相続放棄、まだ間に合うかもしれません!
1 相続放棄とは?
相続放棄とは、被相続人(亡くなった人)の財産を相続する権利を放棄することを指す。
相続放棄を行うことで、被相続人の財産だけでなく、借金やその他の負債、権利をも引き継がないという効果がある。
相続放棄をすると、相続放棄した者の相続権はなくなるというものだ。
2 相続放棄の効果
1,一切の相続権を失う
相続放棄をした場合、その人は初めから相続人でなかったものと見なされる。よって、先ほども述べた通り相続放棄した者の相続権はなくなるというものだ。
要するに、放棄した者の子供も代襲相続をしないということ。
相続放棄した者以下は相続権は全くない!
したがって、当人以下はプラスの財産もマイナスである負債も、権利も、一切引き継がれなくなる。
そのことを踏まえて相続放棄してほしい。
2,次順位の相続人に相続権が移る
例えば子どもが相続放棄した場合、次順位の相続人(直系尊属及び配偶者)が相続権を持つことになる。
ここで注意が必要になる!
相続人同士の関係性が希薄であったりすると、突然自分が相続人であることになり、気づかないこともある。
相続放棄の期限は「相続開始」及び「自己が相続人となったこと」を「知った日」から「3か月以内」に手続きをする必要があるのだ。
よく読んでほしい!
「相続開始」かつ「自己が相続人である」ことを「知った日」からであり「相続開始時(被相続人が亡くなった日)」ではない!
相続人間の関係が希薄であったり、争いがあり連絡を取り合ってない場合、「自分が相続人であるということは、亡くなった日に知るわけではない」ということ。
例えば、被相続人には配偶者、子2人がいたとする。
配偶者と子は相続開始及び自己が相続人となったことを知った日から3か月以内に突然相続放棄をした。
相続放棄をしたことを、関係性の悪い被相続人の直系尊属(両親)に伝えないこともあるということ。
するとその直系尊属は、自分が相続人となったことを突然送られてきた「債務請求書」をみて、自分が相続人であることを知ることになる。
突然すぎてパニックになるかもしれない。
そんな時、司法書士に相談してほしい。
司法書士は家庭裁判所に「熟慮期間の延長」を申し立てるお手伝いができる。また「相続放棄申述書」作成のお手伝いができる。
3 相続放棄の手続について
1,申述先
被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申述をする。
2,期限
「相続開始」および「自己が相続人であること」を「知った」日から「3か月以内」に手続きをする必要がある。
場合によっては「限定承認」を考えていることもあるので、期限内に全ての事情を確認できない場合「熟慮期間の延長」を家庭裁判所に申し立てることも可能である。
3,必要書類
①相続放棄申述書
②被相続人の戸籍謄本
③申述人(相続放棄をする者)の戸籍謄本
④その他、必要に応じて債務の状況がわかる書類など
4,費用
収入印紙代、800円程度(家庭裁判所に確認してほしい)
郵便切手代
4 まとめ 相続放棄が有効な場合
1、多額の借金がある場合
被相続に借金があり、その返済義務を負いたくない場合。
2,不要な財産を避けたい場合
財産があるものの、不動産の維持費や税金などの負担が大きい場合。
さほどの価値のない不動産を相続する場合で、維持が大変な場合。
3,相続人間の合意
財産分与の話し合いで相続権を放棄するほうが良いと判断された場合。
4,注意点
特定の財産のみを放棄することはできない。
相続放棄を行うと、「すべての財産や権利、負債」を放棄することになる。
相続放棄の効力は個人に限定されている。
が!! 先ほども伝えた通り、他の相続人に影響を及ぼさないだけであり、自分以下の者には相続権はなくなる。(相続人ではないことになるからだ)
相続放棄は家庭裁判所の審査を経て認められる。
手続が適切ではない場合、無効とされることがあるので注意を要する。
そして、相続放棄は複雑な問題を伴うこともあるため、特に借金が絡む場合や、相続人が複数いる場合は、司法書士や弁護士などに相談することをお勧めする。