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デジタルヘルス技術は最強のサポーター?

 みなさんは、デジタルデバイスや健康管理アプリを自身の健康管理に活用していますか?または活用したことがありますか? 私は食事写真の画像解析により、摂取カロリー、栄養素などがスマートフォンに自動送信される「AI食事管理ソフト」を使ったことがあります(過去形)。AI管理栄養士さんが、「〇〇が不足していますね」「●●が摂りすぎましたね」「次は△△を摂るといいですね」と、過不足のチェックや理想の食事のアドバイスまでしてくれる優れものです。リアルタイムに自分の栄養素摂取状況が可視化され、健康管理に役立てられるとデジタルヘルス技術の有効性を認識したものです。最初の3日間は張り切って3食の食事をアップ、4日目あたりから夕飯のみ、6日目以降は写真のアップ休止。7日目頃から、AI管理栄養士さんが「最近画像がアップされていませんね。どうしましたか?」と頻回に現れる。結構しつこい。今は一切現れません。なぜならアプリを削除したから・・・
 もし私が2型糖尿病の患者で、血糖コントロールを目的にデジタルデバイスを活用していたとしても、きっと同じことになっているはず。では、どうすれば継続できたのでしょうか?デジタルヘルス技術は最強の健康サポーターとなり得るのでしょうか?
 そこで、今回は国民病とも言われている2型糖尿病患者に対するデジタルヘルスの有効性をフィードバックの方法から比較検討しているSR1)をご紹介します。

目的:デジタルヘルスに付加されたフィードバック方法別による血糖コントロールへの効果を明らかにすること。

P:18歳以上の2型糖尿病患者
I:デジタルヘルス
C:デジタルヘルスに付加されたフィードバック
 (自動的にメッセージの送付、人がSNS等でメッセージを送付、スマホやネット等でデータ送付後に医療従事者が電話、HbA1Cが「異常値の場合のみ」医療者がフィードバック)
O: HbA1Cの減少率

【方法】デジタルヘルスとそのプログラムに付加されているフィードバック方法が介入後のHbA1Cに及ぼす効果を比較したRCTを対象文献とし、5つのデータベース(Cochrane Library, MEDLINE, EMBASE, HMIC and PsychINFO)を用いて、2016年に検索した。
【結果】4つのSRの合計3,370人のメタアナリシスより、デジタルヘルスのプログラムに付加されたフィードバックの方法別に介入後のHbA1Cの減少率を見た場合、スマホやネット等でデータ送付後に医療従事者が電話をする方法ではHbA1cが平均0.98ポイント減少、人がSMS(ショートメッセージサービス)等でメッセージを送る方法では0.69ポイント、自動的にメッセージのフィードバックがされる方法では0.46ポイント減少していた。
【結論】HbA1Cの減少率は、単に自動的にテキストメッセージが送信されるよりも、医療従事者が直接関わる方が最も有効であることが示唆された。

 つまり、デジタルヘルス技術は健康支援の最強サポーターとはなり得ない。最強のサポーターは”人“であるという、傍で寄り添う医療者の存在価値を証明するなんとも嬉しい結果が示されていました。
あー、私もAI管理栄養士さんではなく、リアルな管理栄養士さんが“もっと〇〇を食べましょうね”と継続的にサポートしてくれていたら、私のスマホからアプリが消えることはなかったかも・・・。
デジタルヘルスの技術革新はすさまじいものですが、どれほど進化したとしてもデジタル技術が“人”を超えることはなさそうですね。
(文責:渡邊)

引用文献
1)Lee PA, et.al. The impact of telehealth remote patient monitoring on glycemic control in type 2 diabetes: a systematic review and meta-analysis of systematic reviews of randomised controlled trials. BMC Health Serv Res. 2018:18(1):495. doi: 10.1186/s12913-018-3274-8.

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