日本セレブ話

ひょっとしたら、セレブなんて人は元々いなかったのかもしれない。暫くセレブという言葉を聞いていないし、セレブといわれる人を見なくなった気がする。
以前は映画の試写会などで目にすると噂があったが、私はセレブなんて人に会ったことがない。会ったことがないのは、私だけではない。少なくとも私の周りには、セレブと知り合いの人もいないし、見たという人もいない。ひょっとしたら、セレブは空想上の生き物だったのかもしれない。

九州の山奥のある村の外れにある池には、セレブ伝説がある。その昔、セレブが住んでいて、年に一回フォアグラを供えないと村に悪さをしたそうだ。今でも、その池でセレブを見かけたという人は後を絶たない。

恐山にある大岩には巨大な手形が付いている。昔セレブが村人との知恵比べに負けた時に、もう二度と村に来ない証として残した手形らしい。

「悪い子はいねえが」
秋田の伝統行事、包丁を持って迫るなまセレブ。

セレブの肉を食べると不老長寿の妙薬だと謂われている。打ち上げられたセレブの肉を食べて八百年生きた八百セレブと呼ばれる人の話は、昔話としてよく知られている。

浦島太郎は助けたセレブに連れられて、竜宮城のパーティーに行ってきたとのことだ。持ち帰った玉手箱を開けると、モクモクとフォアグラが出てきたらしい。

日本各地に残るセレブ伝説、空想上の生き物だと裏付ける証拠だと思う。

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