少年寅次郎
私の愛する真央ちゃんが主演したNHKドラマ。
寅さんの育ての母親役、光子さん。
これが本当に素晴らしかった。
何があっても絶対に揺るがない覚悟と意志を持った肝っ玉母ちゃん。
神々しいほどの美しさ。思い出すと鳥肌が立つ。強さゆえの優しさと寛容さがあって、
とにかく綺麗で儚げでついでに色っぽかった。
この人の涙はなんて綺麗なんだと思った。
他の人とは何かが違うのね。
「内面から滲み出るものを大事にしたい」
「自分の延長線上で演じたい」
完全に自分と役を切り離して、入り込んでしまうのはそう難しいことじゃないと思う。
でも真央ちゃんが体現する役には、ちゃんと真央ちゃんがいる。外見だけじゃなくて、演じる人物の心情を真央ちゃん自身が感じ取って涙を流したり、笑ったり怒ったりする。
芝居って、言ってしまえば嘘だけど。
真央ちゃんの芝居は嘘をつかない。
だから真央ちゃんの涙はこんなにも綺麗なんだと思う。光子さんの涙を真央ちゃんが流す、
そんな感じ。
みんな知ってる寅さんの母親を演じるっていうのは相当難しい上に、プレッシャーもあったと思う。それを見事にやってのけてしまった真央ちゃんに私は最優秀主演女優賞をあげたい。
他の誰にもできない。真央ちゃんにしか出来ない光子さん、素晴らしかった。
そして可愛い子役たちに食われてしまわない、絶対的な存在感と凛とした佇まい。
圧巻でした。
寅さんが恋をする根底には少なからず母親の存在があるんだろう。愛情たっぷりに育ててくれた強くて美しい母親の面影を、一生かけて探しているのかも。
羽を休めに時々帰ってくるけれど、すぐにまた
母親を探す旅に出る。それはいくら探しても見つかるものではない。でもやっぱり
探しに行かなきゃならない。辛くても寂しくても一生求め続けなければならないものがある。それが寅さんの人生なんだと思う。
寅さんが恋する女性は大勢いるけれど、
どの恋も上手くいかない。
ひょっとすると、フラれてしまうのはいつも
マドンナの方かも。
どのマドンナも綺麗で魅力的な人ばかりだけれど、寅さんが理想とする女性像は自分の母親。
恋がうまくいかないのは、恋した人が理想とする女性ではなかったから。
どんなに素敵な人でも、それは母親じゃない。
稀に、マドンナの方が寅さんに愛の告白をする場合がある。そういう時、寅さんがそれを受け止めさえすれば、恋はうまくいったことになるのに、寅さんはスッと引いてしまう。
そこで頷いてしまえば、母親を探す旅が終わることにもなるから。多分だけど。
「死ぬまで母親を求め続ける」
というのが寅さんの使命であり生きがい
なのかもしれない。
そんなふうに思わせてくれた、真央ちゃんが作り上げてくれた強くて美しい光子さん。
真央ちゃんのおかげ。ありがとう。