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ラタ ヤトラ(ジャトラ)のお祭り
「ラタ ヤトラ(御神輿祭り)」は、毎年アシャル月(6/15~/15)の月が欠けて2日目に行われるヒンズー教の大事なお祭りです。(訳者注・今年2022年は7月1日でした。) 世界中で祝われますが、最大はインド南東部オリッサ州プリー市にあるジャガンナット寺の祭りです。ラタとは「車」のことで、祭りは、主ジャガントーナ、兄弟神バラバドラ(Balabhadra)、姉妹神スバドラ(Subhadra)から成る3体の神様を乗せた山車が、彼らの寺から叔母の住むグンディチャ寺に向けて行進するという祭りで、数百人もの信者が巨大な山車で神様が移動していくのを見守ります。
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山車は車輪が18あり、4,000もの木製部品で40日以上かけて作られ、それを数千人の人々と像が引いて歩きます。「山車祭り」の伝説はプリー市の王インドラユムラ(Indrayumna)が、死後火葬されてドワールカ湖に沈んだクリシュナ神の心臓を盗ろうと企てたことに始まります。これにより神クリシュナの心臓は人々にとって偶像となるのですが、王がそれを奪おうとしたところ無くなってしまいました。罪悪を感じた王は何らかの形で神クリシュナから赦免を乞うことを模索します。そして王は木で壮大な寺院を建設することを決心し、偶像制作のために宮大工ビシュワカーマ(Vishwakarma)を呼び寄せたと伝説にあります。大工は自分が平和である時のみ制作することを条件に承諾し、何週間も仕事場から出てきませんでした。イライラした王はドアを突っ切ると、像は未完成で大工はいませんでした。しかし、(作られていた)像は神から成るものと信じた王はそれらを寺に安置しました。
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祭りのために毎年1,400名の大工がラタ ヤトラの3つの山車を制作します。開催日は毎年雨降りと信じられています。そして、英語のジャガノート(juggernaut*) は、ジャガンナット(Jagannath)寺から派生していることばで、ジャガンナットの巨大な山車が理由です。(*「人を犠牲にするもの、絶対的な力、不可抗力的なもの」の意。)
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ラタ ヤトラは信者のために神様が寺から移動するという世界唯一の祭りで、圧巻はプリーとグジャラートの2地域の祭りです。行進の間中、人々は神に捧げる歌や踊りを続けます。
2022/6/30
JBCEAバングラデシュ カントリーディレクター
マハデブ. C. バス