投稿 核兵器攻撃せずとも原発で核テロの大惨事か
ロシアがウクライナに軍事侵攻して間もなく半年を迎える。
ヨーロッパ最大の出力を持つ、ウクライナ南部のザポリージャ原発周辺では、8月に入って砲撃が相次ぎ、ウクライナ、ロシアの双方が相手側の攻撃だとして非難し合っている。砲弾の一部は、使用済み核燃料の保管施設近くにも着弾し、重大事故への懸念が強まっている。
原子炉6基を持つザポリージャ原発は、ロシアの軍事支配のもとでウクライナの職員が原子炉を運転するという異常事態が続いている。
ウクライナ軍はいま、同原発が隣接する大河ドニプロ川下流で支配地域の奪還を目指し攻勢を強めている。ロシア軍はこれに対抗し、原発敷地内から攻撃しているという情報がある。外部からの攻撃を逃れるために原発に立てこもり、一方で攻撃の拠点として使っているわけだ。
攻撃が誰によるものであれ、ロシアが核施設を占拠し続け、軍事作戦の一環として位置づけていることが危険極まりない事態を生んでいる。核兵器を使わずとも、核兵器を使ったのと同じ惨事をもたらす核テロ攻撃となることを世界中の人々に突きつけている。
一刻の猶予も許されない。と同時に、日本海側の海岸に何十基もの原発が並ぶ日本に住む私たちに、「この現実をこのまま放っておいていいのか」と鋭く問いかけている。(難波健治)