地下鉄
地下鉄って、乗ってても面白みがないよなぁ。そんなことを思うのも数年ぶりだ。高校時代は、登校に地下鉄を使用していたから、よく思っていた。三年間、暗闇の中に殆ど何も見えない景色に嫌気がさして、大学には京阪を使用することにした。10円20円変わるのだが、定期代を出してくれていた親が許可してくれたのだ。とてもありがたい。その景色も、二年もすると見飽きたが、たまに顔を上げた時の景色は、創作意欲をわかせるものだった。
眩しい。この地下鉄は、途中で顔を出すタイプだったか。目の前に広がる緑地に、急に心が軽くなった。力んだあとの方が力が抜きやすい、みたいな。
あぁ、こんなところで安堵している場合では無い。早く降りなければ。急いで隣に置いていたカバンを掴んで立ち上がる。外に出ればきっと、もっと素敵な世界がある筈だから。