芸能界にあこがれた私が成人したころの話
すごく充実していたはずだが、今振り返ると何が楽しかったか書き起こせないぐらい曖昧な記憶の高校時代。
今と違ってまだガラケーが主流だったので思い出は『写ルンです』で撮って現像した写真のみという時代が終わり、私は大手芸能プロダクションが作った芸能学校へ進学した。
誰もが知る大手だからと言って学生全員が事務所に所属できるわけではなく、演技・ダンス・滑舌・歌などの授業を通してエンタメを学び、エキストラ出演や舞台の経験を経て2年目のオーディションで芸能プロダクションに所属できる機会があるという学校である。
ちなみに卒業生で有名なのは山田裕貴くん。私の1年後輩だから声を大にして言っておく。先輩として絡んだはずだが覚えていない。
私は高校を卒業してすぐ入学したが、同級生には私と同じ年代~上は25歳までいた。(今は30歳までらしい)
一度社会人を経験しお金を貯めてから入学した人もいたし、別の専門学校を出てから芸能界への夢を諦められずにきた20歳くらいの人もいたし、新聞配達をしながら奨学金をもらって通う制度もあり、A~Kクラスまで役者コースは150人くらいいたと思う。
とにかく本当にいろんな性格と目的と年代の人がいた。
あと入学して一番驚いたのが、イケメンがめちゃくちゃ多かった。
さすが芸能界を目指す人が集まるだけあるな・・・と感心した記憶がある。
今思えばそれだけでも通う価値がある。
ただのメンクイで申し訳ない。
そこで出会ってしまった2歳年上の彼との付き合いが、私の成人してからの歪んだ世界を作っていったといっても過言ではない。
彼のことはAと名付ける。
Aと同じクラスになった時から一目惚れだった、とにかく顔が良かった。
しかし、入学したときにAには彼女がいた。
そもそも付き合った状態で彼女と一緒にこの学校を選んで入学してきたので、勝ち目はない。
Aの彼女は私と同い年で、違うクラスの女・B子。
付き合った状態で入学してきたことは皆知っていた。
2年程度付き合っていて一緒に役者を目指していて入学したが、クラスが離れたのである。
私はAへの恋愛感情をどうしたらいいか迷うほど好きだった。
自分に自信はないくせにイケメンが好きなわけで。
でもAにB子という彼女がいることを知っていたし、自分が彼女になることは早々にあきらめた。
そこで私が決めたことは「私が好きなAにとって”一番仲のいいクラスメイト”」になろうと決めたのであった。
2~3か月を過ごし、信頼関係が築きあげられた頃にたまたまB子から連絡がきた。
「今日泊りだから明日ダンスの授業で使う靴を貸してほしい」という連絡だった。
私は当たり前のようにB子が、彼氏であるAの家に泊まるということだと思っていたが、これがまさかの展開へ発展する。
B子から連絡がきた瞬間、私とAは親友レベルまで信頼関係を築けたため、なぜか”暇電”をしていたのである。
そこにB子から「上履きを貸してほしい」とメールがくる。
とりあえずAに「B子から連絡きたよ、泊りなんだって?」と話しをした。
この一言がすべてを変えてしまった。
まさかのB子は同じクラスの男子と浮気していて、その泊りはAとではなかったことがわかった瞬間なのだ。
今思うとグッジョブなのだが、当時の私は何も考えずにAに話してしまったのである。
AとB子はこれがきっかけで別れた。
その夏、合宿があった。
この合宿で私はAと急接近する。
クラス単位で簡単な出し物をするというのが合宿のゴールだった。
役者コースのため、クラス単位で演劇みたいなことを自分たちで考えて発表するのだ。
クラスというのは男女関係なく団結力も増し、運命共同体のような感覚へ陥る。
なぜか私は出し物の最後でAにお姫様抱っこされ、会場も盛り上がった。
あくまでも「クラスの出し物」のエンドロールであるが、エンタメとしてかなりもりあがったのである。
友人は言った。
「Aに楽歌がお姫様抱っこされたのを見たB子の顔を忘れられない」と。
もちろんAとB子は破局している。
私がお姫様抱っこされようが関係ない。
そしてその合宿での私のベッドは最初のベッドメイキングされた状態のまま合宿が終了した。
Aのことが好きということはずっとアピールしていた。
でも彼女になれるなんて思ってもいなかった。
だから尽くしに尽くしまくり、クラスメイトとして、別れを知っている一番近い女友達として、ずっとAを支えた。
今思うとAは浮気されたことにかなり傷ついていたと思う。
そこでけなげに支えた私だが、その献身さが2年後身を亡ぼすことになるとは思ってもみなかった・・・
次回、DV彼氏の誕生
お楽しみに。