フレンチレストランへ行きたくなる小説
間の悪いスフレ 近藤史恵さん
ビストロ・パ・マル というフレンチレストランシリーズの4作品目
1作品目はタルト・タタンの夢
2作品目はヴァン・ショーをあなたに
3作品目はマカロンはマカロン
下町の商店街の一角にあるフレンチレストランのビストロ・パ・マル
無精髭を生やした無口で少し無愛想な三船シェフとスーシェフで人当たりの良い志村さん、ソムリエールの金子さん、ギャルソンの高築くんの4人スタッフ
物語は高築くん目線で語られます。
お客さんや関係業者といった関わる人々の奇妙な出来事や相談をシェフが名探偵のようにこう言う事なんじゃない?と謎解きをする話。
それだけでなく、料理の描写がなんとも美味しそう!
知らない名前のフランス料理だけどとっても美味しそうに感じられる不思議!もうすっかり三船シェフの料理のファンになってます。
4作品目はコロナ禍が舞台。
レストランの厳しい事情も含めて謎解きも料理も描かれていました。
どれも、根本的な解決というよりは、ちょっとした疑問をシェフに話して謎を解いてくれるというようなもので、モヤモヤが残ることもあります。
ミステリー解決系が好きな方は物足りないかも。でも日常のちょっとした疑問をあー、そうかーとなる妙にリアルな感覚が好きな方は向いてるかも!
個人的に好きだったのは、幻想のフリカッセというお話。
昔は何品もご飯の品があって、全て手作りの完璧な料理を作ってくれていた母がなぜか美味しい料理を作るのをいっさいやめてしまった。
家事も料理も完璧だったのに突然下手になってしまったのはなぜ?
そして、完璧だった頃に作ってくれていた母の料理がビストロ・パ・マルのものと味が瓜二つなのはなぜ?
そのメニューが若どりのフリカッセ。
なんとまぁ。その答えを読んで、なるほど!と言わずにはいられませんでした。
母親となった今だからこそ、息子への想いに共感して、かなり印象に残ったお話でした。
でも、私自身料理も家事も完璧からは程遠く、なんなら土日は全部夫に任せきりなので、全然心配いらないと思うのですが笑
価値観はその家族それぞれなので、色んな考えの人にであって、否定せずただそうなんだと受け入れていける人になってほしいと思います。
そして、若どりのフリカッセ。
ホワイトシチューみたいなものだと書いてあったのですが、なんと無印良品で見つけました。
買ってました笑
物語で知らなかったら絶対に買ってなかったののですが、こんな出会いも楽しかったりしますよね。