレビの向こうに、誰に対して言ってるの?」
川瀬「これは理解していただいたら漫才が100倍面白くなることなんで」
盛山「激ヤバの政見放送や、ほんまにマジで、でも俺らはわかるよ芸人は」
リリー「めっちゃわかるよ!」
川瀬「その『人(にん)』っていうものがあって、これ結構、博多華丸、大吉さんとかが言いだして広まった専門用語なんですけど」
堂前「大吉さんなんや」
川瀬「大吉さん結構テレビでおっしゃったので広まったというか、その『人』っていうのはまあHUNTER×HUNTERの念能力に近いんですけど、でもこれもHUNTER×HUNTER読んでない人にはご理解いただけないので」
盛山「あいつ俺らのこと一切ないから、ずっと視聴者に向けて、伝えたい?視聴者に」
川瀬「もっとわかりやすく言うたら、自分の持ってる人間性をお笑いに落とし込めたものを『人』と呼ぶんですよ。
吉田さんって多分本来もネガティブな部分を漫才に見事に落としこむ」
盛山「そうね」
川瀬「これがまずブラマヨさんの1個すごいとこ、全部で3つあるんですけども1つ目、2つ目が無限ボケ、無限ツッコミということなんですね」
盛山「ほうほう」
川瀬「無限ラリー、例えばさっきの新山が指摘した見取り図さんのくだりあるじゃないですか。あれは言ったら、1ボケ、1ツッコミということなんですよ」
リリー「うん」
川瀬「で、それボケたら次のボケに移るんですよ。でもブラマヨさんは例えば護身術習いたいやったら護身術習いたいから始まったボケに対して小杉さんがツッコんで小杉さんがツッコんだワードに対して吉田さんがボケるんで」
盛山「はい!はい!はい!」
川瀬「もうずっとミルフィーユのように漫才が」
盛山「スパイラル、無限にこうね」
川瀬「これは、普通あっても3ラリーぐらいなんすけど、ブラックマヨネーズさんは終わりまで続けます」
盛山「そうそうそう」
川瀬「最後に小杉さんがシバかれるまで続けます」
盛山「素晴らしいのがもう途中から小杉さんがボケになるそうなんです」
川瀬「そうなんですよ!」
盛山「ひっくり返っているのがすごいんですよ」
川瀬「そうなんですよ!熱くなりすぎて小杉さんすら面白くなってる。
これに関しては、もう我々漫才師、特にしゃべくりの人は気をつけないとすぐブラックマヨネーズさんになっちゃう」
リリー「本当にそうです」
盛山「ほんまにそう」
川瀬「これがブラックマヨネーズさんのすごさの2つ目、これが最後3つ目で、これが一番すごいんですよ」
盛山「お前マニフェスト言ってんのか?」
川瀬「はっはは!(笑)」
盛山「ずっと」
新山「僕も横で手話せなあかんのかな?と」
川瀬「はっはははっ!」
盛山「そういう服やしな」
川瀬「3つ目がお互いの『人』を発露させた漫才をやったことによって、その後のテレビ、地上波平場の普通にMC絡むのに対して、もう説明書が出来上がってるという状態」
盛山「そうなんですよね」
川瀬「で出れるんですよね。もう吉田さんがネガティブなことを言う、小杉さんがそれに向けてしゃべるっていうのもう皆さん、MCも熟知してるんで、なんとブラックマヨネーズさんは掟破りのMCを介さずにして、吉田さんと小杉さんだけでMCを置きっぱなしにして成立させることができるという」
リリー「本当にすごい」
川瀬「これ、普通のコンビがやったらしらけるんですよ」
盛山「何か空気読めないじゃないけど」
川瀬「そうそうそう、でも、もう小杉さんと吉田さんは人間性がもう全員に知られてるんで、ここでやり取りしても全然おもろいですよね」
盛山「そのスタジオを巻き込むから」
川瀬「そうなんですよ!」
盛山「ブラマヨのやり取りおもしれえー!ずっと見ときてぇー!ってなるようなね」
川瀬「これやっぱダウンタウンさんいてそれやってたのすごいなと思って」
盛山「もう漫才と平場が変わりないという、これが一番漫才師のベストであるべきや」
川瀬「で、僕はこのブラマヨさんがすごいのが伝わってるかどうか。以前、Twitterでアンケートを取ったことがあって」
盛山「えー!勝手なお世話やで!」
リリー「そんな活動もしとんの」
盛山「お前がしてなんになんねん?結果、どうやった?」
川瀬「結果『今まででM-1で一番面白いと思った漫才はどの漫才ですか?』みたいなアンケート取った時に、やっぱ1位が笑い飯さん」
盛山「鳥人」
川瀬「鳥人、で2位がチュートリアルさんのチリンチリンとかで、後はまぁ、バーってなってくんですけど、ブラックマヨネーズさんが10位以下だったんですよ」
盛山「えー!」
川瀬「これが僕はもう信じられなくてぇ」
盛山「そうなんやぁ…」
川瀬「で、芸人でも4位か5位やって、これは多分東京で取ったからこんなことだったんですね。関西で取った絶対1位なんですよ」
盛山「お前何の活動なん?」
川瀬「はっははっはは!(笑)」
盛山「別に頼まれてもない。そもそも何でお前がやってんの?」
川瀬「本当に僭越なんですけども」
盛山「それぐらいブラマヨさんはすごいんだと」
川瀬「すごいということが伝わってないので!伝えたい!」
公式動画があるので書き起こしませんがタカアンドトシのトシが『欧米か!』の漫才でM-1に出ていてもブラックマヨネーズには勝てないと思ったというのも驚きました。
『That’sオール漫才』
ネイビーズアフロ みながわによるブラックマヨネーズの漫才の分析
みながわ「M-1って歴代王者が16組いるんですけど、この16組。僕はちょっと全部研究したんですけど」
小杉「さすが神戸大学」
みながわ「ブラマヨさんが一番抜きんでているものが一つあるんですけど、それ何だと思います?」
吉田「文字数?」
みながわ「文字数では、やっぱりNON STYLEさんとかすごいんで」
吉田「あー、そうか」
みながわ「これですね、歴代M-1チャンピオン16組が『どうもー』って出てきてから、1つ目の笑いを取るまでの平均秒数が11秒なんです」
吉田「ほー」
みながわ「ひとボケ目のここがブラマヨさん44秒なんですよ」
小杉「うわ!」
奥田「だいぶためてるなぁ」
みながわ「つまり44秒まで、関西から来た無名の2人が無音の中でしゃべってるんですよ」
小杉「あぁ、そっかぁ」
みながわ「でも、残りの3分でドー!て巻き返す、このハードルを乗り越えていく強さは抜きん出ているのがブラマヨさん」
吉田「よう見てるやろ!そりゃ飲むやろ!」
小杉「酒進みそうやなぁ」
みながわ「44秒誰が待てます?」
吉田「だから、そこをコンビ間で注意してたんですよ。
1個目の笑いまでこれ時間かかると、でも、絶対慌てんとこなって」
すゑひろがりず南條とガクテンソク奥田が語るブラマヨ漫才のすごさ
南條「僕がNSCに入った年が2005年なんですけど、もう本当にそのあたりの芸人、あの年ぐらいからちょっと前後の芸人はもうマジで全員影響されてると思うんですよ。
もうNSCの授業でも、もう次の日から、このかけあいの感じ、今までだいたい設定の漫才コントとか設定ありの漫才してたんですけど、そこから急にみんな設定がちょっと格好悪いんちゃうかみたいな。
自分たちっていうのを振り絞ってやっているのが王者になったんだから、それが正解の漫才やってることで今までやってた形を捨てるとか、このままではあかんとか思ったんじゃないでしょうかね」
吉田「なんか言い合いがワー!ってなっていって、ビンタで終わるみたいな生徒が増えたっていう」
南條「そうですね。本当にそうですね」
小杉「お前も聞いとったんかい」
吉田「そういう話は聞いてます」
小杉「聞いてますって!」
南條「今でもめっちゃいますからね」
みながわ「コントに入らずに、しゃべくりで漫才を作ったらブラマヨさんに行き着いてしまうんです」
南條「あー!」
みながわ「だからこれ僕持論あるんですけど、日本全国の全漫才師1本はブラマヨさんみたいなネタ持ってますよ」
小杉「あー、そういう感じで作ったらそうなっちゃうってこと」
みながわ「そう思ってないけどそうなっちゃったってネタが」
吉田「それ今の若い子らも?20代前半とか」
みながわ「絶対!持ってます」
南條「意識せず、多分もうやっちゃってると思う。もう普通に広まっちゃってるんで」
吉田「でも、16年前?2005年は、それでもまだ?」
南條「それでもまだ、めっちゃいますよ」
吉田「何かもうドラクエみたいになってきたな」
小杉「ふっふっふ(笑)」
南條「名作」
奥田「僕が見たところで、2001年から2005年ぐらい、そのブラマヨさんまで、今、この世にある漫才のパターンはほぼ出てるんですよね」
吉田「出し尽くした」
奥田「出し尽くしてるんですよ、っていうのも2001で10パターンが出てんですよもう」
小杉「そんな出てる」
奥田「ほんま、見直したら笑うてまいますよ、インディアンスとキングコングさん一緒ですよ今」
吉田「そんなことないですよ」
奥田「ほんま、2001年、ボケの間とかテンポとか、フットボールアワーさんとアインシュタイン一緒ですから、めちゃくちゃ似てるんですよ」
小杉「だから2001年に当時やってた人間の感じが今も」
奥田「2001でそれがあって、2002で笑い飯さんのWボケっていうパターンが一個増えたんです。
で、2003で千鳥さんの方言が1個増えたんです。
で、2004でアンタッチャブルの柴田さんと南海キャンディーズの山里さんでツッコミ主導が増えたんです。
で、2005で人間味っていうブラマヨさんが」
吉田「はぁー!」
奥田「ネタに人間味を乗せるっていう」
吉田「よう見てるねー!」
奥田「よう見てます!」
吉田「俺らあのネタのコンセプト『人間味』やもんな」
小杉「いや、ほんまやねん。今ちょっとボケみたいな感じなったけど、ほんまやねんそれは」
奥田「ほんまですか?そうなんです。そこでほぼパターン出尽くしてるんです。ここからの派生の漫才しか今もほぼなくて、だから人間味の源流と」
ネイビーズアフロ みながわが発見したブラマヨ漫才の笑いの方程式
みながわ「ブラマヨさんのスタイルのネタあるじゃないですか、2人で掛け合いするネタで、そのうち4本を僕分析したんですよ。2人のラリーをちょっとこう書き出してみたんですよ」
小杉「マジで!」
みながわ「ほんで見ていただいたらわかるんすけど、吉田さんの疑問から始まって、『最初のデートどこへ?』で『ボウリングは?』みたいな、こうやってやってはるんですよね。
で、小杉さんが明らかに変なことを言い出す時ってあるじゃないですか?」
奥田「ある!」
南條「スイッチばん!」
奥田「あるある!」
みながわ「例えばボウリングのネタだったら『原付に字書いとけや』、吉田さんより変なこと言い出すタイミングなんです。
ケンカのネタやったら『熊飼えや』」
吉田「うんうん」
みながわ「吉田さんより変なこと言い出す」
吉田「それまでは『空手習え』とか言うてたのに」
みながわ「そうなんです!だから、そこだけ切り取ったら、小杉さんの方が変になるタイミング、この最初のデートのボウリングのネタなら、この『原付に注意書きしておけばいい』というこの部分ですね。
で、ケンカのネタなら『ほな熊でも飼えや』ってあって、この部分ですよね。
で、朝起きられないの時に『鶏飼えや』って言うんですよね。変ですよね?それここの部分なんです。
お見舞いのネタ『鶴持ってけ』、『本物の鶴持ってけ』って言うんすよね」
南條「おんなじラリー数!」
みながわ「全部13ラリー目で来るんですよ」
小杉「えぇー!知らんかったー!」
吉田「こんだけコード進行おんなじやったらバンドやったらやめなあかんな」
奥田「はっはっは!(笑)」
吉田「それが俺らの中で心地いい」
南條「意識してたわけじゃないんですか?」
小杉「いや、それないんちゃうかなぁ?」
吉田「高ぶってくるやんか、こう言い合いしてたら、で、小杉が何て言うか、いちいち抵抗する俺にブチギレてポン!って変なこと言い出すっていう高ぶるタイミングがおんなじやってことやね」
みながわ「そうですね。で、見てる側も小杉さんが変なこと言ってるって気付かないじゃないですか?あのラリーの中やから、小杉さんとボケ入れ替わってるって気付かないんですよ」
小杉「それを今言われて初めて知ったし気づいたわ…」
書き起こしは以上です。
『That’sオール漫才』を観た時はブラックマヨネーズの2人が直接語っていることもあり『見取り図じゃん』での川瀬名人の話の答え合わせをしているようで嬉しかったです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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