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懐かしのドラマ感想文『みんな!エスパーだよ!』は永遠に僕たちの物語



あらすじ

舞台は愛知県の東三河という地方の町。
高校生、鴨川嘉朗(染谷将太)が超能力に目覚める。嘉朗は、自分の力の使い道を模索しながらも、正しいことに使いたいという気持ちがあった。しかし、相手の心の声が読めるテレパシーが使えても、高校生活が充実することはなかった。気になる転校生の浅見紗英(真野恵里菜)と話すこともできない。


 鴨川嘉郎は自分だと思った

 自分にしかできないこと、気になるあの子との肥大した妄想、自分は世界を変えれるんじゃないか、そんな誰もが思う感情をダイレクトに体現してるのが嘉郎なんじゃないかと思う。成長しても、抜けることのないこの思いにあきあきすることも多い。
 しかし、ドラマを見ると、そんな感情が自分に存在してること、まだあってもいいんじゃないかと思わせてくれる。そんな風に思わせてくれるのが、嘉郎であり、このドラマだと思う。

 走って叫ぶ染谷将太がすきだ!

 登下校中に自転車を放り投げ、走り叫ぶシーンが好きだ。叫ぶ染谷将太からは、痛々しさ、むず痒さ、自意識、もどかしさ、うまく表現しきれないような気持ちが伝わる。教室で途端に叫び、走り出す姿が特に印象的だ。
 同じく、ヒミズの染谷将太からもそれを感じる。

 なぜテレパシーだったのか

 自意識過剰な高校生に、ピッタリの能力なのではないかと思った。自分はどう思われているのかを考えてしまう学生に与えられた、それを知る能力。         世界を変えられると思ったが、それに傷ついてしまうことのほうが多い嘉朗。心の声は聞けても、浅見さんに気持ちを伝えられることはできない。この能力が、嘉郎の個性をより、際立てているように感じる。

 

7話あたりから無性にさみしくなるのはなぜ

  
 心の声が聞こえなくなる嘉郎。団結した超能力集団も、実質解散状態になる。いつまでも、「世界を救うだに」と言ってほしかったと、願ってしまっていた。
 自分が思うように世界を変えることはできず、妄想していた未来にはならない。大学生になっても、嘉郎に共感してしまう。
 
 最終話の将来の夢を言う場面、
 「ぼくは世界をなんとなく生きていきます」というセリフからは、少し大人になってしまっている嘉郎が、存在していた。

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