ゲルマン
歴史の教科書に出てくる「ゲルマン民族の大移動」。中学の歴史の教科書に唐突に出てきた気がする。何だか分からないが、ゲルマン民族が移動。理由は書かれていなかった気がする。
しかし、単にその教科書に書かれていなかっただけで、実際には移動の理由があると思う。巨大な列を成して移動するゲルマン民族。考えただけでドキドキする。どんな理由でゲルマン民族は動き出したのだろう。
「あのさあ、思いついたんだけどよ」
「何だ、言ってみろ」
「歩くときに、いつもより強く地面を蹴ってみてくれ」
「ああ」
「どうだ」
「あれっ、嘘、なにこれ」
「それを繰り返してみろよ」
「ああっ、うおっ、凄い。いつもより速く移動できる」
「どうだ。凄いと思わないか。みんなにも教えてみようと思うんだが」
「き、きっと喜ぶぞ」
人類が初めて走った瞬間。やがて仲間に「走り方」が伝えられてブームとなり、ゲルマン民族の大移動へと繋がる。
「あのさあ、はんぺんって、魚から出来ているらしいぞ」
「ええっ、信じられない」
衝撃の事実は皆に伝えられ、混乱したゲルマン民族は大移動を始める。
「今日はまた一段と冷え込むよな」
「ああ。でも、すぐそこまで春は来ているらしいぞ」
「本当か」
「ああ」
「やっほー」
暖かさを求め走り出したゲルマン民族。ゲルマン民族の移動。春の風物詩の一つだ。
あの頃の僕らとゲルマン民族は、自分の力でどこまでも行けると思った。その時の熱い気持ちは今でも僕らとゲルマン民族の心の中にある。