経営する事の難しさについて語ってみよう。⑮
気づくと55歳を超えていた。多少の衰えは感じていたものの、常に最前線で戦う事に生きがいを感じていた。しかしそろそろ周囲の目や雰囲気が変わってきた。年齢という壁だ。例えば最新のトレンドや情報へのキャッチアップ力や企画力への不信感。僕が先生化している事への周囲のどうしようもない遠慮。(年配の発言に波風立てない的な)それに現場での瞬発的な判断力。エトセトラ。いつの間にか出来上がってきた周囲との壁に対して贖うのではなく、嫌い嫌いながら受け入れないといけなくなってきた。そうなると一体僕は何をすれば良いのかわからない。特に新型コロナウイルス感染症の期間は企画案件が極端に減少し、僕の仕事は役所や銀行との対話が中心になっていった。そうなのだ。自分の方向性を変える時期がとうとう来たのだった。ここで選択肢としては2つ。社長業にシフトし、経営者に徹する事と現役として今の業務を続ける事。僕は業務を続けたいと思った。これは、僕を必要としてくれる人を探すという途方もない暗闇を旅する事を意味する。これまでのクライアントではなく、僕個人に何を依頼したい人。茨の道であるとはわかっているが、老け込んで毎日を過ごしたくない。当社の取締役や従業員にこんな生き方もあるよという事も伝えていきたい、そんな思いが社長交代を決意させた。2023年8月で社長業に幕を閉じたのだ。晴々とした船出という訳ではなく寂寥感や不安が正直大半であった。本日はここまで。