草木と生きた日本人 続・東国人と花
一、序
恋しけば 来ませわが背子 垣つ柳 うれ摘みからし われ立ち待たむ(巻十四・三四五五)
「恋しくなつたらいつでも来てくださいね。私の大切な人。垣の柳の芽を摘み枯らしてしまふまで、私は立つて待つてゐませう」といふ意味のこの歌。
さう、この歌も東歌です。この歌には柳の木が詠まれてゐますね。柳の芽を積み枯らすほど摘んであなたを待つてゐますと詠む、実に情熱的な女性の立場の歌です。
前回は、『万葉集』に残された東国人の歌から、都人だけでなく、都から遠く離れた東国の人も