はたらく車
「毒」や「危」の文字が書かれたトラックを見かけることがある。高速道路を車で走っているとよく見かけるのだが、このトラックを抜かすときは、このトラックが横転したら毒塗れで死ぬなあ、危塗れで死ぬなあ、などと思って少しドキドキする。そんなドキドキ、「危」、「毒」以外にも味わえないものか。
「蜜」
甘い汁が車の揺れに合わせてタプンタプンと汁面を揺らしているかとおもうとワクワクする。事故を起こすと蜜塗れ。事故の中にある確かな甘さ。
「肉」
タンクの中にみっちり詰まった肉。車というより金属の皮を被ったソーセージと呼んだ方が良いかもしれない。
「汗」
みんなから少しずつ分けてもらった汗をたっぷりと積んだトラック。こぼしたら「毒」より性質が悪い。
「子」
「子供が乗っています」とは違ったイメージで子供を運ぶ車。荷物としての子供達だ。
「夢」
御伽の国からやってきた車。千葉のネズミ達のファンタジーランドとかファンタジーシーの周りにもありそうだ。乗って自分探しの旅に出てしまいそうな車。
「恋」
甘酸っぱいさを一杯に詰めて走る。誰もが思春期に心の中で爆走していた車。
「春」
冬の終わりを告げ、暖かな風と共に南から花だよりを運ぶ。
適当なことを書いたが、実際に見たらかなり鬱陶しい車だと思う。