経営する事の難しさについて語ってみよう(30歳代前半~中半)④
多忙な毎日を送る中で、会長派の一員として、IPOに全力に取り組もうとすればする程、部下からもっと情報開示して欲しいと要求された。確かに僕一人が納得していても仕方がない。会社全体として、透明化が必要だと感じ、取締役会で、新規事業の状況、投下資金の計画と状況、又役員が相次ぎ退任している理由等を当然の様に確認したところ、会長の曖昧な返答に非常に違和感を覚えた。他の役員も同様に会長に忖度している空気を感じ、僕がした質問はアンタッチャブルであると感じた。疑義を解決するため、既に退任した社長や副社長に個別に会い事情を聞いたり、経理担当者が知り得る情報を一部とは言え確認したところ、IPOは絶対にあり得ない事が判明した。横領や税金の未払い等、深刻な事態になっている事を知る事になった。この時点で選択肢は二つ。スピンアウトか会社を辞める事。スピンアウトが理想だったが安定した基幹事業を担当する僕の部署を手放す事はあり得なく、僕が退任するのはここまでついてきてくれた部下に申し訳が立たないと思い、時間はかかるが、この会社からリスクヘッジしながら離脱する事を決めた。
一気に会社が肥大化した事で、経営指標が曖昧になり、無理なミッションを打ち上げる事で経営層と社員との溝ができ、それらを調整や修整する時間や作業も同時並行で行う事で、自身の事業の低迷にもつながった。当然、役員報酬の大幅な減額も。まさに負のスパイラルだった。本日はここまで。