大いなるマンション

唐突な話だが、子供を育てる際、スティーブン・セガールを軸に育てようと思ったら、どうなるのだろう。自分でも何を書いているのかは、よく分からないが、ともかくどうなるのだろう。

子供に読み聞かせる昔話。勿論、主人公はセガールだ。
「お爺さんとお婆さんが桃を割ろうとすると中からセガールが自力で出てきた」
「金太郎の本当の名前は、金太郎セガール。後に金太郎を改めスティーブンと名乗ることになる」
「セガールは、助けた亀に連れられて、竜宮城に行ったが、待ち構えていたのは組織の罠だった」

中学生になったら学校の教科書を取り上げ、渡す教科書は自作のセガールスタイル。
「Hello, I am Seagal.(こんにちは、私はセガールです)」
「He is the Seagalest all over the world.(彼は世界中で一番セガールだ)」
「A whale is no more a fish than Seagal is.(鯨が魚でないのは、セガールが魚でないのと一緒だ)」

反抗期は大変なことになると思う。
「俺、セガールなんか大嫌いだよ。ふざけんなクソ親父」
「セガールさんにそんなこと言うな。お前にセガールの何が分かるんだ」
セガールでキレる息子。セガールを馬鹿にされて怒る父。衝突する親子。
そして、反抗期が終わり和解する父と子。
「ごめんな、親父。セガールはやっぱり最高だぜ」
「やっとセガールが分かってきたか」
手を取り合う感動の瞬間だ。

そして20歳の誕生日に衝撃の告白が待ち受ける。
「実は、お前に話しておかなきゃいけないことがある」
「えっ、何だい。また新しいセガール情報が入ったの」
「いや、父さんは、本当は、……」
「ま、まさか俺の本当の父親ってセガールなんじゃ」
「いや、そいうことじゃなくてな。父さん、実はセガールが好きというわけじゃないんだ」
「えっ」
「はっきり言うと、好きでもないし、嫌いでもない。悪く言えば、父さんにとって、セガールは、凄くどうでもいい存在なんだ。本当に全く関心がないんだよ」
唖然とする息子。家族崩壊の危機。

しかし、そんな危機だってセガールアクションで乗り越えられる。セガールはいつだって僕らのヒーローなのだから。

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