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統計検定準1級ワークブック例題 第28章

統計検定ワークブック(以下WB)の「第28章 分割表」の例題について書いていきます。

解答例はいろんな動画や記事で紹介されていると思うので、ここでは思考のプロセスというか考え方のヒントを書いていきます。本記事が同資格を受験する方のお役に立てば幸甚です。


例1

フィッシャーの正確検定の問題です。2×2の分割表で、求めたい値をxを置いて、他の値をxで表していきます。xの範囲を考える必要があるので、min値とmax値を求めますが複雑ではないので公式で覚えていいと思います。

Xは超幾何分布に従うので「X~HG(N, M, n)」となるのですが、求めるのは観測値からxのmax値までの確率の合計です。

初見だと「分割表」と「超幾何分布」が結びつかないかもしれません。「第5章 離散型分布」で「超幾何分布」の性質について確認しておきましょう。

問28.1

後向き研究の問題です。問題文をよく読めば難しくないかもしれませんが、そもそも前向き研究とは何なのか、後向き研究とは何なのかを理解しておく必要があります。

そこには研究の難易度の問題だったり、コストの問題などが潜んでいます。別動画等で理解を深めておきましょう。

問28.2

分割表についての計算問題です。順を追って見ていきましょう。
①一様性の帰無仮説のもとでの当てはめ値
②適合度カイ二乗$${χ^2}$$と有意水準5%での両側検定
③逸脱度$${G^2}$$と有意水準5%での両側検定
④標本オッズ比に基づく母集団のオッズ比Ψの信頼係数95%の近似的な信頼区間

①当てはめ値

観測値の分割表を元に理論値の表を作成すればOKです。それぞれ独立していれば同じ比率になるのがポイントです。

②適合度カイ二乗

計算方法が2通りあって、1つ目は観測値と期待値から計算する方法。2つ目は観測値から計算する方法で2×2分割表でのみ利用できます。

1つ目の方法が汎用的ですが、ここでは2つ目の方法を覚えて、本試験で出た場合は少しでも計算時間の短縮と計算ミスの軽減をしたいところです。(計算方法については解法メモ参照)

検定は自由度1のカイ二乗分布を利用します。

③逸脱度

計算するには公式を覚える必要があります。補足ですが勉強のかなり後半の方で「第12章 一般の分布に関する検定法」の例1の尤度比検定でも逸脱度を求めていることに気づきました。

計算はやや複雑で、logの計算が最初全く合いませんでした。途中で巻末にある「付表5.指数関数と常用対数」に気づき、Excel等で何度も計算して計算式の確認をしてました…。

計算の過程は解法メモを参照していただくとして、ここではlogの計算のポイントを書いておきます。
(1) $${log{\frac{4}{2.5}}=log4-log2.5}$$ →logの割り算は引き算になる
(2) $${log30=log(3×10)=log3+log10}$$ →logの掛け算は足し算になる
(3) $${log4=log_e4=0.6021×2.3026}$$ →常用対数を自然対数に直すには2.3026をかける

検定は適合度検定と同じく自由度1のカイ二乗分布を利用します。検定統計量は異なりますが、両方とも帰無仮説を棄却という結果は同じです。

④標本オッズ比

これも計算が複雑というか流れを理解しておく必要があります。
(1) 観測値から標本オッズ比を求める
(2) 標本対数オッズ比を求める(※計算を簡単にするため)
(3) 標本対数オッズ比の標準誤差を求める
(4) 標本対数オッズ比の95%信頼区間を求める
(5) 標本オッズ比の95%信頼区間を求める

計算を簡単にするために一度対数を取り、最後に元に戻すのがポイントです。慣れるまでは何度も反復していきましょう。

解説に「信頼区間に1が含まれることは・・・」という1文があり最初は理解できませんでした。オッズ比の信頼区間に1が含まれる=観測値のオッズ比が帰無仮説$${{\frac{2.5×28.5}{7.5×9.5}}={\frac{71.25}{71.25}}=1}$$を含む=それぞれの因子は独立している=適合度カイ二乗と適合度でも有意ではない=よって整合性が取れている、と理解できるようになったのはかなり後の方でした。

検算としても使えますし、4択問題でも出る可能性はあると思うので、計算して終わりではなく、理解を深めていきましょう。

問28.3

グラフィカルモデルの問題です。グラフィカルモデルについては一見複雑ではないのでなんとなく分かった気になってしまうような、危険な問題のような気がします。例題を解くだけではなく別動画等で理解を深めておきましょう。

解法メモ

解法メモはご自身で納得のいくように作成されることをおススメします。参考までに私が作成した解法メモを貼っておきますが、間違っている可能性もありますので、あくまでもご参考までということでお願いします。

28-1

おまけ

本章のWB本文を読むと分かったような分からないような、同じようなことが書いてあるようないないような、なんともスッキリしない感じですが、例題は解ければスッキリする感じです。特に逸脱度の計算でlogの問題が解けた時はスッキリしました。(初学者あるあるかも)

WB本文についての記事はこちらです。

また、以下にまとめ記事を書いております。こちらもお役に立てば幸いです。

#統計検定
#統計検定準1級

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