記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

【推しの子ネタバレ】原作完走勢向けに深堀り☆星野兄妹の瞳!!(21:50追記)

これでどうだあああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(ネタバレ防止の文章)
うりゃおい!うりゃおい!うりゃおい!うりゃおい!
B小町フッフー! B小町フッフー!!
俺もおおおおおおおおおおおおおおおォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

以下のnoteから派生したもので、こっちはよりディープに(?)というより、原作終盤で開示される情報を出すので注意。


ヘッダーはデジタルコンテンツギャラリーより


ネタバレ発進!


星野アイの瞳

【推しの子】第15巻にて、星野アイの星の瞳の秘密が明かされるが、まず、これは作中作『15年の嘘』内の台詞だということを忘れてはいけない。『15年の嘘』という映画の脚本は五反田泰志、星野アクアが携わっているが、星野アイとカミキヒカルの恋愛パート及び全体のエンタメ性の向上の為に、吉祥寺頼子と鮫島アビ子の手が強く加わっている。(第15巻第142話、責任より)

カミキとアイの恋愛に関しては何の証言も無い
二人の恋愛がどういうものだったのか
本当の所を誰も知らないの
だからこの辺りの場面は想像に基づく完全な創作なのよ

斉藤ミヤコ-【推しの子】第15巻第142話

その作中作で、こういう台詞がある。

分かるよ 私とおんなじだもん
嘘つきの目 人を騙すのが得意な目

作中星野アイ-【推しの子】第14巻第140話正しいですか?


星野アイがつく嘘とは、アイドルとしてファンを「愛している」という言葉をあげる、という嘘だ。

斉藤一護「色々言ってはいるけど 本当は君も人を愛したいって思ってるんじゃないか?(中略)皆愛してるって言ってる内に 嘘が本当になるかもしれん」
星野アイ(嘘が本当に その言葉を聞いて私はアイドルになる事を決めた
私は誰かを愛したい 愛する対象が欲しかった)

【推しの子】第1巻第8話星野アイ前編

それでは『第14巻第140話正しいですか?』で、作中カミキ(※少年A)がついている嘘についてだが、こう書かれている。

なんにもない僕が 誰かに愛される為にすべき事はこれで合ってますか?
僕はちゃんと可愛いですか?
なんにも分かってない純粋な少年って
こんな感じですよね?

少年A-【推しの子】第14巻第140話正しいですか?

この第140話おいて、「少年A」はかつて(性暴力の)被害者だった、を強調する為に、子供が誰かに愛される為に、己を守る為に嘘をついている、という悲しい状況を脚色している。原作において、カミキヒカル(神木輝)が姫川愛梨について語ったことは一度も無い。(なかったよね?)

『第141話連鎖』、にて星野アイが姫川愛梨を糾弾するのだが、姫川愛梨の目元及び後の展開から不知火フリルの特徴を持っているので、こちらも作中作の星野アイとして扱う。

ヒカルは子供ですよ
何が正しくて何が間違ってるかを
今まさに探してる最中の年齢じゃないんですか?
貴方はそんな子供に責任を強要した
子供の無知に 寄り添うのが大人じゃないんですか?

作中星野アイ-【推しの子】第15巻第141話連鎖


【推しの子】第15巻第141話連鎖

何故ここを引用したかというと、ここで星野アイの瞳がビカビカに輝いている、という演出が取られている。何故、作中星野アイが糾弾している最中に目が輝いているのか、の解答はここだと思う。第16巻で出て来る星野アイのビデオレターである。

愛とかよく分かんない私が
愛したいと思った
初めての人だから

星野アイ-【推しの子】第16巻第154話15年の嘘

このビデオレターを基に、星野アイが姫川愛梨を糾弾する場面を作ったのである。星野アイ(15かそこらの子)が少年Aの為に動いたことを表している。愛とかよく分からない少女の愛したいと思う、愛せることを願っていた事実は嘘ではなかったのである。

ちなみにこの後劇中では、カミキヒカルが星野アクアを殺した(世間の反応)ことで故・星野アイの思いが踏みにじられ、実妹の星野ルビーが独り取り残されたという構図に、見えるようになっている。そんな薄幸な少女、愛してやりたいと思いませんか?私は思いますね(ちょろい)

星野兄妹の瞳


デジタルコンテンツギャラリーより

それでは星野兄妹の瞳が何故片方輝いているか、についてだが
これは私は前世の輝きだと解釈している。前世の名残みたいな。
嘘つきの瞳、として解釈するなら、人生1周目ですという嘘をついているという説が唱えられるんじゃないかと個人的に考えている。

例えば星野アクアは医学部に進める頭脳があるし、星野ルビーには前世で"なにもできなかった"人生の無念という原動力と説得力がある。

週刊連載の漫画という都合上、この時点でどこまで考えていたかはよくわからないが、
第1巻のこのシーンの星野兄妹のカメラワーク(瞳のアップの仕方)に注目したい。

【推しの子】第1巻第9話星野アイ後編

ここでは、『星野アクア』として母親の喪失を目の前にするという悲劇が起こっている。これが後々星野アクアとして生きる枷となる。(PTSD)
~ここで星野アイの命の灯が消えるという1ページが挟まれる~

【推しの子】第1巻第9話星野アイ後編

ここ、アクアは片目のみ(星がある方)で、ルビーは両目が出ている。兄妹の星野輝き=前世から来るものなら、
・星野アクア/雨宮吾郎にとっての"星野アイ"は小説版:一番星のスピカで語られているので省略
・星野ルビーだが、瑠美衣としての人生の代償に、天童寺さりな時代に得られなかった母親と前世から思い入れのある推し:星野アイの喪失が起こっている
……と捉えることが出来る。

となると、以下のページをこういう捉え方ができる。

【推しの子】第1巻第10話イントロダクション

星野ルビーが、アイドルである母親を殺された子供として世間を糾弾している。
(※4歳か5歳の怒り方じゃないので、怒り方は前世から持ってきている)

この後に星野兄妹に対する斉藤ミヤコの語り掛けが入る。この三人の関係は、赤子な上双子である育児疲れで文〇に情報を売ろうとするミヤコを、初めは「殺す?」「体格差がありすぎる」「もしかしてそっちは本気?」という、大人の協力者として利用するところから始まる。そうして疑似親子としての時間を数年過ごした。

【推しの子】第1巻第10話イントロダクション

この時点では、星野兄妹の瞳の輝きが消えかけている。

【推しの子】第1巻第10話イントロダクション

ミヤコの呼びかけで星野ルビーは"輝き"を取り戻すが、星野アクアが"輝き"を取り戻すのはもう少し後である。これは二人の"前世"にとっての母親と父親というものが関係していると私は考えている。
天童寺さりなは"母親"に愛されることに焦がれていた。(※そもそも12歳で死んだ身なのでまだまだ母親が必要な身ではある)
それでは雨宮吾郎についてだが……。

雨宮吾郎の影~父親と母親~

"アイ"への詳しい心情は一番星のスピカで読めるとして、
雨宮吾郎の出自についてである。

【推しの子】第8巻75話母親と母親

星野アクア(と雨宮吾郎)が特に意識していないだけで、実は無責任な父親に母親を殺されるのは2度目である。星野アイと雨宮吾郎の母親の死にはとある共通点がある。
血だまりだ。
産科危機的出血とは、妊婦(産婦)より2.5リットル以上の出血が確認された時点で医者により宣言が出される現象である。

【推しの子】第1巻第9話星野アイ後編

産科危機的出血こと、
「産科危機的出血宣言」が医者によって出され、実際に起こった場合何が起こるのか?を公益社団法人の日本産科婦人科学会が上げてるpdfで私でも読めたので、素人がわかる範囲で少し紹介する。よみたかったら、よんで。


1ページ目にはフローチャートが載ってて、まず
大量出血のリスクがある人か或いは珍しい血液型を持っているかを確認し、どちらにも引っかからない場合に通常の分娩のチャートへうつるようで。

ここから専門用語が並んでて、私は実際に子供を産んだこともないので、何も全然わからないのだが、出血が続いてしまった場合の道筋があって、

産科危機的出血を宣言 という箇所がある。これには
①直ちに輸血開始 ②高次施設へ搬送
と書かれており、どちらも救急車が駆けつけた頃には手遅れだった雨宮吾郎の母親が受けられなかった処置であることがわかる。これ以外にも細かい項目が5つありますが、専門用語が多い。ただ、とにかく"身体に血を足す"ということはわかる。出血原因を探して除去したりするようだ。
それでも血が止まらなかった場合は"危機的出血"を宣言するのだとか。

以下の引用を読んだ素人の感想「医者が病院にしかない物や人材使って全力で頑張らないと駄目ってことか~……」

「産科危機的出血」をコマンダーは宣言し、 一次施設であれば高次施設へ搬送する。「産科危機的出 血」の対応を指揮するコマンダーは産科医、麻酔科医、 救急医などで適切な人材を施設で事前に決めておくこ とが望ましい。直ちに輸血を開始するが、産科出血の 特徴を考慮し、赤血球製剤、新鮮凍結血漿(FFP)を 1: 1 に近い比率で投与し、血小板濃厚液は必要に応じて 追加する。また、肺水腫などを予防する観点から院内 作製クリオプレシピテート、フィブリノゲン製剤など の投与も考慮する。大量輸液・輸血の際には、加温し 低体温に留意する。輸血療法以外にも止血のために子 宮圧迫縫合、IVR:Interventional Radiology(子宮動脈・ 内腸骨動脈塞栓、総腸骨動脈・腹部大動脈バルーンな ど)、子宮腟上部摘出術・子宮全摘術などを試みる。ま た、これらの治療を実施中においても出血量の把握や バイタルサインの観察ができる体制を維持することが 重要である。これらの治療によっても出血が持続し、 バイタルサインの異常が持続する場合には、「危機的出 血への対応ガイドライン」を参照して母体救命に努め る。

産科危機的出血への対応指針 2022 のお知らせ

つまり、雨宮吾郎は産科医としてこの現象を学び、シミュレーションしたりしていても全然不思議ではないのである。

母親を犠牲にして生まれてきた後ろめたさは
結局最後まで拭い切れなかった

星野アクア- 【推しの子】第8巻第75話母親と母親

星野アクアとしてのリベンジ

【推しの子】第1巻第10話イントロダクション

犯人は"父親"というキーワードに辿り着いた途端、星野アクアの瞳の輝きは戻り始める。そして黒い輝きも持つ。前世の力である。
前世とは違い、父親を特定をするチャンスが存在しているのだ。母親を殺した存在に辿り着ける可能性が、ゼロでは無い。

少し話を戻すが、母親について。星野アクアとして生き、斉藤ミヤコの育児を受けることで、母親という存在を知ることになる。ここで星野アイじゃないのは、雨宮吾郎の記憶を持っている身として、まだ母親として未熟であった星野アイとルビー両名の面倒を見ていたことが伺える描写がチラホラあるからである。

星野アクア(いや駄目だ!危なっかしいこの子!!)
星野アイ「ありがとルビー!」
斉藤壱護「そっちはアクアだ」

【推しの子】第1巻第2話母と妹

そして、第1巻第10話、第16巻の第155話にて、母親として接してくれた斉藤ミヤコへの星野アクアによるアンサーは用意されていた。されていたが……。

俺には夢がある
(中略)
ミヤコさんを母と呼んで

星野アクア-【推しの子】第16巻第161話未来

星野兄妹~ツクヨミにとっての"子供たち"~

神様はきっと優しいよね
真の意味で母を得られなかった2人と
魂の無い子を産んだ母親を導いてあげた
もしかしたら
それ以上の意味があるのかもだけど

ツクヨミ-【推しの子】第8巻75話母親と母親

ツクヨミの正体は、かつてゴローとさりなに助けられたカラスである。

【推しの子】第15巻第145話子供たち

さりなが生きていた頃のゴローは研修医で、まだまだ若い。一方カラスの寿命は種や環境にもよるが、調べてみたところ「野生の鳥種にしては長生き」という感想を私は抱いた。また繁殖に2~3年はかかると書かれているので、この助けられたカラス、もし3歳以上なら、ゴローより年上の可能性、普通にある。ベリーを取りに無理をしたようなので、育児中だったのかもしれない。
そしてゴローは、実はガセネタを披露している(笑)よく聞く話だけどね。
このゴローからの受け売りを披露し、訂正されるシーンが8巻にある。

ルビー「知ってる?鳥目って言って鳥は夜だと全然目が見えないんだよ!」
あかね「違うよ違うよ それは ニワトリの話であって……」

【推しの子】第8巻77話再会

つまり、このカラス視点から見れば若い子達の世話になった上にどじっこ扱いされ、「食い意地張るなよー」とか色々余計な事言われてるわけだ。だから、15巻でこういう台詞に繋がる。

私にとって君達はずっと生意気で可愛い子供のままなんだから

【推しの子】第15巻第145話子供たち

ツクヨミは、赤坂アカ先生により幼い女児の身体を与えられた。おそらくだがタイミング的に、多分、前世カラスとしての死を迎えた後なのかもしれないし、まだ生きているのかもしれない。(カラスの姿での登場もあるから)
ただ肉体の生活があることが、二人のエチュードで提示されている。
ひとついえるのは、ツクヨミは道案内を託されながらも、彼女という個体として星野兄妹を愛していたのであろうと推測できる描写が終盤展開で繰り広げられるということだ。

【推しの子】最終話 星

そして両目に星が宿った

星野兄妹は、愛が故に復讐心に駆られる。そうして"言葉の力"、己の才能を己の目的の為に使い始める。

【推しの子】第8巻、【推しの子】第10巻

そして……

神木輝「君は僕と同じ目をしている(中略)人を騙し従わせる、『嘘つきの瞳だ』」
(略)
星野アクア「確かに僕等は自分の為に人の心を動かし騙し従わせる醜い存在だ
けれどルビーは僕とは違う 今もルビーは愛を歌っている
(略)
あの目は人を騙す為のものじゃない
(中略)
誰かを愛したいと願う者の愛の瞳だ」

【推しの子】第160話eye

誰かを愛したいという願いで、両目を輝かせた。

【推しの子】第16巻第160話eye

実はここ、超ハイコンテクストなことが起こっている。この歌、一番星のスピカに出て来るものである。星野アイとさりなとゴローを結ぶ楽曲だ。

『♬――らしく輝く キミが見たいよ 私の推しは 最強だから!』
 画面が上空へとパンアップする。エレキギターのメロディアスな旋律と共に、画面の中央にタイトルが表示された。
"推しに願いを"――それがこの曲のタイトルらしい。
どうやらこの動画は、B小町のライブ映像のようだ。ゴローも見たことがなかったので、おそらくはファンメイドの動画なのだろう。

【推しの子】一番星のスピカ-田中創

愛を歌う実の娘が映るスマホを、神木輝は地面に落とした。星野アイへの執着、ひいては己の妄信を続けるために。

【推しの子】第16巻第161話未来

星野アクアは、"どうしようもない父親"の妄信から妹を守る為に、愛の為の嘘をついた。それは父親の名誉をグッと傷つける形でだ。あと私の経験上、「なんであんな映画作っておいて父親の元にのこのこ行ったんだろう、殺されて当然だろう」という世間の声も出ることが推測できる。つまりアクアの名誉も大衆から傷つけられる可能性が捨てきれない。妹を遺して殺されに行った、愚かな兄として。

【推しの子】連載完結記念PV「コミックエンドロール」


 星野ルビーは、兄がいなくなった後も健気にアイドルとして愛を歌い続けるという形で【推しの子】は決着する。

 雨宮吾郎の星野アイを大切にしたいという思いで【推しの子】は始まり、その思いが"奪われる"形で物語の幕が開く。星野アクアが何かから誰かを取り戻す形で物語は進み、星野ルビーの前世での夢が叶いつつ、星野アクアの死によって思いが途切れたことにより、物語は終幕を迎えた。
 彼の物語が終幕した後、星野ルビー、そしてアクアと共に生きて戦った人物達は深い悲しみを背負いながらも、生き続けることが最終回と第16巻描きおろしで表されている。

【推しの子】原作デジタルコンテンツギャラリー

悲しくないなんて嘘を重ねながら
ここまで辿り着いた
そんな嘘達が暗闇に生きる誰かに
何かを与えていくんだと思う

黒川あかね-【推しの子】第16巻最終話 星