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佐倉市教育委員会はなぜ公立幼稚園を閉園しようとしているか?②
~令和3年の<3年保育採用>の検討~
前回記事の、閉園方針の中で分類した【社会的要因】の中で保護者からの要望が高かった3年保育ですが、実は2021年8月にひっそりとパブリックコメントを取り検討がされていました。
時系列としては少し前の話になりますが、今回の閉園の動きと切り離せず、私たちも資料の開示請求をしてわかったこともありましたし、マスコミもほぼ報じていませんの、こちらにまとめます。
開示請求
情報公開制度は、市が保有する公文書の開示を請求することができる『公文書の開示』、審議会等の会議を公開する『会議の公開』、市の広報紙やホームページ等を活用して、市政に関する情報を公表する『情報の公表』等から成っています。
この制度を通じて、佐倉市政に対するみなさんのご理解を深めていただくとともに、市政への参加を促進し、市民主体の公正で開かれた市政をよりいっそう推進していくことを目指しています。
パブリックコメント
「佐倉市行政手続条例」に基づく意見公募手続とは、市の機関(市長、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員、農業委員会、固定資産評価審査委員会及び水道事業管理者)が規則等を定める際に、あらかじめその案を広く公表し、その案に対して寄せられた意見等を案に取り入れることができるかどうかを検討し、その検討結果(最終案)とともに、寄せられた意見等に対する市の機関の考え方をあわせて公表する制度です。
実は検討されていた【時代に合わせたニーズ】
佐倉市立幼稚園では、毎年、職員・保護者・関係者にアンケートを取っています。(自由意見を読むと園の雰囲気も伝わると思います)
★2023年幼稚園評価アンケートはこちら
幼児教育無償化になった2019年~いろいろの意見が出ており、特に保護者が望んでいた事案について検討がされていました。
主には
➀私立の幼稚園や、他市の幼稚園と同様の<2年制保育→3年制保育>への変更
②通園バスの運行
の2点が多かった意見ですが、特に要望の多かった➀について検討がなされていました。
この事案についてはこのような流れで検討されています。
2020年9月:在園児家庭にアンケート
2021年2月:未就園児家庭にアンケート
2021年3月:幼稚園評価アンケートが開示
2021年8月11日:教育委員会会議にて会議のメイン議題として佐倉市立幼稚園の3年制保育についての話がされる。
2021年8月12日~8月26日:【佐倉幼稚園と関わりをもっ ている方の満3歳から幼児を預けたいという希望に応え、また、入園園児の 増加を図るため、3年保育を可能とする改正】に対するパブリックコメントを募集
2021年8月18日:「佐倉市私立幼稚園協会」より「3年保育化にかかわる」要望書が佐倉市に提出される。
2021年9月15日:教育委員会会議にてこの話はなかったことで決定。
<2021年8月教育委員会での検討内容と意見 要約>
議事録はこちら
・在園児及び未就園児の親子教室利用の保護者にアンケート
→約8割以上の方々が2年より早く保育施設に預けたいと回答
→親子教室の利用者の7割は例年佐倉幼稚園に入園している。
※幼児教育無償化により、社会的ニーズに合致させようとしている(◎)
Q: 3年制にすることによって、職員の人数が増え、コスト・負担増にならないか?
A:和田幼稚園は休園中。園児の人数が増えたとしても、今の人員で十分に対応できるためコスト増にはならない。
※園児が増えて職員の人数が変わらなければ、一人当たりのコストは減ります。
・佐倉幼稚園は佐倉全域から通ってきている幼稚園で、2年保育だとじり貧に感じられるため、強い意志を持って1石を投じて3年制にする。
Q: 私立幼稚園、こども園のようにバスを出すこと、預かり保育の延長を17時からもう少し遅くまで伸ばすことはできるのか?
A: 現状ではこれという案はないが、3歳児が減っている中で、特徴というものはしっかり考えていかなければいけないと思っている。
・3歳児を受け入れるためには現状である椅子よりも背の低いものが必要なるため、そこは予算につけていこうと思っている。
全体的にまともな意見のやり取りをしていて、当然ですが、3年制にしたときの課題や意味をしっかりと考えたうえで市民ニーズにこたえるために3年制にしましょうという非常に前向きな回答が見られています。
<2021年8月12日~8月26日 パブリックコメント 回答要約>
提出者19名 意見数7件
・私立幼稚園が3年保育を実施している状況で、公立の佐倉幼稚園が今回3年保育化する必要があるのか。私立幼稚園の立場も考慮してほ しい。
→様々な保育機関の状況も鑑み、慎重に検討が必要と考えており、実施について見合わせていく方針です。
※パブリックコメントは基本的には案に盛り込めるものがあるかどうかを検討するものですが、なんとこの意見が採用されこの案自体を取り消すことにしますと発表。佐倉市が出しているパブリックコメントの定義と矛盾
・佐倉幼稚園に関わりを持っている方のアンケート母数は何名か書いていないので、出してほしい
→①R2年9月アンケート:在園児55家庭(回収40家庭) で6割
②R3年2月アンケート:在園児の3歳未満の兄弟のいる 方や親子教室の方15名で8割
・なぜ「3年保育」が必要なのか。
→3歳以上の幼児教育・保育 の無償化がなされた現在、3年保育は標準的な幼児教育・ 保育サービスであると考えます。しかし、佐倉市立佐倉幼稚園の3年保育化につきまして は、様々な保育機関の状況も鑑み、慎重に検討が必要と考えており、実施について見合わせていく方針です。
なぜか、私立幼稚園のことや私立と公立の不公平感?という意見が出ていて、これに沿うように案を修正するといっています。
佐倉市はHP上で、「あらかじめその案を広く公表し、その案に対して寄せられた意見等を案に取り入れることができるかどうかを検討し、その検討結果(最終案)を発表する」と言っていますが、不自然な構図です。
※ほかにもこのようにひっくり返ったものがあるのか調べてみましたが私が見る限り発見できませんでした。
なお、佐倉市では他市のように広報誌にパブリックコメントの募集が載ることはこの時も現在もありません。また、この2021年時点ではHPのTOPページにもパブリックコメントの募集は掲載がなく、ほぼ市民の誰も知らないという状況で、在園の保護者は知るすべもなかったとのことでした。
(ただ、私立幼稚園の関係者の方と思われる方からの意見は出ている。)
現在は市議さんの働きかけなどもあり、WebのTOPページのお知らせに載るようになりましたが、多くの意見を聞く気があれば、期間をもっと長くとり、広報誌に載せるという周知はするべきだと思います。
※実際は他市ではしています。
<2021年8月18日 私立幼稚園協会からの意見書 要約>
これは私たちが保護者説明会の際に、教育委員会より、令和3年に3年制を検討したことがあり、そこで私立幼稚園協会から意見書が出たとの言質を得たため、開示請求をしたものとなります。
色々と各園のメンバーがそれぞれ出していると思われ意見がいろんな方向に行っていますが、一番言いたいことは急に話をしないでしっかり話し合いをしていきそれぞれの在り方を考えましょうと言っているように読み取れます。
<2021年9月教育委員会での検討内容と意見 要約>
議事録はこちら
実際の利用者からの声から発議をした案で、8月の教育委員会では議事録上で8ページにわたり議論をしていた内容が、P33,34の2ページであっさりと発議を撤回しています。
教育委員会事務局が言っている理由は
➀市の人口統計で3歳児人口が数年間で100名程度減少するので公立幼稚園の特徴を見出さないと入園者数は増えないのではないか?
<8月の教育委員会での意見>
②市内の私立幼稚園は定員割れとなっており、公立幼稚園の3年制保育化の必要性は低い<パブコメより>
③民業圧迫となる <パブコメより>
④厳しい財政状況も踏まえて、費用対効果を検証して慎重に検討していくことが望ましい。この話はさらに時間をかけて検討をしていきたい。
と述べ、発議の撤回をしています。
ん?
8月の議事録から読んでいただいている皆様は違和感感じますよね普通…。
強い意志を持ってやります!って言っていなかったっけ?コスト増も負担増もならないって言っていなかったっけ?
➀はそもそも公立幼稚園の特徴って何ですか?という話を教育委員会の皆さん考えていますか?(これはのちの2023年7月の閉園保護者説明会に質問をした際に全く話をしていなかったことが明らかになりました。)
②③は、関係ありますか?という話で、そもそも佐倉幼稚園の在園児数はR2年66名、R3年32名、R4年30名、R5年17名です。
R2年→R3年は、教育費無償化があり、人数が大きく減少したという原因があり、私立幼稚園は大きく恩恵を受けているはずですが、3年保育にすると民業圧迫になるといっています。
17名が(2学年合わせてでなので単純計算で約8名)9園の加盟幼稚園に振り分けられても1名です。民業圧迫になりますか?逆に私立幼稚園は特徴がある教育をしているのであれば、もちろん選ばれると思います。
逆に保護者は公立幼稚園の特徴を知っているので選んできている人(他市町村からわざわざ転入する人もいます)もいます。このあたりは説明がない分矛盾を感じざる負えません。
なお、これは私立幼稚園関係者だけの意見を取り扱ったことになり、市民のニーズを佐倉市はすべて無視をしたということになります。
果たして行政としてそれが最適解なのでしょうか?
④財政は厳しいといっていますが、何をもってして厳しいのか全く説明がされていません。千葉県のHPよりR3年の財政状況を示したものでもいわゆる平均的なもので、大幅に悪化したという点は見られません。
また、R5年のこの閉園方針が発表されるまで、3年制について検討された形跡はなく、保護者説明会の際には検討をもう一度してほしいという旨も意見しましたが、すでに棄却されたため、もう検討はしません!と言われたという事実もあり、この議事録の言葉は守られていなかったことが発覚しています。
総括
長々と書いてきましたが、今回の閉園方針の発議にはこの公立幼稚園の在り方や特徴、佐倉市における無形財産としての価値を全く話をしていないという点が問題だと思います。
時代のニーズに合わせたサービスを提供していく、また、アンケートまで取って市民ニーズを推進しようとしたのに、なぜたったの1カ月、しかも偏った意見と受け取られてもしょうがない形で手打ちをしてしまったのか…。私立幼稚園側もすぐに通達ではなくしっかりと意思疎通をとって説明を受けたうえで話をするべきともっともなことを言っています。
市民側にも、私立幼稚園側にも保護者にも何も説明をしないで、ただ元の木阿弥にしてしまう…。これが本当に最適解だったのか残念でなりません。
今回の閉園方針の出発点であり、一番の問題点はここであると私たちは考えています。