シン ビタミン
日本人はビタミンCを摂りすぎているんじゃないかと思う。ビタミンCが色々な食べ物にこれでもかといわんばかりに入っている気がする。暫く前はレモン1個分で凄いビタミンCの量だったような気がしていたが、レモン34個分のビタミンCのアセロラが出てきても凄いと思わなくなってしまった。人間というのは、そんなにビタミンCが必要なのだろうか。日常生活において、そこまでビタミンCを使っているような気がしないのだが、どうなのだろう。知らないうちに使っているのだろうか。
「君、この見積もりは何だね。おたくの会社との取引は考え直す必要があるねえ」
「いや、あの、この見積もりはですねえ」
窮地に立たされるサラリーマン。流れる冷や汗とビタミンC。
「へっくしょん」
くしゃみの勢いで鼻から飛び出すビタミンC。
「お父さん、またビタミンC出したでしょ。もうコタツの中でするのは止めてって言ってるのに」
バサバサとやるコタツ布団の中から、ほんのりと甘酸っぱい匂いがする。
「丸和さんのところの奥さん。最近やせたわねえ」
「あたし、聞いたんだけどね。丸和さん、美容整形でビタミンCを吸い出しちゃったらしいわよ」
「ええっ、嫌ねえ」
「本当よね」
「ワッ」
「ああっ、吃驚した。口から心臓とビタミンCが出てくるかと思ったよ」
知らず知らずの内に失ってしまうビタミンC。人間はカジュアルにビタミンCを吹き出しているのかもしれない。
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