契約社員でホワイト大手にもぐりこむべし!入ってしまえば道は拓ける
ホワイト大手はやはりホワイト大手であった。
人も仕事のレベルも文句なしにすばらしかった。
それでもやはり落とし穴はある。
正社員と契約社員(非正規)では待遇に天と地ほどの差があった。
私はそれまでがブラックすぎたのでのほほんと楽しくまわりに溶けこんで過ごしていたが、同じ契約社員のなかには待遇の不満を隠さない人もいた。
受けられる研修はあからさまに異なったし、給料は正社員の半分だった。
よく話題になっている通り、新卒社員よりも月給が低くて泣きながら笑うしかなかった。
派遣社員の扱いはそれはもうひどいもので、10年近く勤めた人もあっさり切った。
捨て台詞を吐いて辞めていく姿をぼんやり眺めながら「次は自分かもなあ」と考えていた。
結局派遣社員を切りすぎてバックオフィス部門が回らなくなり、しわよせを受けて中途で入った中堅の正社員は辞めてしまったし、部長は心労で休職していた。
また、大手の契約社員なのだから、正社員の業務との線引きはきっちりしているだろうと期待していたが、そんなこともなかった。
半分の給料で仕事内容は同じだった。
ただ、圧倒的にスキルに差があり、出せるパフォーマンスは正社員の半分だったので納得できる部分もあった。
飲み会でお金を払ったことはなかったし(払わせてくれなかった)、こちらがイヤな思いをしないように周囲の社員がせいいっぱい気を配ってくれているのはちゃんと理解していた。
契約社員でもその先に「社員登用」の制度があるかないかは、転職するにあたって大きなポイントだと思う。
私のいたところは、正式には3年で契約満了だった。
ただし裏道ルートで最大5年まで、つまり3年契約満了後、2年までは契約延長できた。
その後もお互い合意していれば、いったん退職後、数カ月おいて再契約するというグレーな行為も横行していた。
それではまったく正社員の可能性はないのかというとそうではなかった。
ただし、そのためには期ごとの査定で最高評価を複数回とる必要があった。
要するにきわめて優秀な人材のみ登用されるという当たり前の制度だった。
新卒で入るのだってかなり厳しい企業だったので、中途での正社員登用はさらに狭き門だった。
バックオフィス部門で正社員になった人は知りえた限りでは一人しかいなかった。
加えて、正社員になるには、部署のリーダーになる必要もあった。
つまり専門性が高く優秀なだけではダメで、さらに管理職としてのスキルまで求められた。
私は年齢的なこともあり、結局心折れてしまった。
正社員で声をかけてくれた元いた業界に舞い戻り、なんとなく気の晴れない日々を送っている。
40代も半ばを過ぎて、はたしてどうすればよかったのかよく考える。
新卒の頃は就職氷河期だったため、どう頑張ってもホワイト大手に内定はもらえなかった。
今回、大手の契約社員を経験して思う。
もう少し若いころに、30代前半くらいのころに、非正規でもなんとか大手にもぐりこんで、そこから正社員の道をつかみ取るのが正解だったかもしれない。
こつこつがんばっていたら案外道は拓けた可能性はある。
年齢を言い訳にせずに、なんとかがんばろうと何度も考えたが、現実は女性で体力がないこともあり、気力体力ともに続かず、まったく場違いの大手で正社員になることは難しかった。
やはり「若さ」は大切だと思う。
そしていくら正社員でも同じようなブラック企業を何社も渡り歩いても結局なにも変わらない。
転職回数が増えていくだけである。
あまり若い人と話す機会もないけれど、渡り歩いている話を聞きつけてたまに仕事の悩みを相談されることがある。
もし30代前半までならば、正社員登用制度がある大手企業に、契約社員であっても思い切って飛び込んでいくことをお勧めしたい。
というようなことをいつも考えていたら、日経WOMANのお悩み相談コーナーで勝間和代さんがまったくおなじことをおっしゃっていたので、あながち独りよがりの思い込みでもないかもなあと思っている。
次回以降は、ブラック中小企業がなぜこんなに疲弊するうえにスキルが身につかないのかについて考察したい。
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