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vol.595 「伝えたい」がないのに手法だの定石だのTIPSだのをコレクションしても仕方がない。(稲田)2024/7/18
伝える技術をどれだけ教え込もうとしたところで、「伝えたいという気持ちが子どもの側にないのなら、その技術は定着していかない。では、その「伝えたい」という気持ちはどこから来るのだろう。私は、それは、伝わらないという経験からしか来ないのではないかと思う。
伝えるということにおいて、かなり重要なポイントだと思います。大人ですら「伝えたい」という気持ちが感じられない人は多々いる。自分は話すのが苦手だから…とボソボソ話す人は珍しくないが、スキル云々の前に伝えようという意思を感じないし、そのための試行錯誤を端から放棄している。企業のWeb活用も同じで。「伝えたい」がないのに手法だの定石だのTIPSだのをコレクションしても仕方がない。
たまに「言語化が上手くなりたい。どうしたら…」とたまに聞かれるんですけど、まず必要なのは「伝えたい」という意欲ですよね。手段であって目的ではないので。伝えたいという気持ちはさほど持ってないのに言語化が上手くなりたいって何か変です。自分をスマートに見せるためのファッションじゃないんだから。
伝えるということは恥をかくということです。失敗を是とする姿勢。AかBかで迷ったら答えがわかるまで言わないんじゃなくて、まずは勇気を出して伝えてみて、たとえ二択を間違えたとしても、「そっか。そっちなんですね。それならこうしましょうか」と対話を進めればいいんです。
伝えるという行為は対話を進めるためだし、ましてやクイズでもない。外れたらどうしようと思うこと自体がちょっとおかしい。まずは相手と対話をすることだし、対話しようという意思がなければ。ぼくはそう思っています。