菅内閣の政治姿勢をどうみるか 前編・安倍政権の継承
※江津民報2020年9月27日号掲載された文章を紹介します(掲載分は紙面の都合で若干編集されています)
安倍総理が8月28日病気を理由に辞任を表明し、9月16日菅内閣が誕生しました。菅内閣の政治姿勢について、これまで自身が語った内容をもとに、2回に渡ってまとめます。
16日夜、菅義偉内閣総理大臣の就任会見で、災害、コロナ感染と経済落ち込みに触れ「安倍政権が進めてきた取組をしっかり継承して、そして前に進めていく、そのことが私に課された使命」と述べました。また目指す社会像として「自助・共助・公助、そして絆であります」と、自らの基本姿勢を語りました。
安倍政権の特徴
7年8か月の安倍政権は、これまでの自公政権と同じく「財界大企業の利益優先」と「アメリカ言いなり」を一層加速させました。消費税2回の増税(5→8→10)、医療・介護総合法で要支援を介護保険適応外に、医療保険改悪により入院や施設入所の食費負担増、生活保護の生活扶助削減、働き方改革一括法で残業代ゼロや上限の歯止めなくすなど、負担増・制度改悪の連続でした。
米国との関係でも、完成見通しの無い沖縄辺野古米軍新基地建設強行、空母艦載機の岩国移設で極東最大の航空基地化、計画段階の誤認で撤回されたイージスアショア・レーダー基地、増強ペースの兵器爆買い長期契約など、歯止めなき米国言いなり政治です。
憲法改定に執念
憲法について特に人権の制限や9条について過去の政府答弁を覆し、特異な解釈を繰り返しました。知る権利を制限する特定秘密保護法制定、集団的自衛権行使容認の閣議決定、安保法制=戦争法成立など、憲法99条に憲法擁護義務が定められているにも拘らず、憲法改定めざす姿勢を強調しました。
外交では、一部に「外交の安倍」と評価する向きもある一方、譲歩・感覚麻痺の連続でした。国会議員にも内容を知らせないままでTPP11締結、対露では北方領土と呼ばず事実上交渉放棄、対朝でミサイルや拉致など何ら進展なし、対中では中国の侵略的行為や人権問題に対して静観など、過去の自民党政権の努力をも水泡に帰す惨状です。
隠ぺい、改ざん、ねつ造、廃棄
自衛隊イラク派遣部隊の日報隠ぺい、森友学園への土地売却をめぐる問題での公文書改ざん、働き方改革問題でのデータや実績のねつ造など、公的文書の扱いも問題となりました。
お友達偏重
総理主催の東京で開催された「桜を見る会」には、山口の安倍晋三後援会等から約8百名が招待され、予算の3倍、4千5百万円の税金が使われました。自民党各議員にも一定の招待枠が用意され、参議院選挙直前の選挙買収の疑い(無料で飲食など)も。日本共産党が資料要求した同日、招待者名簿は廃棄されたことが分かりました。「名簿は廃棄され、コンピュータのデータも復元しない」(菅官房長官、当時)との対応で、真相究明に後ろ向きです。
コロナ危機への対応事業を広告会社「電通」や派遣会社パソナ(グループ会長竹中平蔵)の丸投げが判明しています。また科学的根拠が希薄な「全国の学校一斉休校」や、専門家会議の突然の解散、感染収束後に実施するとしていたGOTOキャンペーンの前倒しが行われました。
これらを、政府首脳の一員として進めてきたのが、菅義偉内閣総理大臣です。政府の代表として、国民に対する明快な説明や、責任ある対応が求められます。