ハゲタカジャーナルとシステマティックレビュー
最近、Twitterのタイムラインで、ハゲタカジャーナル論争が盛り上がっていました。
話の焦点は、とある出版社がハゲタカかどうかだったのですが、と同時に、なぜハゲタカジャーナルは好ましくないのか、という点についても色々と意見が出ていました。
なんとなく、良くないような気はしているけれど、なんでダメかと言われたら回答は難しいと思う人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、システマティックレビューを通して、ハゲタカジャーナルを考えてみましょう。
JBIから公開されている、以下の論文を参考にしてみましょう。
Munn, Z., et al. Should I include studies from “predatory” journals in a systematic review? Interim guidance for systematic reviewers. JBI Evidence Synthesis 19(8):p 1915-1923, August 2021. | DOI: 10.11124/JBIES-21-00138
結論から言えば、絶対にこうしなければならないという答えは今のところありません。
なぜって、ハゲタカジャーナルというものを明確に、確実に決めることができないからです。
ただ、多くの研究者がハゲタカジャーナルかもしれないと考えている雑誌の論文をシステマティックレビューに含んだ場合、効果を過大評価してしまうなど、統合された知見への影響が考えられます。
でも、もしかしたら、ハゲタカジャーナルかもしれない雑誌にだって、素晴らしい知見があるかもしれません。あるかもしれません。
ですので、大切なのはやはり、研究の質を評価することになります。
データベースが収集された論文について、方法論上の課題を検討し、得られた知見の信頼性を評価した上で、システマティックレビューに組み込むか考える。
これは一般的なシステマティックレビューの手順と同じです。
Munnらは、それでも心配なら、ハゲタカジャーナルかもしれない雑誌の論文を対象に、サブグループ解析をすることを提唱しています。
もし、自分が書いた論文が、どこかのシステマティックレビューで、ハゲタカジャーナル群に入るかもしれないと考えると、投稿先も慎重に検討したくなりますね。
古藤雄大
参考
Munn, Zachary; Barker, Timothy; Stern, Cindy; Pollock, Danielle1; Ross-White, Amanda; Klugar, Miloslav; Wiechula, Rick; Aromataris, Edoardo; Shamseer, Larissa. Should I include studies from “predatory” journals in a systematic review? Interim guidance for systematic reviewers. JBI Evidence Synthesis 19(8):p 1915-1923, August 2021. | DOI: 10.11124/JBIES-21-00138
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いらすとや ハゲタカ出版のイラスト