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文献って何から読むの?

 前回、医学中央雑誌を使って文献を探す方法について説明しました。

 初めて研究をすることになった学生さんや看護師さんに、文献の探し方を説明すると、次にいただく質問は「で、どれを読めばいいの?」です。
前回の検索でも128件の論文がピックアップされていました。学部生や臨床で働く看護師にとって100件以上の論文を読むことはとても大変です。

 そこで、私はまず、相手が何のために文献を探しているのか、をはっきりさせてから、以下のようにアドバイスしています。

「何を研究したらいいのか探そうと思って」
 そんなあなたにおススメは、「解説」や「総説」から読むことです。
解説や総説は、その分野の専門家がトピックに関して情報をまとめてくれている物です。とりあえず、疾患や治療、看護の概要について学ぶには最適です。教科書のように読めるという点でも、初めて論文を読む人でも取っかかりやすいと思います。
 その後に、「原著論文」を読んでみましょう。研究の背景や概要が分かっているので、だいぶ読みやすいですよ。

「今やってるケアが本当にあってるのか、もっと良いやり方はないのか、探したくて」
 素晴らしい!まさにEvidence Based Practiceですね!そんなあなたは、「題名」と「抄録」を斜め読みしていきましょう。
 臨床の特定の場面を想像できているはずですので、題名や抄録を見ていくだけで、関係があるものか、そうでないのかがある程度わかると思います。「あ、これ、今やってることに似てる」と思った論文から読んでいきましょう。
 検索で出てきた論文をすべて取り寄せて、すべて読んでみて、なんて時間はありませんもんね!「それでもいっぱいありすぎて・・・」というときはお近くの大学教員に手伝ってもらいましょう。

「調査はやったんです。次は考察するために論文を探してこいって言われて」
 そう、あなたが今欲しいもの、それはあなたの研究結果と比較できる「原著論文」です。
 まずは、あなたと同じアウトカムを使っている論文を見つけましょう。アウトカムって?それは結果そのものです。例えば、あなたがケアの後の患者の血圧を測定する研究をしたのなら、血圧を報告している論文を探しましょう。もし、あなたが患者の負担感をAという尺度で測ったなら、Aという尺度を使っている研究を探してみましょう。
 しかし、都合よく同じアウトカムを使っている研究がないかもしれません。そうしたら、次は、あなたの研究と同じ「対象者」や「介入方法」で行われている研究を探しましょう。
 下の表のように、研究を計画するときから読んだ論文は、「対象」「介入(調査方法)」「アウトカム」があなたの研究と同じか、違うのかをリストにしておくと、考察の時に使いやすくなると思います。

文献リスト


「修士論文や博士論文のための文献検索をしたくて」
 これまでは所謂、発見的論文検索を説明していたのですが、こちらをご希望のあなたは「系統的論文検索」をする必要があるでしょう。すでに誰かが、あなたが調べたい分野のシステマティックレビューをしていれば、とても参考になります。しかし、まだシステマティックレビューが行われていなければ、自分で系統的論文検索をすることになります。
 系統的論文検索について語るにはこの記事の余白では狭すぎる。ですので、「看護研究者・医療研究者のための系統的文献検索概説」[1]を参照していただくか、JCEBPが開催しているシステマティックレビューのセミナーに参加してみてください。

次回、「原著論文ってどう読むの?」に続く。

(文責:古藤雄大)

[1] 諏訪敏幸. 看護研究者・医療研究者のための系統的文献検索概説. 近畿病院図書室協議会 2013. 第1版. 66-68.

イラスト提供:いらすとや(www.irasutoya.com/), 「卒論に追われる人のイラスト(男性)」

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