代替魚とその影響

一般的にスーパーマーケットなどで売られている「シシャモ」は、正確には「シシャモ」ではない。本当の名前は「カペリン」。「カラフトシシャモ」とも呼ばれ、アラスカで獲れる魚だ。本物のシシャモは、北海道の一部でしか取れない上、漁獲量もカペリンよりもずっと少ない。シシャモを多量に獲ると、シシャモはすぐに絶滅しまう。そんなシシャモの絶滅を防ぐべく投入されたカペリンは、シシャモの代替魚と呼ばれている。

代替魚なのはシシャモだけではない。冷凍の白身魚のフライも、代替魚が使われている事が多い。一見タラの身のようだが、ほとんどはタラではない。メルルーサやホキという妙な名前の魚だ。メルルーサはロールプレイングゲームの敵キャラみたいな名前だし、ホキは、一字換えればホセだ。謎のメキシコ人みたいな名前になってしまう。
他にも、マイワシの代替魚がハダカイワシだったり、色々な代替魚が世の中に出回っている。

魚ですらこのように代替が沢山ある。魚の他にも、知らない所に「代替」が存在するのかもしれない。

母親が突然の告白。
「御免なさい。今まで黙っていたけど、お父さんは、あなた達の本当の父親じゃないの」
代替父だ。
「じゃあ、本当のお父さんは誰なの?」
「隣のおじさんが本当の父親よ」
ドロドロの展開だ。

ペットの柴犬のポチが、突然の告白。
「おやっさん、すんません。柴犬のポチとして可愛がってもらいやしたが、本当は違うんでさぁ」
代替犬だ。
ポチの背中のチャックが開き、ドーベルマンが出て来る。
「ドーベルマンのシルベスターです」
ポチは、いつから代替犬のドーベルマンだったんだろう。初めからなのか。それ以前に、ポチの背中のチャックに気が付かない飼い主も問題だ。
ペットの猫まで突然の告白。
「ごめんニャ、私も猫のミケとして可愛がってもらったんですけど……」
今度は代替猫だ。ミケの背中のチャックが開き、隣のおじさんが出て来る。
「隣のおじさんです」
ドロドロの展開だ。

白身魚のフライが突然の告白。
「済みません、おいしく食べてもらっているんですけど。本当は違うんです」
代替魚なのだろうか。タラではないことくらい知っている。今更そんな告白には驚かない。
「どうせタラじゃないっていうんだろう。ホキか」
「済みまセーン。違いマース。ホキじゃあないデース。ホセなのデース。メキシコから来まシータ」
メキシカンハットをかぶったホセが、マラカスを振りながら陽気に白身魚のフライから飛び出す。

伊勢神宮が衝撃の発表。
「長い間ご愛顧いただいた伊勢神宮ですが、いままで隠していました」
代替神社だ。
「本当はホセ神宮デーシタ」
社殿から飛び出したホセは、メキシカンハットをかぶり、陽気にマラカスを振る。

友人達も突然の告白。
「俺、本当は『田中』じゃないんだ。本当は『佐藤』なんだ」
代替友だ。代替友の背中のチャックが開き、友人の佐藤が出て来る。
あれ?では隣にいる佐藤は何者なのかと思うと、謎の佐藤も告白。
「俺、本当は『佐藤』じゃないんだ。本当は『田中』なんだ」
背中のチャックが開き、田中が出て来る。田中が佐藤で、佐藤が田中。代替佐藤と代替田中。ややこしい。はっきりいって、どうでもいい。
「そして、俺は」
山田の背中のチャックが開き、中から山田が出て来る。代替山田の正体は山田だ。
「実は、俺も本当は『隣のおじさん』じゃないんだ」
どこからともなく現れた隣のおじさん。背中のチャックが開く。代替隣のおじさんだ。
「本当は、ホセ、デース」
メキシカンハットをかぶり、陽気にマラカスを振る。

今回のまとめ。
・スーパーで売っているシシャモはカペリン
・柴犬の中身はドーベルマン
・山田の中身は山田
・本当の父親はホセ

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