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桜と健康

 もうすぐお花見の季節です。今年は、例年より桜の開花がかなり早いとのこと。昨年は緊急事態宣言の時期と重なり、桜を楽しむどころではなかったのですが、今年は桜をちゃんと見て楽しみたいなと思います。ただし、桜の木の下で大勢が集まり、食べて飲んで歌って踊って、という「お花見」は、今年も引き続き自粛する必要がありそうですね。。。
 桜を見ると、その美しさに心が穏やかになったり、昔を懐かしく思い出したり、、、多かれ少なかれ桜にまつわる想い出を持っている人は多いと思います。桜の花を見て愛でることには、悲しみを緩和する作用があるという説もあります。
 桜を見ることによって、身体や精神にはどのような影響を及ぼすのでしょうか。興味深い論文がありましたので、ご紹介します。

Pratiwi PI, Xiang Q, Furuya K. Physiological and Psychological Effects of Viewing Urban Parks in Different Seasons in Adults. Int J Environ Res Public Health. 2019;16(21):4279.

【目的】日本人中高年の男女を対象に、春は桜を座位で見た時、初夏は新緑を座位で見た時の身体的・精神的影響を明らかにすること。
【方法】日本の同じ公園の2つの観覧スポットで、11-15分間桜や新緑を見る前後の血圧とthe Profile of Mood States and State-Trait Anxiety Inventory(POMS)、State-Trait Anxiety Inventory (STAI)が評価された。また、桜や新緑を見ている間の心拍数が継続的に測定された。
【結果】公園で桜や新緑を見た後は、都市景観を見た後と比べて、血圧が有意に低く、POMSの「活気-活力」の得点が有意に高かった。さらに、都市景観を見た後に比べて、春に桜を見た後は「緊張-不安」の得点が有意に低く、初夏に新緑を見た後はSTAIの「状態不安」の得点が有意に低かった。
【結論】公園で桜や新緑を見ることは、身体的・精神的リラックスをもたらした。

 意外にも、お花見による身体的・精神的効果を検討した論文は少なく、日本人を対象とした論文としては、ほぼ唯一桜を見ることによる効果を検証した論文でした。桜や新緑を見るとなんとなく心身がリラックスするなぁと感じていたことが、血圧、POMS、STAIの結果から示されています。このように、実際の感覚や印象としてあったものを、主観的・客観的データを用いてその効果を明確にするということは、大切なことだと思います。
 15分程度のお花見、森林浴で心身への良い影響が見られるということは、桜の木の下をゆっくり散歩するだけでも心身のリラクゼーションになるということ。ソーシャルディスタンス、マスクの着用などルールを守りつつ、桜や新緑を楽しみたいと思います。

(文責 白石)

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