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時代の変遷に左右されないデザイン、だから使い続けられる〈Elder_ARAOKAGANKYO〉

つくづく思います。買ってから数年経ち、「使い続けられないもの」と「使い続けたいもの」は何が違うのかと。

例えば同じ時期に買った服でも、今でも気に入って着ている服があれば、もう着なくなってしまっている服もあったり、誰もが一度は経験したことがあるであろう“日常的に使用してきた物の「使い続けている」「使わなくなった」”という所謂「気分の変化」には様々な要因があると思います。その中でもいつまで経っても使い続けたくなる物、無意識に手に取り使う物にはどんな理由があるのでしょうか?

そんないつまで経っても使い続けたくなる、色褪せずに無意識に日頃手に取ってしまう所有物の中でも
Elder_ARAOKAGANKYO | エルダー_アラオカガンキョウは個人的に使い続けたいと思える眼鏡の一つです。


Elder_ARAOKAGANKYOは、空間・プロダクトデザイナーの「二俣公一」さんがデザインを手掛けた眼鏡で、日本の中でもトップクラスの「磨き」の技術を誇る「谷口眼鏡」で製造されている「荒岡眼鏡初のオリジナルモデル」です。


ブリンクベースのスタッフの長尾と私は、発売当初から長年Elder_ARAOKAGANKYOを日頃愛用しており、日々このプロダクトの良さを肌で体感しております。何故何年経っても使い続けたくなるのか、再発売したElder_ARAOKAGANKYOに改めて向き合って2人で考えてみました。以下会話形式でお送りします。


田代
さて長尾さん、Elder_ARAOKAGANKYO(以下エルダー)が再発売されましたので、せっかくなので改めてエルダーについて話しましょう。まずエルダーの制作背景についてですが、ブリンクは過去に取り扱いのブランドとの別注とかはやってきましたけど、荒岡眼鏡としてのオリジナルっているのはエルダーが初だったんですよね?

長尾
そうだね、そもそもこの企画の始まりは、眼鏡は1950年代にサーモントシェイプというものが出て以来、明確な「新しいデザイン」というものが出ていないと囁かれていて、荒岡眼鏡75周年に向けて、何年も残って世界共通で美しいと思われ続ける眼鏡を作りたいというところからだったね。荒岡眼鏡初代の荒岡秀吉が愛用していたサーモントから「ブロウライン」がプロジェクトのキーワードになったんだよね。

田代
俊行さん(荒岡眼鏡三代目荒岡俊行)は歴史や先人に敬意を示しつつ、「眼鏡の未来への橋渡しになるような、かつてないブロウラインの眼鏡を作りたい」という思いから、空間/プロダクトデザインにおいて世界的に活躍する二俣公一氏にデザインを依頼して、「二俣さんであれば眼鏡を通して未知なる造形美を具現化しつつ、時代の変遷にも左右されない製品を作ってくださる」と当時に言ってましたよね。2年以上構想から試作など練りに練って2017年の77周年の時に発売したという流れですね。

田代
エルダーは眼鏡で使ったり、サングラスで使ったり、もうかれこれ5年くらい、長いこと使っていますが、本当に不思議なデザインだなと未だに思いますね。

長尾
そうだね、上手く具体的に言葉に出来ないけど、見ていて美しいのはもちろん、眼鏡だけど眼鏡にない美しさで引き寄せられる感覚というか。なんか変な表現だけど「眼鏡だな」っていうのが先に来ないんだよね。あくまで「プロダクト」としての良さを前面に感じるといつも思うね。身に付けた時の眼鏡の良さと、佇まいを俯瞰で見るプロダクトとしての良さはそれぞれ違うものがあるよね。


田代
僕もそう思います。二俣さんの他のプロダクトも手に取って拝見したことがあるんですけど、二俣さんデザインの別のプロダクトを手にした時に美しいと感じる感覚と同じ感覚が、眼鏡であるエルダーにもしっかりあるんですよね。

田代
あとエルダーの不思議に思っているポイントがあるんですけど、正直昔に買ってから今はもう使わなくってしまっている眼鏡ってたくさんあるんですけど、エルダーは常に鮮度の落ちを感じさせないというか、今でも朝に眼鏡選ぶ時に手に取ることが自然にできるんですよね。

長尾
それ凄く分かる、私もたくさん眼鏡やサングラスは持っているけど、シンプルなデザインだと飽きはこないけど心躍らなくなってしまうし、派手だと最初は良いけどすぐに飽きてしまうし、その足し引きのバランスの秀逸さがエルダーには間違いなくあって、田代くんの言っている鮮度という感覚に繋がった結果、買った当時も今もエルダーを身につけることができるのかもね。


田代
さっき長尾さんが言ってたプロダクトとしての良さが先行するというところに繋がっているかもしれませんが、目に見えるディテールだけではなくて、トータルとしてのデザインのバランスが通常の眼鏡デザインのゴールと違う感じがしますよね。その物がどう美しくどのようにこの先残されるか、時間の流れなど、形のないものの表現も踏まえてのデザインをエルダーには感じますね。

長尾
あとさ接客してお客様に試してもらって思うんだけど、老若男女問わずに似合うレンジが広いと感じるんだよね。ワンサイズなのに小柄な女性がかけても、大柄な男性が掛けても何の違和感もなくて、このサイズだからこそ魅力を発揮しているように感じるね。


田代
サイズも含めてデザインというのを強く感じさせられますね。その人に合わせにいっているデザインではなくて、デザインそのものの主体性を皆んなが魅力に感じているのかなとも思います。

長尾
そういうものがこの先も使い続けられるデザインなのかもね。

田代
話し足りないですけど、今回はこの辺にしておきましょうか笑

長尾
ここまで読んでくれた読者の皆さま、続きは店頭にてお話しさせてください笑


発売開始から6年が経ち、使用してみて改めてElder_ARAOKAGANKYOについて紐解いてみました。この眼鏡がこの先10年、50年と続き、その先の時代の人をどのような感覚にさせるのか。Elder_ARAOKAGANKYOは名作として、そして所有者の愛用品として残り続けるでしょう。

Elder_ARAOKAGANKYO
PHOTO SHUHEI NOMACHI


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