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【ネタバレ】推しの子最終話~As You Like It~

今、推しの子最終話を私はこう捉える。

ネタバレが来るぞ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!オオカミ少年じゃなくてガチなやつだぞ~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!そなえろ!!!!!!!!!!!!!!!!!!くるぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおうわあああああああああああああああああああああああああやるぞおおおおおおおおおおおお(ネタバレ防止)

はじまります。

【推しの子】という作品の本編は、ルビーの台詞で幕が閉じられた。私はこの最終回、めちゃくちゃ好きです。エモすぎる。みんなアクアと生きるの楽しんでて、彼はもう二度と帰ってこないけど、彼らの人生は続くんだなぁ、何考えてるんだろうなぁ……って思った。

ルビーは一人しかいない部屋で、語る。

嘘に嘘を重ねなきゃいけなくて
どんな辛いことがあっても
ステージの上で楽しそうに笑わなきゃいけないお仕事

星野ルビー-推しの子最終話「星」より

そう語るルビーの顔は見えない。……本題に入る前に、これ読んでて思ったのが、あれ?なんか読んだ覚えあるなこれ……?

正解は第一話。アイドルという仕事に対する考え方を語る、アイの台詞だ。


嘘に嘘を重ねて
どんなに辛い事があっても
ステージの上で幸せそうに歌う楽しいお仕事!

星野アイ-推しの子第一話「母と子」より

これを、記憶の継承がどうとかじゃなくて、作品における表現技法だと私は捉える。

星野アイが、アイドルという仕事を始めたきっかけや背景は第1巻第八話"星野アイ 前編"で語られる。彼女はアイドルという仕事をして、自分の人生を得て、愛について考える機会が何度も訪れた(要約)……と私は観ている。

そしてアイがいたから、天童寺さりなはアイのアイドル活動と向き合ってる時間、"せんせ"と話している時間、彼女は良い時を過ごした。恵まれない人生の中で。そしてアイのキーホルダーを託して、さりなはこの世を去り、ルビーとして転生した。

さて、

ここからが本題なのだが


もう一度ルビーの台詞を引用する。

嘘に嘘を重ねなきゃいけなくて
どんな辛いことがあっても
ステージの上で楽しそうに笑わなきゃいけないお仕事

星野ルビー-推しの子最終話「星」より

私はこれを読んでこう思った。

そもそも人生とは、嘘に嘘を重ねるものじゃないかと。
だって私が、嘘をつくのがとっても苦手な人間(すぐ顔に出る)、着飾ることに罪悪感を覚える人間だからだ。それでも、つける嘘は頑張ってついている。でもつけない嘘はめっちゃ顔に出る。表情筋動いてるのが自分でもわかるよぉ……。

こんな私が思い出したコトバがある。

この世はすべて ひとつの舞台、男も女も 人はみな役者に過ぎぬ。
All the world’s a stage,And all the men and women merely players:

『お気に召すまま』の“この世は舞台”という名セリフが表すシェイクスピアの世界観

シェイクスピアが書いた作品「お気に召すまま」(原題:As You Like It)での有名な台詞だ。

ここは原作の名前すら知らなくても知ってる、それくらい有名な台詞であるということが重要だと思って欲しい。シェイクスピアの舞台作品に1作しか触れたことがない2024年にアラサーで生きる私でも、古~いシェイクスピアの言葉はいくつか知っているのである。それはつまり、普遍性があるから皆この言葉を謳い続けたのだ。そうして私の心に届いて残ったのだ。完全な暗記は出来なくても、シェイクスピアの名言であったなこんなの……って思える感じで。
役者という仕事をどう考えるか、これ長くなる……。ただ、
10秒で泣ける天才子役の泣きの演技は"嘘"だと思っていいと思う。有馬かなの10秒で泣く演技をする方法は東京ブレイド編で感情演技について悩むアクアに向かって語られている。

まぁそこは本題じゃなくて

最終話のルビーの言葉に込められた思いを推測するのがこのnoteの目的です。

だけど
どうしようもないほど楽しいお仕事!

星野ルビー-推しの子最終話「星」より

こう語るルビーは、とても晴れやかに笑っている。
まぁ嘘である可能性全然あるけど!
でも私達読者は知っている。ルビーの隠し持つ前世の記憶。

天童寺さりな時代の苦悩。

母親に愛される為に理解のある娘を演じ、看護師の前でもいい子を演じながら、世の中を憎んでいた前世。

私はシェイクスピアの名言とルビーの隠し持つ闇からこう捉える。

ルビーの想いは嘘じゃない。
最終話の彼女は生きることを楽しんでいる。
だって彼女は、かつて生き伸びる為に演じてきたのだから。でも、

もう思うがままに自由に演じていいのだから。

母親も恋した人の魂が宿る兄もいないけれど、自由に動き歌える身体はある。兄が遺したものには例えば、元B小町の有馬かなや、現B小町MEMちょとの関係、15年の嘘で共演した役者達。例えばメルトくんとか!(笑)、そしてアイの遺した斉藤壱護や斉藤ミヤコとの疑似的親子関係がある。ルビーは自分を愛してくれる人の為にドームで歌って踊ることが出来た。皆の夢をかなえた。

母や苺プロの無念を晴らした。

そうして彼女は、真の意味で自由になった。


いってらっしゃいルビー。あなたの人生を、お気に召すまま。