見出し画像

vol.730 好きな子がいるならその人のことを語りますよね。口説き方ばかり話題にしてどうするんです?という話。 2025/2/19

何回も同じことを主張していて恐縮ですが、Webコンテンツやプレゼン、仕事のテキストなどにおいて「コンテンツを書くのが苦手」とか「人前で話すのが苦手」というのはピントがずれています。「稲田さんは話すのも書くのも得意だから」と言われたりしますが、それも焦点がずれていると思います。

そりゃあ、小説家やコメディアンを目指すなら書くのも話すのも秀でていなければと思いますがぼくたちは違いますよね。「自社の製品やサービスをより伝わるようにする」ことが主眼です。なぜなら自社の製品やサービスをもっと知ってほしいし、もっと使ってほしいからです。そこで求められるのは文章力や話術ではありません(また言ってるよと思われますが何度でも言いますよぼくは)。

求められるのは「自社の製品やサービスがどう優れていて、どんな方に使ってほしいのか。どんな便益が期待できて、どんな課題を解決できるのか」を自分の言葉で語ることです。それは文章力や話術ではありません。自分たちの仕事と顧客と市場を対象にした観察であり、理解であり、仮説であり、解釈です。

語るべきことがあればいいんです。そこにバリューがあれば文章力や話術なんて表層にすぎません。でも、大抵の場合は「語るべきこと」に焦点をおかず、「やり方」ばかりを話題にします。好きな子がいるならその人のことを語りますよね。口説き方ばかり話題にしてどうするんです?すごく歪だと思います。

語るべきことを語りましょう。何を書けばいいのか…何を話せばいいのか…で止まっているのならそれは「語るべきこと」があなたの中に溜まっていない/形になっていないだけのことです。だったら観察して、きょろきょろして見つければいい。最初は小さな種で全然いいんです。自分で育てるんです。

語るべきことがないのに立派な文章を書けるわけがないし、流暢に話せるわけもありません。そもそも立派さも流暢さも不要だし。繰り返しますが必要なのは「語るべきこと」を見つけることです。あなた自身が見つけて、育てて、確信をもつことです。語るべきことがあるから書くし、語るんです。

勘違いされやすいですが、あなたの中をいくら探しても「語るべきこと」はほぼ見つかりません。小さな種は必ずあなたの外にあります。お客様との対話や日々の仕事や同僚との雑談やたまたま見た業界ニュースやお店の棚に。きょろきょろしましょう。「世界は半径3mの中にある」と宮崎駿も言っています。

そもそも「上手く書かねば」「流暢に話さねば」という気持ちはユーザーに向いてないんですよね。そのベクトルはあなた自身か上司や社内に向いています。評価を仰ぐべき相手はユーザーです。あなたや上司じゃありません。そして、ユーザーが求めているのは流麗な文章や話術ではなく「役に立つこと」です。

ユーザーの役に立つことが語るべきことです。だって仕事なんだから。文章や話術のコンテストに参加することがあなたの仕事ではないはずです。そうですよね?あなたはあなたの仕事をしましょう。あなたが見つけたあなたが語るべきことをあなた自身の言葉で。それはとても価値あることです。ぼくは本気でそう思っています。

関連note

いいなと思ったら応援しよう!