エビデンス生成のスピードと組織力
気づけばコロナ禍に入ってもう1年経とうとしています。コロナ関係での研究発表がどんどんなされ、WHOだけでなく、CDC(米国疾病予防管理センター)やNHS(National Health Service:英国国民保健サービス)のコロナ対策のガイドラインもかなりの頻度で更新されています。
ガイドラインを作るには、その基になる研究の集積があることは疑いようもないのですが、コロナ禍では、とにかく早く人々を安心させる正しい情報が必要であることもあり、走りながらかんがえるというアクションを繰り返して今がある。
私たちは看護師なので、常に最前線の患者さんやそのサポートに当たるスタッフのことを慮り、高齢者施設で、標準予防策ってどうするの?コロナ疑いの人がいたらどうするの?ということで混乱しそうな現場の役に立ちたいと高齢者施設版のアクションリストを全国の老年看護学の教員やボランティアの実践者の皆様と作りました。作っているときに、それこそCDCやWHO, NHSなどのガイドラインで良さそうなものをピックアップして片っ端から和訳していくのですが、その間で、本当にこれらのガイドラインの基盤になる事例や大規模研究などが、このスピードでなぜできるんだろうと考えました。それにはどんなに思いがあっても自分ひとりではどうにもならない、組織の力が必要です。とにかく早く研究して不透明な情報をクリアにしないといけないときに組織力とはいかに大事かと思い知らされました。
日本でも様々なデータを出していますが、いずれも医学科の先生方の組織力での研究です。ここで、看護の組織力は?と問われると、なかなか厳しいものがあります。個々人が興味のある研究を深めることも重要ですが、こういう時に凝集して一気に進められる組織力を今後もっていかないといけないと思いました。(文責 山川)
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