マゼラン海峡冬景色

塩素系の洗剤や酸性の洗剤には「混ぜるな危険」と書かれている。世の中、混ぜてはいけないものはそれだけではない。

いつもの教室も今日は少し雰囲気が違う。転校生が来るのだ。
「今日は転校生を紹介する。よし、自己紹介してくれ」
「はい。初めまして、丸和太郎です。よろしくお願いします」
「みんな、丸和は、混ぜるな危険だから迂闊に仲良くしないようにな」
リアクションに困る生徒達。どう付き合えば良いのだろう。

今日は時間がない。朝飯のご飯に味噌汁をかけてかき混ぜる。
「何してるの。今日の味噌汁は混ぜるな危険なのよ」
叫ぶ母親。しかし、時既に遅し。混ぜて飛び散る味噌汁と冷や飯。

体育館の裏に若林さんを呼び出した。川本君、勇気の瞬間だ。
「若林さん、好きなんだ。付き合って欲しい」
「ごめんなさい。私、あなたとは混ぜるな危険なの。ごめんなさい」
「えっ」
「いや、嫌いじゃないのよ。混ぜるなだから。それじゃあ」
走り去る若林さん。一体どういうことだろう。

超獣戦隊アニマライザーの5人は最後の決戦に臨んでいた。目の前にいるのは、密猟将軍ブラックハンターだ。
「行くぞ、みんな。勇気と愛を合わせるんだ」
アニマライザーが放った光線が、ブラックハンターを貫く。
「くっ、勇気と愛は混ぜるな危険だったか。無念だ」
爆発するブラックハンター。

仕事での外人と会議。飛び交う英語。そして、そこに混じれない自分。次回の会議は混ぜるな危険の札を首から下げて参加したい。

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