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そして、松田は走る【page.1~page18】

この記事は個人の主観が大きい、松田をベタ褒めする記事です。
松田桃太という感情や衝動で動く人間は、サスペンス・スリラー漫画を描くにおいて必要な存在である。かつ、読者が感じた衝撃を一緒に受け止めてくれる存在と私は読み取った。

彼の初登場が確定する、名前が出るのは3話だ。原作2話はLと総一郎の初登場回で、松田に似たモブが総一郎に
「なんですか?Lって」
と読者の代わりに聞くシーンがある。
しかしアニメ版では2話のモブが松田になっている。モブと松田の違いは、髪型くらいしかない。
ちなみにメディアミックス公開順は、アニメ(2007)より実写映画(2006)の方が早い。

松田「なんですか?Lって」

松田桃太-アニメDEATHNOTE.第2話

で、原作で総一郎に名前を呼ばれつつの、初登場時の注目セリフはここ。

松田「(前略)この数日 世界的に 特に日本でですが強盗以上の凶悪犯罪が激減しています」

page3.より

松田は読者に警察視点から見たキラのある世界情勢をわざわざ伝えてくれたのである。ちなみに松田のいる世界の空気は若干変な感じになった。言わんでもわかるやろみたいな。

ちなみに連載初期当時に松田についてどう思っていたか、作画の小畑健先生は第13巻でこう述べている。

当初は捜査本部に誰が残るのか、全くわからない状態で描いていたにも関わらず、松田は初期段階から結構出ていますね(笑)

小畑健-DEATHNOTE13巻129pより

大場つぐみの思惑はともかく(13巻の情報量えぐいので洗い出せたら出します)作画しながらそう思ってたらしいです。

そして総一郎が帰路に着こうとすると、松田が駆け寄ってくる。そしてこの会話。

松田「あ…あの…」
総一郎「ん? どうした松田」
松田「犯罪が減っているという発言…考えてみれば皆わかっている事なのにまずかったでしょうか?」
総一郎「何を言ってるんだ どんな事でも事実はどんどん発言しろ 人が言いにくそうな事なら尚更だ」

page3.より

これ、もしかしたら松田のポジションは、原作の大場つぐみの中ではこの時点で決まっていたのかもしれない。と私は思った。

松田が次に出てくるのは、

page.10 になる。


Lの駒であったFBIがキラに始末されたことで大きく局面が動き始める。夜神総一郎はキラ捜査から外れたいものは外れるよう提言する。
捜査本部に残ることを決めた松田は真っ先に立ち上がり総一郎を労わる。
そして残った人数を見て唸らずに居られない総一郎を励ます。

総一郎「しかし私を入れて六人 この人数でこれからどうやって捜査を…」
松田「いやLを入れて七人 ワタリも入れれば八人です 局長」

page.10より

楽天的な若手だからこそ出た言葉かもしれません。えらい!!
一方、相沢をはじめとしたLを信用できない組が苦言を呈します。この時、松田は"引きの画"じゃない限り一切コマに入ってません。
つまり、松田はLとやる気満々ってことです。頑張れ~。

そしてLからテキストで指定のやり方で帝東ホテルに来るように指示が出ます。

(帝東ホテルといえばここの目と鼻の先じゃないか!)

page10.より

このコマ、松田が一番手前にきていますが誰が言ったのか?
アニメ製作陣がどう解釈→アニメはカットされてました。ですが解説係としての実績、一番手前に配置されてる時点でこう思ったのは松田と捉えてもいいかもしれません。注目すべき点として、松田と総一郎の組み合わせで入っていきます。

page11.


とうとう、Lと日本捜査部、顔合わせ。ここ、アニオリがある。
アニメではLを見た時のモノローグが存在する。

L「Lです」
総一郎(この男が……)
松田(んん……なんかイメージが……)

アニメデスノートep06.「綻び」より

草。わかる。
私もTVで映画版L見てびっくりしたもん。なんだこいつ、って思った。

さて、原作の松田の話に戻りましょう。
Lの話を聞いた松田は総一郎に聞く。

松田「名前が必要?顔は聞いてましたがそんな話出てましたっけ?」
総一郎「(前略)本部でも言われてたことだ……」

page.11より

ちゃんと話聞こうな!
次に松田がしたことは、Lに問いかけることです。
意訳としては『犯罪者に関するメディアの報道規制したらいいんじゃないか?』という感じです。私達凡人が考えるようなことですね。
L、睨むような目をしながら少し沈黙してこう返します。

L「…………そんな事をしたら一般人が殺されます」

page.11より

捜査本部に広がるハテナ。
Lは自分の推理を話す。キラは幼稚で負けず嫌いだと。
それを聞いた松田と総一郎。

松田「?」
総一郎「L……いや竜崎、もう少しわかりやすく話してくれないか」

page.11より

? 一個なのが可愛いですね。
ここからLは自分のキラ事件に対する考えを長めに述べます。
それを聞いた後、総一郎以外の捜査本部メンバーは盛り上がる。

松田「すごい ここまでわかっていれば我々でも十分出来るぞ」

page11.

L、呆れた目で自分に質問はないか聞く。
松田、お前多分この時点でLに目をつけられてたか見限られてる可能性あるぞ……。
そして最終的にLとの1対1面談を要望される日本捜査本部。この中にキラはいないか、念の為にね。

松田「残れば竜崎の顔見れたわけですしね…」

page.11

解説助かる。

ここまでが文庫本第1巻までの松田での活躍である。いかがだっただろうか。
やはり松田は我々に向けての言語化のポジションにある。かつ警察特有のしきたりに染まっていない柔らかさを持っている。
そしてLを疑っていなかったりと楽天的だ。自分がキラに殺される想像とかしたことなさそう。まぁ少なくとも付き合ってる相手はいなさそうだなって感じ。個人の偏見です。

以下、文庫版2巻から月の大学編までを追います。大学編のあとは忙しくなるからです。

page13.

Lが持っている携帯電話に出る姿を見て、内心で不満を漏らしてます。

松田(我々の携帯は切っておく様に言っておいて…)

page13より

ほんとだよ。わかる。お前ならそう言ってくれると私は思った。
ここでワタリ顔出し参戦。名前も役職もでたらめな警察手帳を渡されます。

松田「偽名の警察手帳……」

page13


これ多分、改めての解説兼、偽名の警察手帳を自分が持つとは思ってなかったんじゃないかと思う。偽造の身分証明書=犯罪者が使うイメージないですか?私はあります。だから、松田の素直なビックリだと思う。
犯罪だもんね。ごめんどの法律に引っかかるかはわかんなかった。

page14.

Lからの偽名警察手帳のお願いに一人だけ返事してます。素直でよろしい。
そんで緊急ベルトに一番食いついてテンションあがって、総一郎に怒られます。草。

松田「な…なんかキラを追う特殊部隊って感じでカッコイイですね!」

page14


ここ、捜査本部の皆が改めて覚悟を決めてるシーンです。偽名の警察手帳を持って緊急サインの出せるベルトを締めないといけません。これがキラ事件捜査をするということだ……と。そう、褌を締め直してる人達のその横で松田は、はしゃいでます。怒られても仕方ないよこれは。

実はこの後、page.14では夜神月vs南空ナオミがあります。偽名を使ってる南空ナオミの本名をなんとか手に入れようと頭をフル回転させてる月くんはどうするか?を、我々は見届けることになります。

page15.

Lより総一郎&松田で動くように指示されている。
ここまで読んできた印象として、総一郎と同じコマに収まっていることが多い。これは若手&ベテランだから隣にいるのかもしれないが、会話の進行において総一郎&松田のコンビで成り立っているものが多めな気がする。

L「松田さん携帯の電話入れていいですよいや入れてください」
松田「えっ? あっ はい あ!」
ピピピ…
L「はいこちらキラ事件(以下略)」
松田(…………この人は……)

page15.より

全くだよ。たまたまLの近くにいたから選ばれたと思うんだけど、そりゃ呆れるのも普通だと思うよ。お借りしますの一言もないんだからね。
ページをめくります。ぺら

L「レイ=ペンバーの婚約者?!

page15.より

これにはLもビックリな情報が入ってきます。はい、キラが南空ナオミを始末したことがバレました。
なのでLは決めました。

L「盗聴器と監視カメラを仕掛けます」
(梅の花のコマ)
松田「ば…馬鹿な!!ここは日本ですよ そんな事は許されない」

page15.より


日本捜査本部の凍った空気を松田が溶かします。斬り込み隊長です。えらい。そして真っ先に自ら資料に目を通します。えらい。
監視カメラは誰が対象になるのか。見て一人で絶句します。
めちゃくちゃびっくりしてるじゃん。
松田の常識を破壊してくる男、L。

page16.

心情描写的な意味で、松田大活躍回です。
相沢と一緒に総一郎の代わりに、怒りました。
総一郎のこと大好きだよね。尊敬してるね。
松田は総一郎にまでしつこく食らいついて反撃に遭ってます。

松田「局長には奥さんや娘さんもいるんですよ!?」
総一郎「わかっていて言ってるんだ!」
(以下略)

page16.

松田、お前みたいな人が必要なんだ。デスノートの世界においては。
天才の言いなりになんて、なってはいけないんだよ。

ワタリとLの会話聞く総一郎、松田、相沢のコマのセンターにいます。
読者の代わりにびっくりしてくれてますこれ。多分。
監視カメラを簡単につけられるようにいうワタリ何者やねん、って。


page18.
無精髭が生えた松田がいます!!ヒゲ似合ってるね。

松田「はあー…結局容疑者はいずか…」

page18.


監視カメラつけてもキラはいなかった。(殺し方を見れなかった)
そして松田は凡人の発想という名の前フリをしてくれます。正しくは前振りの前振りです。

松田「だから前のL いや 竜崎の様にこっちは顔を見せずに取調べるんです

page18.より


何の前振りかわかりますか?
この回は…

月が初めてLの顔を見る回です。



L、月の大学入試に凸し、月と目が合う。

松田の物語は、まだ始まったばかりだった。

つづく!