い:イヤフォンは使わない
宮城県気仙沼市で生活をしていた時、現在のゆるやかジョギングを始めました。
当時の気仙沼は東日本大震災の痛ましい爪痕から雄々しく立ち上がらんと、市内の至る所で盛り土や嵩上げなどの復旧工事が早朝から行われていました。
私がジョギングの為に自宅アパートを出る時間帯は、まさに現場に向かうたくさんのダンプカーのラッシュアワー。道路事情も絶望的に悪い中、私のような初心者ランナーがイヤフォンを付け好きな音楽を聴きながら町を走るようなことは厳に慎まなければいけない状況でした。
関東に戻り、時に首都圏で走るようになっても、イヤフォンを使ってのジョギングは行っていません。たとえ歩道でもランナー専用レーンであっても、イヤフォンの装置は自分に禁じています。自分の背後は振り返らなけれは見ることができませんが、背後の物音や声まで見失ってしまうというのは本当に怖いことだと思っています。
イヤフォンが遮るものは音や声だけではありません。音楽を聞きながら移動していると周囲の景色がまるで非現状的に見える時があります。好きな音楽に包まれてジョギングする、それは気分の良いものかもしれません。ですが、それによって、その景色の中に自分も関わっていると言う認識が薄れてしまうことはとても残念ですね。
鳥のさえずり、風の音、自分を呼ぶ声、重機の轟き、危険を知らせるクラクション。
どんな道でも「道」を走行する限り、現実社会の中で走る限りは、責任を携えて走りたい。自分で対処できる安全管理を徹底した上でゆるやかに走ってゆきたいものです。