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【実写映画版L】I'll be waiting...とは?

この記事は【映画】Death Note the Last name と【映画】 L change the WorLdのネタバレが含まれます。あと読切版Cキラ編も読んでおいてほしい。

実写映画版Lこと松山ケンイチ版L(以下松山L)は当時、今風でいうとバズってたらしい。
L change the WorLdの公開に向けていろんな雑誌でインタビューされてたりする。その中に注目するべき点として、松山Lの写真集が出版された。
その名も L file No.15 だ。
これは松山Lの写真を楽しむことが出来、また、実写映画版ワタリの日記を読むことが出来るのが大きな特徴である。あと小畑健の原作版Lのカラー描きおろし漫画もある。テーマはLの生態。
この本に収められている最後の写真の前に、真っ白なページかつ一昔前のデジタルっぽいフォントでこう書いてある。

I'll be waiting...

L file No.15より

英語が苦手な私はインターネットで検索したが、ずばり
「私は待っています」という意味らしい。

松山Lは何を待っているのか?
この文は何を意味するのか?
私は長年わからなかった、が、答えのある場所がわかった。
そんな感じである。


まず、
I'll be waiting
とは、
松山Lのスピンオフ映画、L change the WorLd(2008)のエンドロールで流れる曲のタイトルである。
正式表記はI'll Be Waitingとなる。レニー・クラヴィッツ氏の曲だ。

これです。これ。

実は、実写映画版DEATH NOTE3作は洋楽が好きなスタッフの影響と熱意と色々あって、全ての作品に洋楽が充てられている。ソースは以下の通り。

レッチリにクラヴィッツ、海外大物アーティストが主題歌を提供した真相
そしてこの記事では驚くべき情報がしれっと投下されている。

――レニー・クラヴィッツとは、どのような巡り合わせがあったのでしょうか。
レッチリでかなりの反響があったので、スピンオフでもやっぱり洋楽でいこうと。またまた幸運にもレニーが協力してくれることになり、しかもレニーの頭文字はちょうど”L”というのも縁起がいい。幸い、この時は音源がありました(笑)。
ちなみに、エンドロールで楽曲が流れる時に対訳の字幕を付けているんですが、『デスノート』の世界観に寄せて訳した内容になっています。映画の余韻により浸ってもらいたくて。僕はそんなに英語ができる訳では無いのですが、何度も聴いているうちに、これは月とLのことを歌っているようにも思えるなあと。そこで、英語が堪能な金子監督に僕の感じた思いを伝えて意訳してもらいました。『L change the WorLd』では、Lの思いを表した詞。中田秀夫監督はハリウッドでの経験もあるので、安心して同じことを頼むことができました。

レッチリにクラヴィッツ、海外大物アーティストが主題歌を提供した真相

>『L change the WorLd』では、Lの思いを表した詞。

なんやて!?

ちなみにLCWに関してはこういう記事もあるので気になる方はどうぞ。何故あんな映画になったのか?という風に長年疑問を抱いている方も納得できるかもしれません。
あと、LCWを見てないけどこれを読んでいる方向けに向けて。
LCWの映画の内容はざっくり言うと「ワタリ名義に預けられた子供2人をLが引き取り正義側として東奔西走する映画」です。ちなみにグロ有。
なんでそんなことになったかは実際に見てみてくださいという説明で終わります。
Lの"終活"、ポテチトリックに気づいていた可能性 - スピンオフ『L change the WorLd』
終活って表現は草。閑話休題。

んで、アイルビーウェイティングの話に戻るのだが。
この楽曲は、日本のインターネットでは「失恋した傷ついた女の子に向けて片思い中のちょっと内気そうな男の子が思いを吐露している」……という感じの翻訳をされていることが多い。

で、今実際にスタッフロールを見ていたのだが、このように表記されている。

主題歌「アイル・ビー・ウェイティング」
レニー・クラヴィッツ
作詞:Lenny Kracitz 作曲:Lenny Kravitz, Craig Ross
 (EMIミュージックジャパン)
エンドロール日本語訳:HIDEO"boy"NAKATA

L change the WorLdエンドロールより

ん?妙だな……
中田秀夫監督にミドルネームがあるぞ……(この記事書いてて気づいたのでガチでびっくりしてる)
あかん!これLCWの終盤展開に踏み込まないとあかんやつや!

えー先に結論を書いておくか。

I'll be waiting…とは、松山Lから私達への置手紙だと私は考えている。
いつかの助けになるように。自分を手札のカードに加えて欲しいと。


以上。


以下LCWの終盤のネタバレがあるぞ!!気をつけろ!!!!







ほなLCWにつっこむでー。

この HIDEO"boy"NAKATA の boy…。boyといえば、最初に出て来る謎の数学得意な男の子ですね。 エンドロールでもBOYと表記されています。
このBOY、終盤で松山Lによって名付けられますよね。覚えてますか?

L「この子には私が名前をつけます」
(略)
L「君の名前はニア。救うべき人のそばにいられるように」

L change the World

私はここで原作ニアファン怒っても仕方ないかも……と正直当時映画館で見てて思ったし今でも思ってる。

でも、実写映画版にニアはいません。匂わせも無いです。だからこういう名前の使われ方されるのも、アリなんです。実写映画版高田清美とかそうじゃないですか?
ちなみに原作者の描いた読切版には、Lが自分の後を継ぐ者がいるとすれば、ニアとメロだったと言った……と言及される描写があります。Cキラ編です。

ニア「後で聞いた話ですがまだ私達の資料を何ひとつ持たないLが自分の後を継ぐ者がいるとすればメロか私だと言ったんだそうです」

DEATHNOTE短編集 Cキラ編より

なんでかは実際に読んでみて下さい。Cキラ編はDEATHNOTE短編集に収録されてます。(あとなんかにも収録されてた気がするけど忘れた)

実写映画版Lと他媒体Lの大きな違いとして、死まで猶予が有るか無いかがあります。レムによって名前を書かれて40秒後に心臓麻痺にされるか、自分で23日後に心不全と書いたかという分岐点が、あります。

この23日間に、松山Lは、人間として成長してしまいました。人を失う悲しみ、そして人のぬくもりを知ってしまったのです。探偵ではなく、一人の人としてがむしゃらに生きるという経験をしました。

その結果の胸中が、boyの名づけシーンとLCW最後の台詞に込められてます。

(あともう一つありますよね。見たことある方ならわかるはず)

だから松山Lは、I'll be waiting….というメッセージを遺したのです。
彼の姿を見ている我々に向かって。


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